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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第272話 鎧通し
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「それは災難じゃったのう。」
今晩もジジイに酒を奢らされている。今回こそは見つからないようにしようとしても、毎回どこからともなく、気配もなく現れる。神出鬼没だった。抵抗したのだが、無駄に終わった。ジジイの方が一枚上手だったのだ。しかし、タダで酒を飲ませるのも癪だったので、愚痴を聞かせてやった。
「お主の連れには意外とおなごが多いんじゃのう。うらやましいわい。儂にも紹介してくれんか?お近づきになりたいんじゃが?」
意外と、とはなんだ?失礼な!女友達がいて悪いのか。
「断る。ロクでもない老人なんか紹介できるか。」
「なんじゃ?そんなもったいぶることでもなかろうて。」
逆にサヨちゃんだけ紹介してやろうかな。年寄り同士…といっても二千歳とせいぜい百歳足らずとでは大きく違うだろうけど。うまくいけば、サヨちゃんが火葬に処してくれるかもしれん。
「今日の大武会はつまらんかったのう。実力差がありすぎるのも考え物じゃな。」
「なんだよ。見に来てたのか。」
「当然じゃろう。見に行かずして、何をするというのじゃ。」
まあ、それはそうなんだが……。客席に入るには入場料を払わないといけないはずだが?金がないとか言いながら、実は持っていたということになる。あとで問い詰めてやろう。
「本番は二回戦からだと思うぜ。そっから強い奴が出揃ってくる。楽しみにしとけよ。」
「なんじゃ?其奴らを知っているかのような口ぶりじゃのう。」
「ああ。半分ぐらいは知り合いだ。」
知り合いだったり、宿敵だったり。勝ち残ってくるのは顔見知りばっかり。以外と未知の強豪なのは動かざる者、ガンツぐらいだ。
「次のお主らの相手は盾の男じゃな。気を付けるが良い。今のままではお主の攻撃は通用せぬぞ。」
なんでわかるんだ?実際に近くで見たりしてないのに。近くで見た俺も直感レベルでは悟ったものの、その勝ち筋についてはまだ検討も出来ていない。盾自体も頑強だし、持ってる本人の防御術もやっかいだ。相手の攻撃を無傷で受け止め、跳ね返したのはアイツ自身の技だろう。
「盾、鎧という物は身を守るためにある。それ故、硬い。それを壊し相手に攻撃を通すのは難しい事じゃ。」
「何当たり前のこと言ってんの?」
口ではそう言ったものの、薄々何が言いたいかはわかりかけている。ありとあらゆる物を斬る八刃だが、特殊な防御障壁が何重にも重なっていると難しくなるのだ。何枚も鉄板を斬るようなイメージだ。そんなことをしていたら、相手にも攻撃の隙を与えてしまう。八刃は一撃必殺だったら問題は無い。全力で八刃を使用した直後は体勢が崩れてしまう。無防備な相手ならともかく、頑強な相手を斬るんなら尚更だ。
「無理に壊す必要はない。攻撃を透過させ、本人に直接打撃を与えるのじゃ。鎧通しという技を知っておるか?そういうやり方もあるということじゃ。」
聞いたことはあるが、戦技一0八計の剣技にはそういう技はない。今から習得しろというのか?いったいどうしろと?
「……明鏡止水。」
「……え?なんでアンタがそれを知ってんの?」
「別にありふれた言葉じゃろう。心を研ぎ澄まし、心を静かに整えるのじゃ。これは武術のみならず、この世全ての事柄に応用出来るのじゃ。」
三皇の精神……俺が習得していない天破の精神だ。それを習得しろとでもいうのか?
「お主はええものを持っとる。後はお主自身の心のあり方次第じゃ。さすれば、この世に勝てぬ者などいなくなる。……儂以外はな。」
「……は?」
ジジイはただ笑うだけで、その言葉の真意を言おうとはしなかった。そして、今夜もすぐに更けていった。
今晩もジジイに酒を奢らされている。今回こそは見つからないようにしようとしても、毎回どこからともなく、気配もなく現れる。神出鬼没だった。抵抗したのだが、無駄に終わった。ジジイの方が一枚上手だったのだ。しかし、タダで酒を飲ませるのも癪だったので、愚痴を聞かせてやった。
「お主の連れには意外とおなごが多いんじゃのう。うらやましいわい。儂にも紹介してくれんか?お近づきになりたいんじゃが?」
意外と、とはなんだ?失礼な!女友達がいて悪いのか。
「断る。ロクでもない老人なんか紹介できるか。」
「なんじゃ?そんなもったいぶることでもなかろうて。」
逆にサヨちゃんだけ紹介してやろうかな。年寄り同士…といっても二千歳とせいぜい百歳足らずとでは大きく違うだろうけど。うまくいけば、サヨちゃんが火葬に処してくれるかもしれん。
「今日の大武会はつまらんかったのう。実力差がありすぎるのも考え物じゃな。」
「なんだよ。見に来てたのか。」
「当然じゃろう。見に行かずして、何をするというのじゃ。」
まあ、それはそうなんだが……。客席に入るには入場料を払わないといけないはずだが?金がないとか言いながら、実は持っていたということになる。あとで問い詰めてやろう。
「本番は二回戦からだと思うぜ。そっから強い奴が出揃ってくる。楽しみにしとけよ。」
「なんじゃ?其奴らを知っているかのような口ぶりじゃのう。」
「ああ。半分ぐらいは知り合いだ。」
知り合いだったり、宿敵だったり。勝ち残ってくるのは顔見知りばっかり。以外と未知の強豪なのは動かざる者、ガンツぐらいだ。
「次のお主らの相手は盾の男じゃな。気を付けるが良い。今のままではお主の攻撃は通用せぬぞ。」
なんでわかるんだ?実際に近くで見たりしてないのに。近くで見た俺も直感レベルでは悟ったものの、その勝ち筋についてはまだ検討も出来ていない。盾自体も頑強だし、持ってる本人の防御術もやっかいだ。相手の攻撃を無傷で受け止め、跳ね返したのはアイツ自身の技だろう。
「盾、鎧という物は身を守るためにある。それ故、硬い。それを壊し相手に攻撃を通すのは難しい事じゃ。」
「何当たり前のこと言ってんの?」
口ではそう言ったものの、薄々何が言いたいかはわかりかけている。ありとあらゆる物を斬る八刃だが、特殊な防御障壁が何重にも重なっていると難しくなるのだ。何枚も鉄板を斬るようなイメージだ。そんなことをしていたら、相手にも攻撃の隙を与えてしまう。八刃は一撃必殺だったら問題は無い。全力で八刃を使用した直後は体勢が崩れてしまう。無防備な相手ならともかく、頑強な相手を斬るんなら尚更だ。
「無理に壊す必要はない。攻撃を透過させ、本人に直接打撃を与えるのじゃ。鎧通しという技を知っておるか?そういうやり方もあるということじゃ。」
聞いたことはあるが、戦技一0八計の剣技にはそういう技はない。今から習得しろというのか?いったいどうしろと?
「……明鏡止水。」
「……え?なんでアンタがそれを知ってんの?」
「別にありふれた言葉じゃろう。心を研ぎ澄まし、心を静かに整えるのじゃ。これは武術のみならず、この世全ての事柄に応用出来るのじゃ。」
三皇の精神……俺が習得していない天破の精神だ。それを習得しろとでもいうのか?
「お主はええものを持っとる。後はお主自身の心のあり方次第じゃ。さすれば、この世に勝てぬ者などいなくなる。……儂以外はな。」
「……は?」
ジジイはただ笑うだけで、その言葉の真意を言おうとはしなかった。そして、今夜もすぐに更けていった。
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