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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第303話 嵌めて嵌められ、絡められ……、
しおりを挟む「ようやく真打ち登場ってことでよろしく!」
満を持して勇者の登場だ。勇者が魔法使いの後ろで飛び道具合戦なんて、面白くないし、誰得展開過ぎる。ファルばっかり活躍させるわけにはいかない!
「グロロ!」
奴はいつの間にか、侍が落とした槍を手に持っている。得意の刀は出さずに、とことん槍で勝負を賭けるつもりらしい。望むところだ。俺はファルと違って槍の対処法は知ってるからな。
「行くぞ、グロロさん!」
果敢に攻める。相手も槍でしきりに牽制してくるが、構わず前へ前へ間合いを詰めていく。武芸十八般とか言ってたが、さすがに刀と比べると脅威を感じない。リーチの差もそれほど不利と思えないので、徹底的に攻め込む。
「グロァッ!」
ある程度、間合いを詰めたところで、相手が渾身の突きを放ってきた。だが、そんなことは予測出来ていたので……、
「凰留撃!」
身をかがめ、槍をかわし、下からすくいあげるように斬りつける。相手はとっさに槍の柄で防ごうとするが、構わず勢いで撥ね飛ばすつもりで攻撃を続行する。
(バアァァァン!!!)
槍を撥ね飛ばした。相手はとっさに槍から手を離し退避していたため、攻撃をわずかに掠めた程度で済んだようだ。でも、これで手持ちの武器はなくなった。
「グロ……。」
相手は低く唸っただけで、槍を失ったことを意に介していないようだった。仁王立ちの姿勢で余裕の態度を取っている。
「えらく余裕みたいですけど、大丈夫?このまま勝ちに行っちゃうよ?」
その言葉に反応してなのかはわからないが、相手は片腕を上げた。なんのつもり?大丈夫って意思表示かな?それよりもしゃべれよ。ジェスチャーじゃ何もわからんじゃないか!
「グロォ……。」
今、何か笑ったような気がする。コイツには顔がないので、実際に表情が変わったわけではないが、そのような錯覚をおぼえた。やべえ、コイツ何か企んでやがる!
(シュゴォッ!!)
「……!?」
背後に何か気配を感じ、横へと身をかわす。背後から襲ってきた気配の正体を見ようとブドーのいる方向を見ると……、
「な、何ィ!?や、槍ぃ!?」
何と、槍だった!しかも宙に浮いている。どういうわけだ?魔法を使ったのか?
「マグネット・エナジーだ!気を付けろ!」
「マグネ……な、何ぃ!?」
例のアレか?金属を引き寄せる謎光線とかいうヤツか?鎧を着た敵の動きを止めるだけじゃなかったのか。
(ビュオン!!)
槍は切っ先をこちらに向けて狙いを定めるかのようにビタッと止まった。試しに少し横へ動いてみても、その動きに合わせて切っ先がこちらに向く。どこまでも追いかけてくるということか。
「追いかけられるもんなら、追いかけてみな!」
挑発し、ブドーの前から逃走を図る。やはりというか、なんというか、槍は後を追いかけてくる。ある程度の距離を走ったところで、槍の気配が急激に近付いてきた。最初と同じように避けてやり過ごした。と、同時に槍を思い切り踏みつける。
「フン!」
(バアアァン!)
これで動かせないだろ。遠隔操作出来ようと出来まいと、槍自体の動きを封じてしまえば、攻撃のしようがないはず。
「槍はもう使えない。さっさと刀で勝負しろ、お侍さんよ!」
「フ、拙者もそう思っていたところだ。……雷光引力波!!」
(ビュババーッ!!)
雷の音に気付いたときには遅かった。光の帯が二方向から飛来し足元の槍に到達する。それに影響されてか、俺の剣までその力に引き寄せられた。はめられたんだ俺は!
「かかったな。槍はあくまで囮……我が技の呼び水として使った。お主はまんまと拙者の術中にはまったのだ!」
「ぐううっ!?動けねえ!」
(ビュバババババッ!!)
槍から足を離せば逃げられるかもしれないが、また槍に追いかけられるだろうし、ヤツらの追撃も来るだろう。だからといってこのまま待っていれば、一刀閃とかいう技で真っ二つにされてしまうだろう。要するに絶体絶命というヤツだ!
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