【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第87話 最前線に急行せよ!

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「おいおいおい! かなりやられてるじゃないか!」


 俺たち一行はクルセイダーズ本部にある転送陣でイースト地区までやってきた。状況を確認するため、エドに案内され見張り塔の上までやってきた。現在もクルセイダーズとの激しい戦いが続いていて、家屋や設備が破壊されているのも確認できた。そして何よりも、猿の姿をした魔族達が大勢迫ってきているのが目を引く。


「ムウ、奴等めかなりの強攻策を取ってきたようだな。このままでは私の部下達といえど瓦解してしまうかもしれん。」


 戦いの様子を見てみると、遠巻きとはいえ、何人か見覚えのある人達がいるのがわかる。騎兵部隊が縦横無尽に駆け回りつつ、騎射や槍での攻撃を仕掛けている。騎兵部隊の先頭を走る遊牧民の戦士……あれはウネグだろう。馬に乗って戦っている様は初めて見たが、この前共闘したときとは比較にならないくらいの猛攻をしている。それでも、魔族が抑えきれず苦戦を強いられているようだ。


「ウネグが指揮をとっているのか?」

「そうだ。私が本部へ戻る間の臨時の指揮官として奴を指名した。魔族との戦闘は奴が最も経験豊富だからだ。それを後方でクロエが支援する形を取っている。」


 この建物に近いところに陣を張り、後方支援の弓兵部隊や対魔術士が控えている。その中心にいるのがクロエだった。必要に応じて浄化魔法、弓の射撃などを行っているようだが、抑え切れていないようだ。


「早く加勢しに行こう! このままじゃ、みんなやられてしまう!」

「ウム。私は馬に乗るが、君は馬に乗れるのか?」


 見張り塔の階段を下りながら、会話を続ける。騎乗出来るかどうかを聞かれたが……残念ながら俺は馬に乗れない! だって馬に乗る機会がなかったんだもん……。


「ざ、残念ながら、無い。」

「そうか、フム。そうであれば……、」


 エドが困ったような素振りを見せる。すまんな。しょうもないところで迷惑をかけるハメになった。しかし、そこでエルが声を上げた。


「私が馬に乗れるので、彼にはその後ろに乗ってもらいます。」


 さすが貴族のお嬢様だ。乗馬も出来るんだな。じゃあお言葉に甘えて後ろに乗せてもらおう。


「ああ、それならば我々に随伴できるな。戦闘に入れば下りて戦う事にはなると思うが、移動だけならばそれで事足りるな。あと、君はどうだ? ゲイリーと言ったかな?」


 ゲイリーは後ろの方からズンズンと気分が良さそうに歩いてきていた。戦うのが待ちきれないといった感じだ。コイツ、馬に乗れるのか? 馬だってコイツには乗られたくはないだろう。コイツ自身が暴れ馬みたいなモンだし。


「当然乗れるッスよ! 戦士のたしなみみたいなモンでさぁ! 余裕ッスよ!」

「それは頼もしいな。」


 チクショー! コイツにすら負けた! 師匠の俺よりも多才とか! 弟子入りしなくてもそれなりに強いみたいだし、なんで俺なんかに弟子入りしに来たのか? 俺が指導しなくても、十分戦えるじゃないか。


「よし、では馬はこの中から選んでくれ。好きに使ってくれていい。」


 見張り塔を出て、厩舎までやってきた俺たちは馬に乗る準備を始める。エドは自分自身の馬を持っているのですぐさま準備を整えた。エルとゲイリーは相性の良さそうな馬を探している


「この子にしましょう。」


 エルは栗毛の馬を選んだ。毛並みも美しく、彼女にお似合いな馬だと一目でわかった。対してゲイリーは気性の荒そうな黒い馬を選んでいた。二人とも自分と似たところのある馬を選んだわけだ。俺が馬に乗れるんだったら、同じ様な傾向で選んでいただろうか? どのみち出来んのでわからんけど。


「じゃあ、後ろに乗って!」


 俺が周りを気にしているうちに、いつの間にか馬に乗り終えたエルから騎乗を促される。乗ろうと後ろから近付く……、


(ブヒヒン!!)

「おうわっ!?」


 後ろ足で蹴られた。思わぬ不意打ちに俺は吹き飛ばされた。痛い。馬に騎乗拒否された!


「ああ、もう、どうして? 機嫌が悪いのかしら、この子?」

 なんか急に暴れた。さっきまでは何もなかったのに。エルはすんなり乗せたのに、俺は拒否られた。俺はお馬さんにも嫌われるのか……。


「師匠、俺っちの後ろに乗って下せえ!」


 とゲイリーは言うものの、馬の方は俺を見て鼻息を荒げている! これは……アカンやつや! また足蹴にされるのは目に見えている。


「しゃあない! 一人で行くよ! ……徒歩で!」


 その様子を見たエドは渋々出陣していった。それにゲイリーが続き出ていった。エルは出て行くかどうか葛藤しながら、俺のことを引きつった顔で見ている。


「いいよ。気にしないで行ってくれ。」

「あはは……。無理だけはしないでね。」


 エルはゆっくりと出て行った。俺だけが取り残される形になったわけだ。トホホだよ、ホントにもう。……徒歩だけにな。
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