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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第288話 ジェーン・ドゥ
しおりを挟む「会場の興奮も冷めやらぬまま、第三試合に移りたいと思います!」
一瞬で決着の付いた侍の試合。それでも、会場の観客達は超人絶技を目の当たりにしたので、大喜びのようである。次の試合はどんな戦いが見れるのかと、期待の高まりが気配でわかる。
「次の試合は人気急上昇中の美しき師弟コンビ、ブラック・ロータスの登場です!」
エルちゃんやぁ!待ってたぜ、この時間を!もうこの試合見たら、宿に帰ってもいいくらいだ。……あっ!その次はエドとジェイの出番だった。結局全部見て帰らないといけない。
「前回の試合ではエレオノーラ選手の魅力爆発の戦いぶりを堪能できました。対照的にヘイフゥ選手は相手選手の策によって活躍の機会を奪われてしまいました。今回はその実力を目の当たりに出来るのでしょうか?エレオノーラ選手の師匠なだけに期待度大です!」
エルちゃんたち二人はゆっくりと闘技場へと入ってきた。前回よりも声援が大きいためか、彼女は恥ずかしそうにしている。余計な虫を駆除しにいってやりたいぐらいだ。
「くそう!余計な男どもを黙らせに行きてえなぁ!」
「ハッ!まだテメエの彼女になったわけじゃねえだろうが。」
「うるさい!わかってても、気になるんだよ。」
「独占欲丸出しじゃねえか。女に嫌われるぞ、そういうのは。」
「ええ~!?」
嫌われてもいいから、独占したい。でもなんか、犯罪者みたいな思考になってるな。でも、彼女への思いはなかなか抑えられそうにない。
「続いて対戦相手のジェーン・ドゥ・ズの登場です。あらゆる事が謎のヴェールに包まれた女性二人組のコンビです。今までの試合も何が起きたのかさっぱりわからずに勝利を決定していました。不気味度100%のコンビです!」
「ジェーン・ドゥ……?」
ファルちゃんが相手のコンビ名をつぶやいた。なにか知っているのか?
「要は名無しってことか……?何か引っかかるな?」
「そういう意味なの、アイツら?」
ファルちゃんは無言でうなずく。名前がない名前なにか辻褄があっていないが、実際そうなんだから仕方ない。しばらくソイツらを見ていると、俺はなにか既視感を覚えた。どこかで似たような連中を見たような……、
「思い出した!」
「は?何がだよ?」
「アイツら、どこかで見たことがあると思ったら、ヴァルが雇ってた刺客に似ている!俺とかカレルの命を狙ってきた奴等だ!」
あの黒っぽい服装、無機的な雰囲気、性別は違うがソックリだった。腕の入れ墨、あのときは気付かなかったが似たような形のモノがあったことは微かに覚えている。今はじっくり観察できるので、それがサソリの形をしていることがわかった。
「思い出したぜ。奴等、暗殺組織“シャドウ・クローク”の構成員だ!何か引っかかると思ってたら、お前の話を聞いて思い出した!」
暗殺組織だと?なぜ、そんな奴等が大武会に出ているんだ?
「奴等はドラゴンズ・ヘヴンと繋がりがある。だが一般的には情報は伏せられている。普通の人間は都市伝説レベルでしかこのことを知らない。司会はおろか、観客でこのことを知ってる奴は誰としていないだろうな。」
「も、目的ってなんだろね?」
俺は動揺を隠せずにその答えをファルちゃんに聞く。だいたいの検討は付いている。でも恐ろしくて考えたくはなかった。聞いておきながら、否定してくれることを期待していた。
「俺らクルセイダーズ幹部の暗殺が目的の可能性があるが……、あの娘、エレオノーラが目的の可能性も否定出来んな。元はドラゴンズ・ヘヴンに囚われていたんだろう?」
俺は体中の血の気が引いていくのを感じた。下手をすれば彼女が殺されてしまう。最悪の事態を想定してしまった。裏技に長けた暗殺者の攻撃を、実戦経験の少ない彼女は対処できるのだろうか?
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