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第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第45話 魔術師とは決して目を合わせるな!

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(ズドォォォォォン!!!!)


 俺の真上を破滅の閃光が通り過ぎていく。やり過ごしはしたものの、ちょっと熱い。凄い熱量だ。喰らったら、即蒸発とかそんなレベルなんだろう。ソレをどうかわしたというと、その場に仰向けに倒れ込んだ。ただそれだけ。以前、侍の攻撃をかわした時と同じ。あの時はただのハプニングだったのだが、今回はあの経験を生かした。


「馬鹿な! あのタイミングでかわしただと! ありえない!」


 さすがに魔法だ。二種類も魔法を立て続けに使ったから、追撃が来ない。いや、出来ないのだろう。そういう意味では邪魔されることなく起き上がれた。起き上がったついでにもう一度剣を抜こうとした。でも、やっぱり抜けない。


「握手の時、何したの? 正直に言うてみ?」


 ラヴァンは動揺から気を取り直し、俺と相対する。避けられたのは誤算だったようだが、まだまだ余裕が見られる。まだ策はあるのだろう。

「フッ、学ばない男だな君は。私は君に剣を抜けないようにするギアスをかけた。」

「あれだけのことで!?」

「知らないのか? 魔術師と相対する時は決して目線を合わせてはいけないし、むやみに体に触れてもいけない。単純なギアス程度ならそれだけで成立させることが出来るからだ。ナドラ様が君にギアスをかけたときも同様だ。目を合わせてしまったことが、君の過ちだ。」


 目を合わせたり、握手するのがアウトかよ。だって人と話すときは目を合わせるのは基本でしょうが! 握手もだ。求められたからには応じるべきだろ? 魔術師ってマナー悪すぎなんじゃない?


「言っておくが、これは基本だ。常識を知らなかった君が悪い。魔術師をなめた報いだ。思い知るがいい!」

(ウヴンッ!!)


 この瞬間、俺の体は重くなった。疲れているのだろうか? いや違う。疲労から来る倦怠感とかそういうのではない。体中に金属の塊を付けられた様な感触がある。身動きを取ろうとしても、異様な重さでほとんど動かせない。


「な……なにをし……た?」

「重力制御の魔術を使った。それでは身動きが取れまい? だが、容赦なく私は攻撃を加える。これは決闘だからな。」


 今度は体の左右から圧迫感を感じる。これは以前、エルが戦った双子の魔術師が使っていた魔法かもしれない。あの双子は二人がかりで行使していたが、コイツは一人だけで実現している。そういう意味ではあの二人よりも強いのかもしれない。


「逃げることは出来ないはず。放っておけば君の体は圧搾され、跡形もなく崩壊してしまうだろう。そうなる前に降参する事を勧める。」


 やり口も同じか。相手をギブアップさせることが目的のようだ。エルはあの時、アクセレイションで強引に脱出していた。でも、俺はそんな物は使えないので、脱出不能だ。


(メキ……メキ……。)


 ちょっとずつ、締め付けがキツくなっていっている。そのたびに体が軋む音が聞こえてくるようだ。俺はこのままペシャンコになってしまうのか?


「強情な奴だな。大武会でのエレオノーラの様な力を君は持っていないはず。即ち脱出は不可能。耐えるだけ無駄ということだ。このままでは確実に、馬車に轢かれたカエルのように無様に潰れて死んでしまうことになるぞ!」


 そうか、カエルみたいになっちまうか。泥まみれになったり、全身ボロボロになったり。今度はカエルか。カエル……ん? ちょっと待てよ。カエルって捕まえようとしてもヌルッとすり抜けることが多いよな?


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