301 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第301話 それもホマレの内に入るんですか?
しおりを挟む「両者入場が終わったところで、早速試合開始の準備に入って頂きましょう。さて、両チーム、先鋒は誰が務めるのでしょうか?」
俺達はさっき話したとおり(話した内にはいるのか?)、ファルからのスタートにすることになった。対して相手側はどっちが出てくるのか……?
「チッ、ゴーレムの方かよ!」
鎧の方、選手名ブドー・マスターの方が出てきた。以外だ。本体が先に来ると思ったのに、そうではない方が出てきた。ファルの奴め、とんだ勇み足だったようだ。期待してない結果になってしまったな。
「ファル選手、ブドー選手からの開始となるようです。なお、待機している側も遠隔攻撃に限り、舟上での攻撃は可能となっております。」
さて、そういう風には説明されてはいるが、生憎、俺も侍も飛び道具の類いはほぼ使えないので、ここぞというときに一時的に割って入るか、特殊な技で攻撃するしかないわけだ。侍は魔法を使えるとはいえ、単体での使用はダンジョンでは見かけなかった。多分心配せんでも大丈夫……多分な!
「では、試合開始!」
「グロォッ!!」
開幕、ブドーがファルに襲いかかる。現時点では素手だ。力こそパワー、腕力で勝負を仕掛けるようだ。
「今さらそんなもんが効くかよ!」
殴りかかる腕をあっさりと切り落とす。そう、切り落とした。開幕、いきなりである。落ちた部分はすぐさま砂へと変わる。構わずブドーはファルへの攻撃の手を止めなかった。ファルはすれ違いざまに斬りつけ、相手の裏側へと回り込む。回避を兼ねた攻撃を繰り出したようだ。こうして見るとアイツ、結構剣術も出来るんだな。ジュリアを仮想敵と見立てて鍛錬してただけのことはある。
「グロロロォ……。」
胴体を斜めに切り裂かれたブドーは苦しげな声を上げている。もう終わりか?何かおかしい。侍と同じ強さではなかったのか?でも、鎧の中から妙な殺気を感じた。
「避けろ、ファル!」
鎧の中から何かが飛び出した。ファルも警戒していたためか、後ろへ飛び退き、難を逃れた。鎧から飛び出していたのは……一本の槍だった。ただの槍じゃなく、本命の刃だけじゃなく、刃の根元から左右対照に別の刃も伸びている。十文字槍っていうヤツかな?
「槍まで使えるなんて聞いてないぞ、コラ!」
「ふふ、確かに言ってはおらぬ。だが、武士たるもの武芸十八般、様々な武器、武術に精通してこその誉れなり!。」
崩れた砂の鎧の中から侍が出てきた。今までブドーだと思っていたのは、実は侍だったのか。
「ど、ど、ど、どういうことでしょう!ブドー選手とコタロウ選手がいつの間にか入れ替わっております!どんなトリックを使ったのでしょうか?」
会場がざわめいている。当然だ。俺らも騙された。とはいえ、俺はこのトリックは前にも見たので、またアレか、としか思わなかったのだが。舟の上の侍は逆に、外観だけ侍自身の姿にしておいた砂の鎧で偽装していたんだろう。試合前に一言も発しなかったのは、コレをやるための仕込みだったのだろう。とはいえ、本体が「グロロ」って言ってたのはさすがに笑えてくるけどな。
「刀は使わねえのかよ!アンタとしちゃ、あっちが本命だろ?嘗めてもらっちゃ、困るぜ?」
「勘違いしておるようだが、魔法と剣を使うお主が相手だからこそ、敢えて間合いの取れる槍を選んだまでだ。」
言い終わる前に槍を突き込み攻撃を始めた。ファルも攻撃に合わせて回避行動を取っている。槍の間合いでは剣を使うのは不利だ。攻撃の糸口を見いだせないようだ。
(ドゥン!)
その時俺は空気の震えを感じ、とっさに身をかがめた。頭上を何かが通り過ぎていったようだ。飛んできたと思われる方向に視線を移すと……島を挟んだ向かい側、同じく舟の上にいるブドーの姿があった。
「ゲーッ、弓なんか構えてやがる!」
ブドーの手には弓があった。最初は何も持ってなかったはずだが?……槍や刀同様、魔法で生成したのかもしれない。よく見ると矢筒もないのに、弓を引き絞ると同時に矢が出現していた。見ている内にそれも発射された。
「コレもホマレとかいうヤツか、コンチクショー!」
(シュボッ!)
ギリギリで避けて、次に備える。反撃の手立てを考えている間に次が来そうだからだ。落鳳波で迎え撃つしかない。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる