355 / 401
第2部 第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】
第13話 もんすと? もんはんどす?
しおりを挟む
「おう、なんじゃ? 狐がしゃべっとるじゃないか? 物の怪か?」
「キツネではないでヤンス! コボルトでヤンス!」
「何ぃ? こばるとじゃとう? 鉱石か何かじゃったのか、お主は?」
「コボルト! 石でもないヤンス! あっしらは犬の獣人でヤンス!」
なつかしいやりとりだ。俺がタニシに会ったときと同じだ。普通に見たらキツネにしか見えない。まさか極東の希少種コボルトだなんて誰も思わないだろう。
「もんもろ!?」
「相変わらず、アニキが何言ってるかわからんヤンス!」
「なんじゃ? お主、しゃべられん呪いでもかけられおったんか?」
いや、それは俺もわからんし! ゼアスだかゼウスみたいな名前だったと思う。知らんけど。俺たちがバカなやりとりをしている間に、アンデッドが周りを取り囲んでいた。しかし囲まれた、というヤツだ。
「しょうがないのう。物の怪が無限に沸いてきおるようじゃの。ここは……ちと一肌脱いでやるかのう!」
黄ジイは両手の平を合わせて、目を閉じ集中を始めた。なにか大技が繰り出されるに違いない!
「ほうぁー!!!」
(プッスゥゥゥゥゥン!!!!)
周囲に沈黙が流れた。……と同時に悪臭がただよい始めた。……おならじゃねえかぁ!?
「く、くちゃぁぁぁぁぁい!?」
「もんげーろ!」
臭え。何食ったらこんな臭くなるんだ。俺でさえ臭いと感じるんだから、鼻のいいタニシには致死量の毒ガスなのではなかろうか。そんなことはどうでもいいが、攻撃と見せかけてオナラするとはどういうつもりだ。
「おお、すまん。つい別のモンが出ちまったわい。……覇気…放散!!!」
黄ジイから突風の様な物が発せられた。周囲のアンデッドは為す術なく吹き飛ばされてしまった。しかも跡形もなく消え去ってしまった。最初はミスっていたが、凄い技だ。気合いだけで全部のアンデッドを消してしまった。
「ふぅー、久し振りに戦うと腰に来るわい。屁まで出てしもうた。歳は取りたくはないのぅ~。」
「もんげげ?」
「そういえば、オジイチャンどこからここへ入ってきたでヤンスか?」
俺もそれを聞きたかった。ここへ転送される前はいなかったはずだ。いや、いたはずはない。潜んでいたとしても、範囲に入っていなけりゃ転送されない。ラヴァンは確かそんなことを言っていた。
「理由か? 簡単じゃよ。儂ゃ、異空間、異次元には自由に出入り出来るんじゃ。」
「も、もんげりあん?」
「自由にって、さらっととんでもないこと言ってるでヤンスぅ! オジイチャン、頭大丈夫でヤンスかぁ!」
もうなんか、冗談なのか本気なのか……。このジジイの発言はイマイチ要領を得ない。
「やろうと思えば、過去、未来にまで到達できるぞ。それどころかほんの少しズレた世界にも行くことが出来るぞい。」
「過去? 未来? ズレ世界? ズラ世界? も、もうわけわかヤンスぅ! も、もんげりあんっ!!」
俺とタニシは更に頭が混乱してしまった! なんか魔法で周囲を混乱と混沌の渦で幻惑するヤツがあると聞いたことがあるが、それみたいだ。知らんけど。サヨちゃんが“ペロポンテ”とか言ってた様な気がする? 俺たちを混乱させつつ、ジジイの妄言は続く。理解が追いつかない。しばらく合わない間にボケが進行したんだろうか?
「儂だけではないぞい。ここにもおるじゃろうが。もう一人。」
「もんすと?」
「はうへ?」
最早人語を忘れた俺ら二人は更に混乱させられた。もう人間止めないといけないかもしれない。もんはんどす!
「お主じゃ。自覚しとらんかったんか?」
黄ジイは俺を指差す。お、俺が? なにそれどういうこと? ますます話が異次元に飲み込まれていく。まさか、これが世界がズレるって事なんだろうか?
「キツネではないでヤンス! コボルトでヤンス!」
「何ぃ? こばるとじゃとう? 鉱石か何かじゃったのか、お主は?」
「コボルト! 石でもないヤンス! あっしらは犬の獣人でヤンス!」
なつかしいやりとりだ。俺がタニシに会ったときと同じだ。普通に見たらキツネにしか見えない。まさか極東の希少種コボルトだなんて誰も思わないだろう。
「もんもろ!?」
「相変わらず、アニキが何言ってるかわからんヤンス!」
「なんじゃ? お主、しゃべられん呪いでもかけられおったんか?」
いや、それは俺もわからんし! ゼアスだかゼウスみたいな名前だったと思う。知らんけど。俺たちがバカなやりとりをしている間に、アンデッドが周りを取り囲んでいた。しかし囲まれた、というヤツだ。
「しょうがないのう。物の怪が無限に沸いてきおるようじゃの。ここは……ちと一肌脱いでやるかのう!」
黄ジイは両手の平を合わせて、目を閉じ集中を始めた。なにか大技が繰り出されるに違いない!
「ほうぁー!!!」
(プッスゥゥゥゥゥン!!!!)
周囲に沈黙が流れた。……と同時に悪臭がただよい始めた。……おならじゃねえかぁ!?
「く、くちゃぁぁぁぁぁい!?」
「もんげーろ!」
臭え。何食ったらこんな臭くなるんだ。俺でさえ臭いと感じるんだから、鼻のいいタニシには致死量の毒ガスなのではなかろうか。そんなことはどうでもいいが、攻撃と見せかけてオナラするとはどういうつもりだ。
「おお、すまん。つい別のモンが出ちまったわい。……覇気…放散!!!」
黄ジイから突風の様な物が発せられた。周囲のアンデッドは為す術なく吹き飛ばされてしまった。しかも跡形もなく消え去ってしまった。最初はミスっていたが、凄い技だ。気合いだけで全部のアンデッドを消してしまった。
「ふぅー、久し振りに戦うと腰に来るわい。屁まで出てしもうた。歳は取りたくはないのぅ~。」
「もんげげ?」
「そういえば、オジイチャンどこからここへ入ってきたでヤンスか?」
俺もそれを聞きたかった。ここへ転送される前はいなかったはずだ。いや、いたはずはない。潜んでいたとしても、範囲に入っていなけりゃ転送されない。ラヴァンは確かそんなことを言っていた。
「理由か? 簡単じゃよ。儂ゃ、異空間、異次元には自由に出入り出来るんじゃ。」
「も、もんげりあん?」
「自由にって、さらっととんでもないこと言ってるでヤンスぅ! オジイチャン、頭大丈夫でヤンスかぁ!」
もうなんか、冗談なのか本気なのか……。このジジイの発言はイマイチ要領を得ない。
「やろうと思えば、過去、未来にまで到達できるぞ。それどころかほんの少しズレた世界にも行くことが出来るぞい。」
「過去? 未来? ズレ世界? ズラ世界? も、もうわけわかヤンスぅ! も、もんげりあんっ!!」
俺とタニシは更に頭が混乱してしまった! なんか魔法で周囲を混乱と混沌の渦で幻惑するヤツがあると聞いたことがあるが、それみたいだ。知らんけど。サヨちゃんが“ペロポンテ”とか言ってた様な気がする? 俺たちを混乱させつつ、ジジイの妄言は続く。理解が追いつかない。しばらく合わない間にボケが進行したんだろうか?
「儂だけではないぞい。ここにもおるじゃろうが。もう一人。」
「もんすと?」
「はうへ?」
最早人語を忘れた俺ら二人は更に混乱させられた。もう人間止めないといけないかもしれない。もんはんどす!
「お主じゃ。自覚しとらんかったんか?」
黄ジイは俺を指差す。お、俺が? なにそれどういうこと? ますます話が異次元に飲み込まれていく。まさか、これが世界がズレるって事なんだろうか?
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ユウ
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
剣客居酒屋 草間の陰
松 勇
歴史・時代
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる