69 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第69話 逆転の発想ッスよ!
しおりを挟むその後、審査は次々と続けられ、とうとうアイツの出番が回ってきた! 我がパーティの問題児、不肖の弟子のアイツである。
「え~、次は29番、ハンバーグ先生、です?」
ほら見ろ! 司会の人も戸惑ってんじゃねえか。何が“先生”だ! なんかおかしいんだよ。ハンバーグを名乗っているクセにタマネギマスクを被っているから、さらに混乱する。
「ハンバァーーーーーーグゥッ!!!!!」
そして無駄にうるさい。ウザい。会場の方々もざわざわしている。ドン引きしている。ヤツは気にもせずに審査員のところへ向かっていく。料理をノリノリで審査員に配る。しかも、丁寧さのかけらも感じられない、雑なやり方だ。なんかこれだけで不合格になりそうな雰囲気だ。
「なんじゃありゃ!?」
ヤツのハンバーグが何かおかしい。色が薄い。明らかに肉の色じゃない。なんかこう、野菜とかを炒めたような色……ていうか、タマネギなんじゃないか? アレ。
「なんだこれは?」
「これはまた、風変わりな?」
「ハンバーグっちゃあ、ハンバーグ?」
「なんやねん、これは? なんかヘンなモン……?」
審査員も全員戸惑っている。そんな中、アイツはゲス王にそっと近寄り、何かを手渡し、さっとその場を離れ口笛を吹き始めた。怪しい。何かしやがったな。
「一つ聞く。貴様、これはほとんど肉を使ってないな? ほぼタマネギなのではないか? んん?」
「タマネギっちゃあ、タマネギ?」
至高帝と仙人が物言いを付けた。大皇は目を閉じ腕組みをして黙り込んでいる。それに対し、タマネギ仮面がヅカヅカと審査員席に近付く。おお? 文句でも言うつもりか? ヘタすりゃ一発退場になるぞ。
「別にハンバーグに肉使わないといけないっていうルールでもあるんスか? もちろん使ってませんとも! 肉は1%、タマネギは99%使用ッス! 逆転の発想ッスよ! 斬新っしょ!名付けてタマネギーグ!」
あああ! やりやがったぁ! また空気読めないことしたぁ! 何がタマネギーグだ! コンテストの主旨ガン無視じゃねえか。肉料理じゃないハンバーグとは一体……。しかし、ほぼタマネギのみでどうやってあの形に固めたのか気になる。ヘンな所で謎テクニック使ってんじゃないよ。うまさにつながるように使えよ……。
「せや! ええこというわ、アンタ! おもろいし、こんなうまいもん食うたことないわぁ! 40点やぁ!! ワテが満点出したるわぁ!」
なんかゲス王があのアホに賛同している! しかもうまいとか言ってるし! 気でも狂ったか? ……待てよ? さっき渡していた物はもしや、賄賂か! 前科もあるからな。タニシを買収してたし。謎の調理テクも気になるが、ヤツの財源はどこから来ているんだろう? ますます怪しい。
「まあ何はともあれ、規定違反ですな、司会殿?」
大皇は司会にルール違反を進言している。そんなルールがあったとは。まあ、あれはハンバーグじゃないし、肉料理ですらない。残当か。
「大皇のおっしゃるとおり、規定違反でございます。ハンバーグ先生さんは失格となります!」
「え、何? 特別賞? 照れるッスよ! 何、何? なんかVIPルームにでも連れて行ってくれるんスか?」
相変わらず、空気が読めてない。空気どころか、耳も悪いだろ、アレは。素直に退場しなかったので、ヤツは運営の人、数人の手によって強制的に摘まみ出されることになった。残当。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より

異世界魔王召喚〜オッサンが勇者召喚じゃなくて魔王召喚されてしまった件!人族と魔族の間で板挟みになってつらい〜
タジリユウ
ファンタジー
「どうか我々を助けてください魔王様!」
異世界召喚ものでよく見かける勇者召喚、しかし周りにいるのは人間ではなく、みんな魔族!?
こんなオッサンを召喚してどうすんだ!
しかも召喚したのが魔族ではないただの人間だ と分かったら、殺せだの実験台にしろだの好き勝手言いやがる。
オッサンだってキレる時はキレるんだぞ、コンチクショー(死語)!
魔族なんて助けるつもりはこれっぽっちもなかったのだが、いろいろとあって魔族側に立ち人族との戦争へと……
※他サイトでも投稿しております。
※完結保証で毎日更新します∩^ω^∩
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる