2 / 331
第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】
第2話 タマネギはNGでヤンスよ!
しおりを挟む
「ん~? 何か違和感を感じる。」
サウス・ダウンの町を出る少し前から感じていた。何か妙な気配がずっとしていた。視線を感じるというか。
「どうしたの?」
エルが心配そうに尋ねてきた。視線? まあ……エルからの視線は前よりも感じるようにはなったが、それ以外の誰かからだ。でも、悪意は感じない。狙われてるとかそういうのではなさそうなので今まで放置していた。
「クンクン! あっしもずっとヘンな匂いがしていて気になってたでヤンス。タマネギっぽい匂いがするヤンス!」
そういえばタマネギの匂いが漂っているような? 今は目的地途中の宿場町にいる。宿屋ばっかりじゃなくて、飲食店、酒場等も多く、宿が兼業しているケースもある。こんな場所だから、おいしそうな料理の匂いも漂ってきているのだ。……あれ? 話が脱線してきた。まあいいや。
「ヘンなって何だよ。おいしそうな匂いだろ?」
「違うでヤンス! あっしらコボルトにとってはタマネギは天敵! 猛毒でヤンス! 食べたら死ぬヤンス!」
「そうなのか。知らんかった。」
そういえば、犬にタマネギを食わすな、というのはよく聞く話だ。ということは、犬人《コボルト》も基本的に犬と同じ体質なのか。でも猫人《フェルプール》は猫舌じゃなかったのになあ。ジェイとアール君親子は平気でアツアツの食べ物を食べてたのを目撃したので間違いない。
「この辺りはタマネギが特産品なの。タマネギを使った料理も名物だから、食べに行きましょうよ。」
「そうだな。ちょうど腹も減ってたし、何か食べるか?」
目の前にタマネギ料理専門店がある。タマに行くならこんな店……。よし、キマリだ。この店にしよう!
「この店でヤンスかぁ! あっしには拷問みたいなモンでヤンス!」
「まあまあ。タマネギ嫌いな人のためのメニューもあるだろ。大丈夫だ。大丈夫だぁ!」
なんかヘンなテンションになってしまったが、とりあえず入ることにした。そして、タニシはしょんぼりしながら渋々ついてきた。
「ちょいと、邪魔すんでぇ!」
「あっしのとこの社長みたいでヤンス。」
ちょっとゲンコツのおっちゃんの真似をしてみた。おっちゃん、元気かなあ?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ありゃりゃ?タマネギメニューばっかりだな。」
席についてメニューを見てみたら……見渡す限りタマネギメニューばっかりだった。新タマネギサラダ、オニオングラタンスープ、タマネギステーキ、タマネギ丸焼き、生たま丸かじり。全部タマネギやないかい!
「おうあ! あっしが食べれるモノがないヤンス! 確実にあっしを殺す気満々でヤンスぅ!」
「タマネギじゃなくて、オニオンなら大丈夫なんじゃないの?」
「んなわけないヤンスぅ! 呼び方が違うだけヤンス! どっちもタマネギでヤンス!」
ダメかぁ。タニシが食べられる物はなさそうだ。残念だが仕方ない。
「ねえ、ワンちゃん。これとかどう?」
ミヤコがなにか見つけたようだ。メニュー表の一番最後になにか書いてある。なになに……タマネギ一切不使用……おお! これなら大丈夫じゃないか!
「タニシ、これ!」
タニシもメニュー表を確認する。しかし、なんかガッカリしている。何よ?
「タマネギ不使用……これは同伴ペット用(犬)メニューでヤンス! ワンちゃんもご一緒にいかが?って、あっしはペットではないでヤンスぅ!」
「でも、ワンちゃん用って書いてあるよ?」
「違うでヤンス! それはミャーコちゃんがあっしを呼ぶときの名前でヤンス! 意味が違うでヤンス!」
タニシはテーブルに突っ伏して嘘泣きを始めた。でもなあ、俺はここのメニューがどうしても食べたい。俺の勘が告げている。ここのは絶対にうまいと。
「もういいでヤンス! あっしは別の何かを探しに行くでヤンス! わひーん!」
タニシはスタコラと店を出て行こうとする。まあ、しょうがない。昼過ぎだが急いでないので、ここではゆっくりするつもりだ。別行動を取ることにしよう。
「夕方までには戻ってこいよ! この店が集合場所な!」
店を出る直前で、タニシは片手を上げた。一応伝わったようだ。
「ちょっと二人ともいじめすぎなんじゃない?」
エルが俺達を咎める。まあ、ちょっとそう見えるかもしれない。でも、店を出がかりのところで俺の言葉には反応していたので問題ないと思うが。
「別にいいじゃん! こういうやりとり久し振りなんだし! それにサヨちんがいたらもっと面白いことになってたと思うよ。加えてワンちゃんはドMだから大丈夫♪」
サヨちゃんが俺ら勇者パーティーを去って以降、ツッコミ・イジりのポジションはミヤコが引き継いでいる。強気なところは似ているので違和感はない。しかも、以外と面倒見がいいので、ダラダラしがちな俺やタニシはよくケツを叩かれる。サヨちゃんはちゃんとミヤコを後継者にして出ていったようだ。色々、教えていたようだし。
「ああ、そういえば、まだ頼んでなかった! すんません、オーダー頼みます!」
しみじみとサヨちゃんのことを思い出しつつ、心置きなくタマネギ料理を楽しむことにした。
サウス・ダウンの町を出る少し前から感じていた。何か妙な気配がずっとしていた。視線を感じるというか。
「どうしたの?」
エルが心配そうに尋ねてきた。視線? まあ……エルからの視線は前よりも感じるようにはなったが、それ以外の誰かからだ。でも、悪意は感じない。狙われてるとかそういうのではなさそうなので今まで放置していた。
「クンクン! あっしもずっとヘンな匂いがしていて気になってたでヤンス。タマネギっぽい匂いがするヤンス!」
そういえばタマネギの匂いが漂っているような? 今は目的地途中の宿場町にいる。宿屋ばっかりじゃなくて、飲食店、酒場等も多く、宿が兼業しているケースもある。こんな場所だから、おいしそうな料理の匂いも漂ってきているのだ。……あれ? 話が脱線してきた。まあいいや。
「ヘンなって何だよ。おいしそうな匂いだろ?」
「違うでヤンス! あっしらコボルトにとってはタマネギは天敵! 猛毒でヤンス! 食べたら死ぬヤンス!」
「そうなのか。知らんかった。」
そういえば、犬にタマネギを食わすな、というのはよく聞く話だ。ということは、犬人《コボルト》も基本的に犬と同じ体質なのか。でも猫人《フェルプール》は猫舌じゃなかったのになあ。ジェイとアール君親子は平気でアツアツの食べ物を食べてたのを目撃したので間違いない。
「この辺りはタマネギが特産品なの。タマネギを使った料理も名物だから、食べに行きましょうよ。」
「そうだな。ちょうど腹も減ってたし、何か食べるか?」
目の前にタマネギ料理専門店がある。タマに行くならこんな店……。よし、キマリだ。この店にしよう!
「この店でヤンスかぁ! あっしには拷問みたいなモンでヤンス!」
「まあまあ。タマネギ嫌いな人のためのメニューもあるだろ。大丈夫だ。大丈夫だぁ!」
なんかヘンなテンションになってしまったが、とりあえず入ることにした。そして、タニシはしょんぼりしながら渋々ついてきた。
「ちょいと、邪魔すんでぇ!」
「あっしのとこの社長みたいでヤンス。」
ちょっとゲンコツのおっちゃんの真似をしてみた。おっちゃん、元気かなあ?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ありゃりゃ?タマネギメニューばっかりだな。」
席についてメニューを見てみたら……見渡す限りタマネギメニューばっかりだった。新タマネギサラダ、オニオングラタンスープ、タマネギステーキ、タマネギ丸焼き、生たま丸かじり。全部タマネギやないかい!
「おうあ! あっしが食べれるモノがないヤンス! 確実にあっしを殺す気満々でヤンスぅ!」
「タマネギじゃなくて、オニオンなら大丈夫なんじゃないの?」
「んなわけないヤンスぅ! 呼び方が違うだけヤンス! どっちもタマネギでヤンス!」
ダメかぁ。タニシが食べられる物はなさそうだ。残念だが仕方ない。
「ねえ、ワンちゃん。これとかどう?」
ミヤコがなにか見つけたようだ。メニュー表の一番最後になにか書いてある。なになに……タマネギ一切不使用……おお! これなら大丈夫じゃないか!
「タニシ、これ!」
タニシもメニュー表を確認する。しかし、なんかガッカリしている。何よ?
「タマネギ不使用……これは同伴ペット用(犬)メニューでヤンス! ワンちゃんもご一緒にいかが?って、あっしはペットではないでヤンスぅ!」
「でも、ワンちゃん用って書いてあるよ?」
「違うでヤンス! それはミャーコちゃんがあっしを呼ぶときの名前でヤンス! 意味が違うでヤンス!」
タニシはテーブルに突っ伏して嘘泣きを始めた。でもなあ、俺はここのメニューがどうしても食べたい。俺の勘が告げている。ここのは絶対にうまいと。
「もういいでヤンス! あっしは別の何かを探しに行くでヤンス! わひーん!」
タニシはスタコラと店を出て行こうとする。まあ、しょうがない。昼過ぎだが急いでないので、ここではゆっくりするつもりだ。別行動を取ることにしよう。
「夕方までには戻ってこいよ! この店が集合場所な!」
店を出る直前で、タニシは片手を上げた。一応伝わったようだ。
「ちょっと二人ともいじめすぎなんじゃない?」
エルが俺達を咎める。まあ、ちょっとそう見えるかもしれない。でも、店を出がかりのところで俺の言葉には反応していたので問題ないと思うが。
「別にいいじゃん! こういうやりとり久し振りなんだし! それにサヨちんがいたらもっと面白いことになってたと思うよ。加えてワンちゃんはドMだから大丈夫♪」
サヨちゃんが俺ら勇者パーティーを去って以降、ツッコミ・イジりのポジションはミヤコが引き継いでいる。強気なところは似ているので違和感はない。しかも、以外と面倒見がいいので、ダラダラしがちな俺やタニシはよくケツを叩かれる。サヨちゃんはちゃんとミヤコを後継者にして出ていったようだ。色々、教えていたようだし。
「ああ、そういえば、まだ頼んでなかった! すんません、オーダー頼みます!」
しみじみとサヨちゃんのことを思い出しつつ、心置きなくタマネギ料理を楽しむことにした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる