248 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第248話 ベタな展開?
しおりを挟む
「最低だ。俺は勇者失格だ。」
自分が情けないったらなかった。こんな惨めな思いは久し振りだ。ヴァルに負けて、サヨちゃんに拾われた時以来?それ以前なら、破門になったときか。
「今回ばっかりは立ち直るのは無理かな。立ち直る切っ掛けを作ろうにも、今の俺には相方がいない。」
状況は絶望的だった。組む相手がいない。戻って謝れば済むことなのかというとそうでもない。ミヤコ?いやいや、アイツはそもそも戦闘向きではない。タニシは問題外だ。サヨちゃん?いやいや、俺以上にチートな存在だからアウト。竜帝が人間の競技に参加していいはずがない。そう考えると誰もいないのだ。そういう意味でもエルちゃんを狐面に取られたのは非常に痛い。
「くやしい。狐面は俺をあからさまに煽ってきてる。そりゃそうだろうな。エルちゃんは可愛くて、賢いし。弟子にもしたくなるよなあ。でもあんなオッサンに取られるのは納得できない。なんとかエルちゃんを取り戻さないと。」
大武会の開催まではあと少しある。それまでになんとか相方を見つけないと。
「ちょいとそこの若いの!」
町中を当てもなく歩く俺を呼び止める声があった。小柄な長いヒゲが特徴的な老人だった。どこか異国の装束を着ている。黄色の布を多用しているのも独特だ俺の故郷の服装に近い感じだな。でも何か古めかしさを感じる。
「俺?」
出来れば無視したかった。周りに人はいっぱいいるし。誤魔化そうと思えばいくらでもできるはずだ。一応確認してみた。
「そうそう、あんたじゃよ。」
残念ながら俺だったようだ。なんとか対応するしかない。赤の他人に付き合うほどの心の余裕はないんだけどな。
「じつは町に来てから財布を落としてしまってのう。おかげで腹はへっとるのに、一文無しではメシにありつけんというワケじゃ。」
なんてベタな展開だ。金がないから助けてくれとかいうの。同情するなら金をくれ、ってか。
「ちょっとでいいんじゃ。なにか奢ってくれたりはせんかのう?」
ホラ来た。やっぱり来た!こういう流れになると思ってた。まあしゃーない、意を決して奢ってやるか。勇者なのにケチケチするわけにはいかない。
「わかった、わかった!奢るからさっさと店に入ろうぜ。」
適当に近くにあった店に入ることにした。どうやら、居酒屋のような酒と食事を提供する店のようだ。
「アレとコレとソレ!あとは酒も適当に頼む!」
席に着くなり、ジイさんは近くにいた店員を呼び止め手早く注文した。やけに手慣れてやがる。あやしい。
「おいおい!酒なんか頼むなよ!話が違うぞ!メシ食うだけじゃなかったのかよ!」
「まあまあまあ!落ち着け、若いの。少しは老人の話に付き合ってくれてもええじゃろ?それにこういう店で酒を頼まんのは逆に失礼じゃ。」
もっともらしいこと言いやがって。はめられた。はめられたのだ、俺は!
「それにアンタ、何か悩んどることでもあるんじゃないかの?」
「んなわけないだろ。別にそんなことないよ。」
「こういうときは素直になるもんじゃぞ。お主の顔に書いてあったぞ。今、悩んでます、とな!」
「……!?」
ジイさんは俺の顔を見て、自分の長いヒゲをなでながら笑い始めた。なんか見透かされていたようだ。
「まあ、とにかく、酒でも飲もうじゃないか。話はそれからじゃ!」
突然予期せぬ酒盛りが始まってしまった。これはなかなか帰らせてもらえそうにないぞ。
自分が情けないったらなかった。こんな惨めな思いは久し振りだ。ヴァルに負けて、サヨちゃんに拾われた時以来?それ以前なら、破門になったときか。
「今回ばっかりは立ち直るのは無理かな。立ち直る切っ掛けを作ろうにも、今の俺には相方がいない。」
状況は絶望的だった。組む相手がいない。戻って謝れば済むことなのかというとそうでもない。ミヤコ?いやいや、アイツはそもそも戦闘向きではない。タニシは問題外だ。サヨちゃん?いやいや、俺以上にチートな存在だからアウト。竜帝が人間の競技に参加していいはずがない。そう考えると誰もいないのだ。そういう意味でもエルちゃんを狐面に取られたのは非常に痛い。
「くやしい。狐面は俺をあからさまに煽ってきてる。そりゃそうだろうな。エルちゃんは可愛くて、賢いし。弟子にもしたくなるよなあ。でもあんなオッサンに取られるのは納得できない。なんとかエルちゃんを取り戻さないと。」
大武会の開催まではあと少しある。それまでになんとか相方を見つけないと。
「ちょいとそこの若いの!」
町中を当てもなく歩く俺を呼び止める声があった。小柄な長いヒゲが特徴的な老人だった。どこか異国の装束を着ている。黄色の布を多用しているのも独特だ俺の故郷の服装に近い感じだな。でも何か古めかしさを感じる。
「俺?」
出来れば無視したかった。周りに人はいっぱいいるし。誤魔化そうと思えばいくらでもできるはずだ。一応確認してみた。
「そうそう、あんたじゃよ。」
残念ながら俺だったようだ。なんとか対応するしかない。赤の他人に付き合うほどの心の余裕はないんだけどな。
「じつは町に来てから財布を落としてしまってのう。おかげで腹はへっとるのに、一文無しではメシにありつけんというワケじゃ。」
なんてベタな展開だ。金がないから助けてくれとかいうの。同情するなら金をくれ、ってか。
「ちょっとでいいんじゃ。なにか奢ってくれたりはせんかのう?」
ホラ来た。やっぱり来た!こういう流れになると思ってた。まあしゃーない、意を決して奢ってやるか。勇者なのにケチケチするわけにはいかない。
「わかった、わかった!奢るからさっさと店に入ろうぜ。」
適当に近くにあった店に入ることにした。どうやら、居酒屋のような酒と食事を提供する店のようだ。
「アレとコレとソレ!あとは酒も適当に頼む!」
席に着くなり、ジイさんは近くにいた店員を呼び止め手早く注文した。やけに手慣れてやがる。あやしい。
「おいおい!酒なんか頼むなよ!話が違うぞ!メシ食うだけじゃなかったのかよ!」
「まあまあまあ!落ち着け、若いの。少しは老人の話に付き合ってくれてもええじゃろ?それにこういう店で酒を頼まんのは逆に失礼じゃ。」
もっともらしいこと言いやがって。はめられた。はめられたのだ、俺は!
「それにアンタ、何か悩んどることでもあるんじゃないかの?」
「んなわけないだろ。別にそんなことないよ。」
「こういうときは素直になるもんじゃぞ。お主の顔に書いてあったぞ。今、悩んでます、とな!」
「……!?」
ジイさんは俺の顔を見て、自分の長いヒゲをなでながら笑い始めた。なんか見透かされていたようだ。
「まあ、とにかく、酒でも飲もうじゃないか。話はそれからじゃ!」
突然予期せぬ酒盛りが始まってしまった。これはなかなか帰らせてもらえそうにないぞ。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
次男坊と言っても末っ子です。
もちた企画
ファンタジー
人類において環境に準じるのは容易くは無いファンタジーな世界で集落より少し外れると魔物が溢れかえり人類存亡の危機がそこにはあった。
主神メガイス様の力で増えすぎた魔物を封じることに成功したがそれは当時の話、今は封じた空間に穴が空いて魔物が一部姿を表していた。
名称は「ダンジョン」
主神の妻で豊穣の女神アストレアは人類に加護を与えた。四大属性「火・水・風・土」。
人々は体内に流れる魔力を感じ精霊に感謝をして魔法を使えるようになった。
特に強い属性魔法の使い手を王の側近貴族として囲い込んだのが今の魔法至上主義だ。
自分の属性に合った生活をする人々で構成され、それぞれの生活を送っていた。
時はヴァルデン四世治めるウェストヴァルデン。
その首都から西に進んだ伯爵領地の首都カイランで生まれたシティーボーイ次男坊が6歳で執り行われる祝福の儀で土属性を扱えるようになったお話。
主要な国
ウェストヴァルデン (Westvalden)
- 古い森と堅牢な城塞が特徴の西部の王国。長い歴史を持ち、貴族階級と騎士道が重んじられる国。
イーストリア (Eastria)
- 東方に位置する、交易と文化が栄える国。多くの学者や魔法使いが集まり、学問や魔術が発展している。
ノルデンヘイム (Nordenheim)
- 北方にある寒冷な地域に広がる王国。厳しい自然環境の中で強靭な戦士たちが育ち、騎士団が国を守っている。
ルミナス (Luminis)
- 女神アストレア信仰を中心とする宗教国家。教会の影響力が強く、神聖な儀式や聖騎士団による巡礼が盛んに行われている。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる