【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第325話 八相殺し

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「……ゃ様! 大丈夫ですか? 声は聞こえますか?」


 意識が戻った。戻った瞬間、司会の人の声が間近で聞こえたので驚いた。司会の人が起こしに来ないといけないくらい、長時間、意識が落ちていたんだろうか? 


「試合は続行しますか? 現時点であなたは八本取られています。このまま続けると確実に命の危険があります。棄権することも視野に入れてください。」


 司会の人は真剣に心配してくれているようだ。大会運営の関係上、死者を出すわけにいかないというのもあるだろう。無様な姿を見せてしまった結果がこれだ。情けないにも程があるな。


「……続けます。」

「どうか無理をなさらない範囲でお願いします。」


 続行は受け入れてくれたようだが、無理をしていることに釘を刺されてしまった。とはいえ、棄権したところで俺の運命が変わるとは思えない。結局は宗家に殺されるだろう。


「フン、立場がわかっておるではないか。貴様に退路はない。逃げて生き延びる選択肢は元よりないのだ。」


 宗家も逃がすつもりなんてない。周りが止めても、一瞬で息の根を止めに来るだろう。ルールがどうとか、法律がどうとか、宗家には関係ないからだ。


「ここまで私は一撃ごとに殺すつもりで試合を進めた。貴様は対処すら出来ず、為す術なく八度も倒れた。そこでだ、貴様に攻撃の機会をやろう。」


 攻撃の機会をくれる? これまでも攻撃はしたが、全て受け流され、反撃を喰らった。機会がもらえるというのなら、今の俺が繰り出せる最高の技で立ち向かいたい。当たりさえすれば、倒せるということを証明したい。


「じゃあ、行かせてもらう。」


 俺は構えをとる。相変わらず宗家は構えをとらない。でも気にしない。俺と宗家の間には絶望的な実力差があるのはわかっている。俺の今までの全てがどれだけ通じるか試してみたい。


「……シャイニング・イレイザー!」


 まずはこれだ。俺が勇者になって以来、一番お世話になってきた技だ。額冠を外しているとはいえ、体に染みついている技だ。梁山泊の技とは系統が違うので、単純に対処できないはずだ!


「フ、闘気の技か。……ならば!」


 何か対処をしようとしている。でも、俺は梁山泊の技でそのようなものがあるのは知らない。


「一0八計が一つ、制天拍日…カアァッ!!」


 宗家は胸の前で両手の平を気合いと共に打ち合わせた。その行為でシャイニング・イレイザーが打ち消されてしまった。宗家は何事もなかったかのように、平然としている。


「霽月八刃!」


 シャイニング・イレイザーが打ち消されても構わない。効かないのは想定内だ。それを囮に他の技で攻撃する!


「五覇奥義、終想烈実!」


 俺の八刃に宗家は手刀で対抗してきた。技と技がぶつかり合い、剣から硬い物にぶつかったような感触が伝わってくる。八刃を使ったとき特有の物を斬った手応えが感じられなかった。技が相殺されてしまったのだろうか? でも、まだ諦めるのは早い。次々仕掛ける!


「絶空八刃!」

「むぅん!!」


 再び手刀をぶつけられ、相殺されてしまった。どういう原理かは知らないが、無効化されている。


「無明……八刃!」


 今の俺が出せる最高の技だ! この技なら防御や相殺関係無しに当てることが出来るはず!


「五覇奥義、白日捷綻!」


 今度は手刀ではなく、振り下ろす前の剣を両手で挟み込むようにして止めた。白羽取りというヤツに似ている。


「五覇奥義、終想烈実、別名、八相殺し。八相撃を相殺するための技だ。通常は同じ技を繰り出せば相殺は出来る。この技は最低限の労力で相殺するために編み出した技だ。」


 八刃そのものを相殺する技が存在していたなんて……。今まで同門の相手とは戦ったことがなかったから、こんな事態は想定してなかった。


「そして、白日捷綻、これは至高の防御法だ。どのような技であろうと、叩き伏せる。来た技は全て跳ね返すのが私の信条だ。」


 技を振るう前に止められたのは俺にもわかった。さすがに宗家も無明八刃に脅威を感じたのかもしれない。どうにかして当てることが出来れば、勝てる可能性があるんだ!


「貴様の技が通じぬ事が良くわかったであろう。貴様の力ではどうすることも出来んのだ。これから更なる絶望を味あわせてやろう!」


 宗家が異様な殺気を放ち始めた。まだ何か切り札があるんだろうか? 今まででの技でも俺を十分倒しきれるはずなのに……。


「貴様は身も心も完全に破壊し尽くしてから仕留める。よって……“獄門九所封じ”を解禁する!」
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