【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第2部  第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第55話 憎しみの一撃

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「受けてみろ、憎しみ、苦しみを! ダークネス・イレイザー!!」


 構えはシャイニング・イレイザーと同じ、纏うオーラの色は闇色。エピオンは闇版のシャイニング・イレイザーというべき技を放ってきた。しかも、殺意の塊と言っても差し支えないくらいに強力に見える。これは下手に避けるよりは相殺した方がいい!


「絶空八刃!!」


 とっさに放つならこれが限界だ! 最高奥義は精度を上げるために、これよりも更に集中が必要だからだ。まだ使い慣れていない技を無理に使えば命に関わる。とっさではあったが、目の前に迫る殺意の塊は俺の技で相殺できた。


「相殺か! 甘い! オレなら更にダメ押しの一撃を出せる! ダークネス・イレイザー・ダブルスタック!」


 イレイザーの二連撃だと! 俺単体では無理だし、この前やったファルとのツープラトンがせいぜいだ。ていうかそれ以前に相殺出来るのか……? ダメ元でもう一度、絶空八刃の構えをとったその時、俺の前に立ちはだかる大きな影があった。


「こんガキャあ! 俺っちを差し置いて師匠を攻撃するとはナニサマだぁ? 先に弟子に挨拶するのが筋だろぉがぁ!!!」


 ゲイリーだった。何かよくわからないことを言いながら割って入ってきた。このままではエピオンの技をまともに食らってしまうだろう。


(ヴォウワァァァッ!!)


 背中しか見えないのでわからないが、多分、ゲイリーはまともに直撃を受けている。このまま、処刑隊の連中と同じ末路を辿るのかと思いきや、何も変化しなかった。


「痛くもなんともないぜ!」

「何!? ダークネス・イレイザーが効かないだと!? 吸収したっていうのか? お前、一体何をした?」


 確かに三日月形状の黒い衝撃波が吸い込まれるかのように小さくなったような気がする。正面から見てないので何とも言えないが。


「そんなもん、気合いと根性で我慢に決まってんだろうがぁ! 文句あっかぁ!」


 ぐわあはははは、とゲイリーは豪快に笑う。技とかそういうのなしで防いだとか……そんなレベルだと最早化け物の領域だ。


「クソッ、もう一度だ! ダークネス……くっ!?」

「ヤンのか? ヤンのか、オラぁっ!」


 その時、エピオンに異変が起きた。鎧の胸の部分が開き、黒い水晶玉が露出した。しかも、煙のような、湯気のような物をあげている。


「クソッ、オーバーヒートか! こんな時にっ!?」


 オーバーヒート? 力を酷使しすぎで使用不能になったとでもいうのだろうか? あれがもしかしたら、デーモン・コアなのかもしれない。苦しげにしている辺り、戦闘は続行不能になったのは間違いなさそうだ。


「ハハッ、だっせぇ奴め! 俺っちが成敗してやるぅ!」


 ゲイリーは剣を抜き、血走った目でエピオンに斬りかかろうとした。それを俺が急いで止める。異空間の中でオバサンの幻影を細切れにした経緯があるので意地でも止めないといけない!


「こらっ、もうやめろ! 相手はもう戦えない。これ以上続けるのは俺が許さん!」


 敵とはいえ、エルの弟がそんな状態にされたんじゃあ、たまったもんじゃない。しかし、なんて馬鹿力だ。俺が必死で止めてるのに、暴れるのをやめようとはしなかった。


「エピオン! あなたももう止めなさい! 彼は私の大切なパートナー。貴方にとってもお兄さんなのには違いないわ。傷付け合うのはよくない!」


 俺がゲイリーを止めるのと同時に、エルはエピオンを説得していた。俺が止めようとしてもダメだろうから、エルに止めてもらうのが一番だろう。


「クッ!? あんな奴は兄とは呼べない。それ以前に、家族として認められるものか!」


 エピオンは強がり、エルを押しのけて、俺と対峙しようとするが、まだ苦しそうだ。コアからはまだ煙が上がっている。


「悔しいが、今回はこれぐらいにしておいてやる! 次は必ずお前を殺す!」


 エピオンはこの場を立ち去ろうとしている。腰の小袋から宝石のような物を取り出した。


「コラ待て! ウチを殺すんじゃなかったの!」


 何故かミヤコがしゃしゃり出てきた。俺が見ていないところで、エピオンと何かあったんだろうか? コイツも殺す宣言を受けたのか?


「フン、お前なんかどうでもいい。せいぜいお花畑な、その頭をマトモな状態にでもしておくんだな!」

「な、何がお花畑だ! このシスコン馬鹿! 今度会ったら、口にいっぱいタマネギを押し込んでやるぅ!」

「馬鹿じゃないの?」


 エピオンは宝石を頭上に掲げると、その体は一瞬にして姿を消した。転移魔法か何かだろうか?


「転移石……ドラゴンズ・ヘヴンに戻ったのね。」


 エルは寂しそうにエピオンがいた所へ視線を送っている。やはり、もっと色々話したいことがあったのだろう。


「ホホホ、終わったようね。」


 ホッと一息つこうと思ったとき、その声が聞こえてきた。忘れていた。魔王がいたということを!
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