【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

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第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第4話 新タマネギはいかがですか?

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「いつの間に師匠になったの?」


 エルがくすくすと笑いながら、俺をからかう。いやいや、知らんがな。俺かて初めて聞いたんだけど? こんなむさ苦しい、面白おかしいヤツのことは知らん!


「どういうことだ、タニシ? なにがあったか説明しろ!」

「これは深い理由があるでヤンス。ヤンス、ヤンスでヤンス。ヤンスヤンス! ヤンス~ぅ! ……と言うわけでヤンス!」

「何語だよそれ!? 意味が全然わかんないんだけど?」


 ヤンスばっかりだ。ヤンスの大洪水だ。


「そっか、そっか! なるほど! 前々から付いてきてたけど、声をかける切っ掛けがなかった? んで、ワンちゃんが一人きりになったのを機にコンタクトを決行! ワンちゃんに御馳走し恩を売り、勇者へのアポをとりつけたのだ! だってさ!」


 ドヤ顔でミヤコが説明する。さも当たり前のようにヤンス語を翻訳している。内容が本当なら今までの違和感、気配はコイツの仕業ということになる。タマネギ臭さもな。というか、メシを奢られたからって、安易に怪しい奴を連れてくるとは! 賄賂受け取ったり、買収されたようなモンじゃないか。


「だってさ、って何だよ! お前は通訳か! なんでわかったんだよ!」


 横ではエルがくすくす笑っている。多分、俺と同様、意味はわかってないと思われる。


「それは企業秘密です!」


 なにが企業秘密だ! さっきのヤンス語は暗号かなにかなのか? 開示しろ! 俺にわからないような秘密を持つなよ!


「お願いしヤス! 是非とも弟子にしてもらいたいッス! 強くなりたいッス!」

「言うて、俺のどこがいいの? 他に強い人いるよ?」


 エドとかファルとか、侍とか? 梁山泊という手もある。俺に弟子入りとか何を血迷ったのか。俺、人に教えたりしたことないんだけど。非常に困る。


「いえ! 一番強い人に弟子入りしたいッス! 世界一強くなりたいんスよ、俺っち!」

「ええ~? 世界一強いわけないから。大武会ちゃんと見てた? 優勝したとはいえ、決勝でフルボッコにされてたんだけど?」

「見てたッス! でも勝ったから問題ないッス!」


 お前も勝利至上主義か? もうそういうのはいいんで勘弁して頂きたい。疲れるから。様子を見ると、どうあっても引き下がるつもりはないらしい。鼻息が荒い。タマネギ臭い。


「うふふ、いいんじゃない? 弟子にしてあげても。宗家さんには分派って認めて貰っているんだから。」

「う~ん。」


 困ったな。エルにそんなこと言われたらなあ……。いきなり分派として活動せにゃならんのか。一生フリーでいるつもりだったのに。俺みたいなんが誰かの世話をしないといけなくなるなんてな。


「……じゃあ、しょうがない。認めてやろう。これより俺達は……流派梁山泊、極端派として活動する!」

「うふふ、やる気満々じゃない。」

「ノリノリじゃん! 前から考えてただろ、絶対!」


 今思いついた。考えてたわけじゃないんよ。パッと頭に浮かんだ。我ながらいいアイデアだと思う。俺自身の戦い方は極端に変則的なことに定評があるからだ。色んな人から言われる。


「そういえば、タニシ? お前、コイツのこと舎弟とか言ってたけどなんで?」

「そりゃ、あっしはアニキの弟子一号でヤンスから……、」

「断る。」

「ええ~、しょんな~!?」

「だが断る。」

「破門されたでヤンス……。」


 お前、戦闘力ほぼ皆無じゃないか。戦闘以外でがんばればいいだろ。この前も商売の勉強してたんだし。加えて、実家の稼業引き継ぐんだからな。


「あ、そういえば、お前の名前聞いてなかったな? 名前は?」

「ウス! 俺っちはゲイリー・ザ・オニオンって言うッス! よろしくお願いしやス!」


 名前もタマネギかよ! 名を名乗りゲイリーは深々とお辞儀する。頭の頭頂部がよく見えるくらいに。その時俺は奇妙な物を見た。……ヤツの頭頂部後ろ側に“108”という謎の数字が書かれていた。入れ墨だろうか? まるで戦技“一0八”計みたいじゃないか。これは偶然? 何だろう? 何か背中にゾワッとするものを感じた。
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