【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

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第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第39話 目覚めよ、眠り姫。

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「私を馬鹿にするなぁ! 今、あなたを八つ裂きにしたいと思っているのに!」


 俺の行為が彼女を更に怒らせた。元々、怒ってはいたが、今は冷静さが完全になくなってきている。動揺を誘えたのは間違いない。


「もういい! あんたなんか、首を刈り取って体は八つ裂きにしてやる!」


 彼女は意外にも、武器を手に取った。突然虚空からいつも愛用している大鎌を持ち出したのだ。形状は今の姿を反映して、凶悪な物に変化している。いつもの優雅なデザインとは対照的だ。ここからは更に攻撃のリーチが長くなる。


「死ぃぃぃぃねぇぇぇぇぇっ!!!!」


 彼女は血走った目で、大鎌を振り上げ襲いかかってきた。猛然と大鎌を振り回してはいるが、さっきまでの爪による攻撃に比べたら、避けやすい。技術も何もない攻撃になってしまっている。完全に冷静さを失っている証拠だ。


「なんで当たらないのぉ! こんなに必死にやってるのに! 不公平だわ!」


 不公平って……君のその身体能力はかなり反則的なんだと思うんだけど? 当たらないのは力に頼りすぎているからだ。多分普段の彼女の方が強い。俺を圧倒しそうなぐらいに。そんな彼女に戻すために更なる一手を俺は実行に移す。


「もあいどん!」
(決め手はこれだ!)

「やらせるもんかぁ!」


 口では止めるとは言っているが、彼女はさっきと同じミスを犯した。俺は再び、大ぶりな攻撃を掻い潜り彼女の眼前に迫った。眠り姫の目を覚ますにはこれが一番だ!


「むぐっ!?」


 彼女の口を俺の口で塞いだ。要するにキスをした。普段とは違い、幾分獣臭い危険な香りがする。普段の姿ならすごい良い匂いするんだけどなあ……。などと思いつつ、彼女から離れる。


「な、何を……こんな……ときに……こんなことを……。」


 かなり動揺している。目付きが普段の彼女のものに戻りつつある。声も怒張のこもったものから変化している。


「うう……ううううわあああああぁぁぁっ!!!!」


 彼女は大鎌を地面に落とし、両手で頭を抑え、激痛に苦しめられているかのように、絶叫をあげた。膝をつき、頭を振りながら何かに耐えようとしている。


「ううう、黙れ! 私はあいつを殺さないといけないんだぁっ!!」


 まるで見えない誰かと戦っているみたいだった。それを見ていた蛇の魔王も沈黙を破り、沈静化を図ろうとする。


「落ち着きなさい! 私ならばあなたの希望を叶えることが出来る。怒りに、破壊衝動に身を委ねなさい!」


 魔王も今回ばかりは焦りを見せている。あっちからしても、想定外の出来事なのだろう。


「……私は……負けない!!」


 獣のエルから、何かが飛び出した。俺は思わず、飛び出してきたものを見た。そこには……、


「心配かけて、ゴメン。もう大丈夫だよ。」


 凜々しい姿をした、いつものエルの姿があった! 念願の再会だ! いつもに増してその姿は綺麗に見えた。そして何を思ったのか、俺に向かって大鎌を振り上げ、斬り込んでくる。ダメだ。今は避けられない!


「……霽月八閃!」


 バッサリと袈裟懸けに斬られた。でも痛くはない。俺を斬ったのは間違いないが、何を斬ったのだろう?


「おう、あう! はっ!? しゃべれてるっ!」


 ついに俺は呪縛から解放された。これで奇声を上げ続けなくて済む! ムカツク自称婚約者や生意気な弟分、空気読めない弟子に色々言ってやれる! 勇者ロア完全復活だ!


「あなたにかけられたギアスを斬ってあげたのよ。私を悪夢から解放してくれたお礼にね!」


 そして彼女は蛇の魔王へと大鎌を向ける。俺もそれに合わせて、同じように剣を向ける。


「さあ覚悟しろ! 俺たち(私たち)の愛の力を思い知れ!!」


 事前に打ち合わせをしたわけじゃないのに、二人の口上は一致していた。俺たちが負けるはずがない。例えどんなヤツが相手だろうと!
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