【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第34話 タマネギを一つ頂こうかしら?

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 さて、問題はこれからどうするかだ。ラヴァンに先を越され、エルの本体とミヤコの救出も出来ていない。おまけにオバサンや魔王の企みはまだ継続中と、はっきりいって状況は全く良くない。


「もるげっけそ?」
(タニシと黄ジイはどこ行ったんだ?)


 例の少年と対峙して以降、アイツらとも離ればなれだ。黄ジイがいるからタニシは無事だろうけど、心配だ。


「ん? タニシパイセンなら近くにいるっスよ?」

「……も?」
(……なんだって?)


 急に目の前の空間がぐわんと歪み、そこから複数の人影が飛び出してきた。一人を除けば正体は見慣れた連中だった。


「ふふぃーっ! やっとアニキと合流できたでヤンス! ほええっ!?」

「うええっ、気持ち悪ぅ! ……ゆーしゃ、ちゃんと生きてた?」


 タニシ、ミヤコは異界渡りの影響で気持ち悪くなったのだろう。苦しそうにしている。タニシは勢い余ってゲロってしまっている。黄ジイもいるが相変わらずピンピンしている。よく見たら少年がジジイに担がれた状態で同行している。


「もものめ? まんも?」
(なにがあった? なんでそいつも一緒にいるんだ?)

「色々あってのう。此奴も一緒におれば、解決も早まると思ってな。お主の伴侶の縁者なのであろう?」

「ももんめ……。」
(そうだけど……。)


 共闘出来た方がいいに決まっているが、割と強引に連れてきたっぽいな? 結構頑ななっていうか、他人を信用してないっていう雰囲気だったしな。目が覚めたらどうなるかわからんぞ。ちゃんとアフターフォローはしろよ、ジイさん。


「ゲイリー、こんなとこにいたでヤンスか? ……って、ほええええっ!? グロ注意でヤンスぅ!」

「わっ!? ナニコレ? ヒドっ! グロすぎ!」


 あちゃーっ! 見てしまったか。アレを。ゲイリーがオバサンの幻影をミンチにしてしまったのがまだそこに残っていた。


「いやあ、照れるッスわ! 褒められるのホントに照れるッスわ!」


 褒めてないから。相変わらず空気を読めないヤツだな。コイツ、ホントに性格がおかしい。マジキチ!


「ホホホ、脳天気なものね。」


 突如、どす黒い気配が現れた。その声と共に肉片の周りの血が一カ所に集まり、それが次第に蛇の姿に変化した。


「この婦人の幻影に危害を加えることが、自分たちの立場を危うくするというのに。よくもまあ、派手に散らかしちゃって、まあ……。」


 蛇は不気味に笑う。ゲイリーのやらかしを見てほくそ笑んでいるみたいだ。蛇自身の体ではないから、オバサンの体のことなんて、意に介してもいないのだろう。結託しているとはいえ、オバサンもエルと同様、人質同然なのだ。


「いやあ、それほどでもないッス! 自分不器用なんで!」


 コイツ……。ホントどうしようもねえわ。今後、どうやって教育していこうかな? まずは空気の読み方を教えないことにはどうしようもないが。


「あなた、私たちの手勢に加わる気はない? 私はそのマインドを高くを評価しているのよ。あなたはどちらかというと此方側の人間だと思うわ。」


 げ、ゲイリーを勧誘だと! まさかの展開だ。確かに常軌を逸した行動は正義とはかけ離れていた。だけど、そんなことはさせるわけにはいかない。


「だが……断る!!!!!!!」


 どぅわっ!? 声がデカすぎで耳がキーンッてなった! まあ、それはさておき、断ったことは評価してやろう。


「……って、一辺、言ってみたかったんスよ! まあ、それとは別に今回はチェンジってことでよろしくです! 今、なんかそういうノリじゃないっつーか……気分がノらないんスわ。」


 なんだよ、その理由! 気分次第でお前は寝返るんか! お前にはモラルの概念はないのか! 何もかも常識外れで頭が痛い……。


「まあ、いいわ。今回は縁がなかったということにしましょう。勧誘には失敗したけれど、勇者、あなたを始末することには影響しないわ。そろそろ、決着をつけましょう。」


 そうだな。長引くとエルの身の安全が確保出来なくなる。それどころか彼女の精神も危険にさらされている。早いとこ魔王を倒して救出しに行かなくては!


「ただ、私に挑戦できるのは勇者だけよ。他の方々に手出しさせる気は毛頭ないのよ。次に行く空間には勇者一人で来てもらうわ。」

「なんじゃと! 儂らに選択権がないとでも言うのか?」

「ないわね。こちらには人質がいるということをお忘れなく。」


 チクショウ、せっかくみんなが揃ったっていうのに! 二人も人質がいるんなら、従うしかない。例え罠だとしても。


「こんなの絶対、罠じゃん!」

「ももんがー。」
(だとしても行くさ。)


 話せないから、行動で意思表示する。蛇の元へ一歩進み出る。蛇も了承したようで、ニヤリと顔を歪ませる。例え蛇でも雰囲気でそれが伝わってきた。


「ダメじゃん! アンタまた同じ事するつもり? 前は助けられたけど、今度は出来る保証ないよ!」


 それでも行く。それしか手がない。だからといって簡単に負けるつもりはない。


「行かせてやれ。儂らが人質の安全を確保しに行けば良いのじゃ。そうと決まれば、儂らも行くぞ!」

「ちょっと! お爺ちゃん!」


 ミヤコはまだ不服なようだが、黄ジイは俺の意志を汲んでくれたようだ。早速空間に裂け目を作り、移動の準備を始めている。


「ホホホ、そう簡単にうまくいくかしら? あなた方には、あのお坊ちゃんの相手でもしてもらうことにするわ。」

「構わぬよ。その坊主をも巻き込むまでじゃ。」


 黄ジイはミヤコ達を無理矢理、裂け目に押し込み、自分も中へ入っていった。


「今のお主なら負けはせん。気を強く持つ事じゃ……。」


 消える前に最大のエールを送ってくれた。俺もその期待に応えないといけない。何が起きようと全力を尽くすまでだ!


「準備は出来たかしら? さあ、おいでなさいな。最大級の悪夢を味あわせてあげるわ!」
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