【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第5章 完成!究極の超次元殺法!!

第298話 次の“ひんと”

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 大武会第二回戦の日程が終了し、一日、間をおいてから、準決勝が行われるそうだ。選手の負担を軽減するために休養の措置をとる目的があるそうだ。まあ、その方が助かる。勝ち進めば進むほど、激戦になるし。


「おお、待っておったぞ!はよう、ここへ来い!」


 俺とファルちゃんは今晩もまた、いつもの飲み屋へとやってきた。今となっては、最初からジジイが店で待ち構えるようになっていた。店側もジジイを常連と認めているようだ。相変わらず、金は俺が払っているというのに。来なかったらどうするつもりなんだ。


「浮かぬ顔をしとるのぉ。お主ら、勝って準決勝に進出したのではないのか?」

「勝った……けどさあ……。」


 今日、ここへ来るのが遅くなったことにも関係している。……エドが重傷を負った。その容態が心配なので、他の関係者達と共に診療所へ訪れていたのだ。数カ所の骨折、全身の無数の打撲傷、命に別状はないそうだが、少なくとも一月は安静が必要になるそうなのだ。仲間のそんな姿を目の当たりにしてしまっては、自分のことで喜んではいられない。


「あの鎧の男のことで落ち込んでおるんじゃろう?お主まで気分を落としてどうする?」

「でも、仲間がボロボロになってんのにさあ、お祭り気分になって、バカ騒ぎするわけにもいかないだろ。」


 そのとき、ジジイは神妙な顔になり、飲み食いする手を止めた。始まった。賢者モード発動だ。何を言うのだろうか?


「お主まで一緒になって落ち込んだとして、仲間の怪我は治るのか?そうではなかろう。こういうときでも、心は平常にして活動するのが一番じゃ。心を曇らせたままにするのは、自らの波動を下げる結果となる。」

「……。」


 何も言い返せない。とはいえ、完全に受け入れるのも難しかった。心の整理が付かない。今はどうしたらいいかはわからない。


「それより、お主自身の話じゃ!儂はあどばいすを与えてやったが、なんじゃ、あれは!」

「なんじゃ、とか言われても……。」


 ガンツの鎧を叩き切ったことを言ってるのか?しょうがないだろ。怪我させるわけにもいかんかったし。でも返って費用がかかっているかもしれない。あんな全身金属の鎧なんて物凄く高価に違いない。しかも、ガンツ自身がでかいので、特注サイズだろうから、もっとかかるだろうな。


「儂は鎧通しの技のひんとを与えてやったのに、それ以上の超人絶技を披露する奴がどこにおるんじゃあ!」


 ジジイは非難しているが、嬉しそうな顔をしている。え?なんで?この前の話は無明八刃のことを言ってたワケじゃなかったのか?


「お主は相手の防御をすり抜ける一撃を放ったのじゃ。確かに技の威力を浸透させるには違いないが、その上で寸止めまでやっておる。想像以上の成果を上げておるではないか。儂のおる所まで一気に近付きおるとは大したもんじゃ。」


 ジジイがいるところ?高みに近付いたことを意味しているのか?実感がないわけじゃないが、ジジイがどの辺にいるのかがわからない。そもそも、流派も同じかどうかもわらないのに。


「あともう少しじゃ。じゃが、あと少しはとてつもなく遠い。次なるひんとは、“身を委ねる”ことじゃ。」

「何に?」

「それはお主自身が考えることじゃ。いや……考えるのも違う気がするのう。考えてもいかん。まあ、そういうことじゃ。」

「……?」


 ますます、意味不明な謎かけになってきた。考えつつ、考えてはいけない?矛盾している。どうすればいいのか?


「勇者よ!ここにおったか!」


 聞き覚えのある声がしたと思ったら、侍が俺達の前にやってきていた。こんな夜に何をしに来たのだろうか?
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