263 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第263話 何か忘れてはいませんか?
しおりを挟む
「では、出場者が全員出揃ったところで、対戦組み合わせ抽選会を行いたいと思います。」
これで全員……?おかしい。彼は?彼はまだ紹介されていない。出場していないなんてあり得ない。私が無理をして出場した意味がなくなってしまう。
「こちらがトーナメント表です。くじ引きで決まり次第こちらに表示していくことになります!」
私の疑問と不安を煽るかのように、流れるように進行していく。……でもトーナメント表を見てあることに気が付いた。他の人達も気が付いたのか、少しどよめきが起こっている。参加組数とトーナメント表の空欄の数があってない。空欄が一つ多い。
「おっと、ここで重大なお知らせがあります。この表を見てお気付きになった方もいるようですね!そうです!実は後一組、本戦に参加します!」
ここで会場からは大きな歓声が上がった。予期していなかったハプニングにみんなが歓喜している。
「なんと、最後に紹介する一組にはとんでもない大物が参加しているのです!きっと、会場の皆様も驚かれると思います!……では正体を紹介する前に実際に登場して頂きましょう!さあ、どうぞご登場お願い致します!」
登場を見守るため、会場は静まりかえった。ほとんどの人が息を飲んだのが気配でわかるくらいに。通路から足音がゆっくりと近付いてくる。次第に二人の人影が見え始めた。長身ですらっとした人と、その人より頭一つ分ぐらい背が低い中肉中背の人だった。まだハッキリ見えないけれど、どこか見覚えのある姿だった。
「まずは一人目、大物ゲストのパートナーを務めるこのお方!クルセイダーズ六光の騎士、武闘派魔術師でお馴染みの、空刃のファル・A・シオンです!」
ファルさんだった。彼も参加していたとは思わなかった。歓声も物凄い。彼がかなりの有名人なのが良くわかる。そしてやっぱり……女性の歓声が大きい。彼はとても美形なので、噂が世間に知れ渡っているのだろう。
「お待たせしました!では大物ゲストにご登場して頂きましょう。……皆さんご存じ、究極の救世主、みんなのヒーロー、勇者殿です!」
彼はやってきた。私の前に。彼は逃げずにやってきた。今まで他の出場者に怯えていた自分が恥ずかしく思えてきた。そう思えたら……止めどなく目から涙があふれてきた。
「まだ就任したての期待のルーキー、勇者ロア殿です!就任したてとはいえ、もう既に魔王を討伐するなど武勇伝が数多くある模様!そして、コンビ名はザ・タービュレンス!その意味通り今大会に乱気流を巻き起こしてくれること間違い無しです!」
会場の声援はこれまで以上の大音声になった。みんな、興奮と期待を隠しきれない様子だった。その声援に答えるように彼は両手を振って会場全体を見渡している。一通り見渡した後で、私に気付いたのか、こちらを見つめている。
「勇者……様?」
彼は突然、こちらに向かって拳を突き出し、親指をくいっと上に上げて見せた。その顔は別れる前とは別人に思えるくらいに得意げな顔をしていた。
「もう……かっこつけちゃって……。」
更に涙があふれて彼の姿が見えなくなる。彼の姿を見逃すまいと私は必死に涙を拭った。
「フッ、お調子者な所は相変わらずだな。」
先生もまんざらではなさそうだった。嬉しいんだ、きっと。
これで全員……?おかしい。彼は?彼はまだ紹介されていない。出場していないなんてあり得ない。私が無理をして出場した意味がなくなってしまう。
「こちらがトーナメント表です。くじ引きで決まり次第こちらに表示していくことになります!」
私の疑問と不安を煽るかのように、流れるように進行していく。……でもトーナメント表を見てあることに気が付いた。他の人達も気が付いたのか、少しどよめきが起こっている。参加組数とトーナメント表の空欄の数があってない。空欄が一つ多い。
「おっと、ここで重大なお知らせがあります。この表を見てお気付きになった方もいるようですね!そうです!実は後一組、本戦に参加します!」
ここで会場からは大きな歓声が上がった。予期していなかったハプニングにみんなが歓喜している。
「なんと、最後に紹介する一組にはとんでもない大物が参加しているのです!きっと、会場の皆様も驚かれると思います!……では正体を紹介する前に実際に登場して頂きましょう!さあ、どうぞご登場お願い致します!」
登場を見守るため、会場は静まりかえった。ほとんどの人が息を飲んだのが気配でわかるくらいに。通路から足音がゆっくりと近付いてくる。次第に二人の人影が見え始めた。長身ですらっとした人と、その人より頭一つ分ぐらい背が低い中肉中背の人だった。まだハッキリ見えないけれど、どこか見覚えのある姿だった。
「まずは一人目、大物ゲストのパートナーを務めるこのお方!クルセイダーズ六光の騎士、武闘派魔術師でお馴染みの、空刃のファル・A・シオンです!」
ファルさんだった。彼も参加していたとは思わなかった。歓声も物凄い。彼がかなりの有名人なのが良くわかる。そしてやっぱり……女性の歓声が大きい。彼はとても美形なので、噂が世間に知れ渡っているのだろう。
「お待たせしました!では大物ゲストにご登場して頂きましょう。……皆さんご存じ、究極の救世主、みんなのヒーロー、勇者殿です!」
彼はやってきた。私の前に。彼は逃げずにやってきた。今まで他の出場者に怯えていた自分が恥ずかしく思えてきた。そう思えたら……止めどなく目から涙があふれてきた。
「まだ就任したての期待のルーキー、勇者ロア殿です!就任したてとはいえ、もう既に魔王を討伐するなど武勇伝が数多くある模様!そして、コンビ名はザ・タービュレンス!その意味通り今大会に乱気流を巻き起こしてくれること間違い無しです!」
会場の声援はこれまで以上の大音声になった。みんな、興奮と期待を隠しきれない様子だった。その声援に答えるように彼は両手を振って会場全体を見渡している。一通り見渡した後で、私に気付いたのか、こちらを見つめている。
「勇者……様?」
彼は突然、こちらに向かって拳を突き出し、親指をくいっと上に上げて見せた。その顔は別れる前とは別人に思えるくらいに得意げな顔をしていた。
「もう……かっこつけちゃって……。」
更に涙があふれて彼の姿が見えなくなる。彼の姿を見逃すまいと私は必死に涙を拭った。
「フッ、お調子者な所は相変わらずだな。」
先生もまんざらではなさそうだった。嬉しいんだ、きっと。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―
物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師
そんな彼が出会った一人の女性
日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。
表紙画像はAIで作成した主人公です。
キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。
更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる