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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第241話 人間とは愚かなものです。
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「あ~あ、結局、二人とも死んじゃったんだ?」
我ら魔王軍に訃報が届いた。魔王二人が一片に亡くなったという。そもそも、ゴズ・バアル殿の弔い合戦のはずが……何故このようなことに?
「コラコラ、兎君。“二人とも”というのは語弊があるよ。ガノス君のコアはまだ存在してるからね。死んでないよ、一応ね?」
ガノス殿の所在についてキングは弁明する。この場にはキングを始め、ラゴース様、ハリス殿、シャロット殿、そして私、サンダースの計5名が同席している。緊急事態とはいえ、この場にいない方々は既に行動を始めている。
「でも、実質死亡扱いなんじゃない?応答がないんでしょ?」
「いやいや、それでもこういうときは行方不明扱いするのが人情ってもんでしょ?生存している確率は微粒子レベルで存在しているんだよ。」
ガノス殿のコアは消滅はしていない。消滅すれば我々コアを所有する魔王は察知できる。意思の疎通もコア同士の共鳴現象を利用すれば可能である。だが、それが出来ない状態になってしまっている。原因は不明で、現在解析中である。
「人情とか言っといて、実は体のいいリストラだったんでしょ?最悪、自爆でもさせればいいや、みたいな感じで。」
「違う違う、僕の考えとしては二人にチャンスをあげたんだよ。キャリアアップのためにね。強くなるには高い壁を乗り越える必要があるんだよ。」
「わああ!それってパワハラじゃん!こっわーい!ブラックな組織そのものじゃん?」
そもそも我々は悪の組織、ブラックな組織の代表たる魔王軍のはずなのだが……。ううむ、お二人の会話を聞いていると、いささかおかしな感覚に陥ってしまう。
「ぱ、パワハラなもんか!君にはもう少し経営者の苦しみをわかって欲しいんだけど?君は№2なんだから、もうちょい僕の考えに寄り添って欲しいなあ。」
「え~~?やだなあ。ボク、悪者になりたくな~い!」
「エェ……。僕たち悪者なんだけど?数ある大悪党も裸足で逃げ出す、魔王軍だよ?」
「コホン!そろそろ、よろしいですか、お二方?」
会話を弾ませるキング殿とラゴース殿に対して、シャロット殿が割って入る。よくもまあ、勇気のあるお方だ。私にはこんな芸当出来そうにない……。
「おおっと!ゴメンよ、シャロット君。君から報告があるんだってね?まあ、でもその前に“勇者王の剣”の件、ご苦労だった。大した物だよ、君は。それに比べて虎君はさぁ……。」
「お褒めに頂き、大変光栄に存じます。ティーグ様の件は誠に残念に思います。私も協力を申し上げたのですが、拒否されたのです。」
「仕方ないさ、もう死んじゃったんだし。」
「うわ~!ひど~い!かわいそ~!」
ラゴース殿の誹りにキングはプイっと顔を逸らす。まるでもう受け付けないとでも言いたげだった。
「で、報告とは?」
「勇者についてです。情報によれば、彼の者の元へ刺客が向かっているとのことです。」
「……ほう?それは一体何者だい?」
「勇者は東方出身と以前申し上げましたが、彼の者がかつて所属していた流派の手の者なのです。」
「なるほど。狙われるような後ろめたい事でもしでかしたのかな、勇者は?」
「彼の者は破門された経歴があるそうです。かの流派では破門者は内密に処理される掟となっているようです。」
「つまり我々が手を下さずとも人間同士で潰し合ってくれるワケだ?」
「左様で御座います。その刺客というのも、結構な大物だそうで……。」
「大物?そんなヤツが出てきちゃったんだ?」
「何々?何か楽しそうな話になってきたね!」
この話を興味を示さず、聞いていないと思われていたラゴース殿も身を乗り出してきた。
「はい。その刺客とは……流派の代表者なのです。当然、実力も勇者を遙かに凌ぐものと推測されます。」
「おもしろいことになってきたねえ?」
「へー!勇者、絶体絶命じゃん!」
「彼の者達は現在、サウス・ダウンへ向かっている模様です。」
「サウス・ダウンっていうと、あれか?」
「そうそう!大武会!丁度さあ、ちょっかいを出してやろうかと思ってたんだけど、やめといた方がよさそうだね?」
「その方が得策かと。我々は労せずとして、利を得ることとなりましょう。」
「こういうのって人間達が漁夫の利って言ってなかったっけ?」
「そういうことだね。今回は我々は傍観させて貰うとしよう。」
まさかまさかの同士討ちが見込める事態が発生するとは。どちらに転んだとしても、片方は命を落とす可能性がある。人間とは愚かなものだ。いつまで経っても同じ過ちを繰り返す。だからこそ、我々も付け入ることが出来る。時には相手の習性を利用するのも賢いやり方だ。
我ら魔王軍に訃報が届いた。魔王二人が一片に亡くなったという。そもそも、ゴズ・バアル殿の弔い合戦のはずが……何故このようなことに?
「コラコラ、兎君。“二人とも”というのは語弊があるよ。ガノス君のコアはまだ存在してるからね。死んでないよ、一応ね?」
ガノス殿の所在についてキングは弁明する。この場にはキングを始め、ラゴース様、ハリス殿、シャロット殿、そして私、サンダースの計5名が同席している。緊急事態とはいえ、この場にいない方々は既に行動を始めている。
「でも、実質死亡扱いなんじゃない?応答がないんでしょ?」
「いやいや、それでもこういうときは行方不明扱いするのが人情ってもんでしょ?生存している確率は微粒子レベルで存在しているんだよ。」
ガノス殿のコアは消滅はしていない。消滅すれば我々コアを所有する魔王は察知できる。意思の疎通もコア同士の共鳴現象を利用すれば可能である。だが、それが出来ない状態になってしまっている。原因は不明で、現在解析中である。
「人情とか言っといて、実は体のいいリストラだったんでしょ?最悪、自爆でもさせればいいや、みたいな感じで。」
「違う違う、僕の考えとしては二人にチャンスをあげたんだよ。キャリアアップのためにね。強くなるには高い壁を乗り越える必要があるんだよ。」
「わああ!それってパワハラじゃん!こっわーい!ブラックな組織そのものじゃん?」
そもそも我々は悪の組織、ブラックな組織の代表たる魔王軍のはずなのだが……。ううむ、お二人の会話を聞いていると、いささかおかしな感覚に陥ってしまう。
「ぱ、パワハラなもんか!君にはもう少し経営者の苦しみをわかって欲しいんだけど?君は№2なんだから、もうちょい僕の考えに寄り添って欲しいなあ。」
「え~~?やだなあ。ボク、悪者になりたくな~い!」
「エェ……。僕たち悪者なんだけど?数ある大悪党も裸足で逃げ出す、魔王軍だよ?」
「コホン!そろそろ、よろしいですか、お二方?」
会話を弾ませるキング殿とラゴース殿に対して、シャロット殿が割って入る。よくもまあ、勇気のあるお方だ。私にはこんな芸当出来そうにない……。
「おおっと!ゴメンよ、シャロット君。君から報告があるんだってね?まあ、でもその前に“勇者王の剣”の件、ご苦労だった。大した物だよ、君は。それに比べて虎君はさぁ……。」
「お褒めに頂き、大変光栄に存じます。ティーグ様の件は誠に残念に思います。私も協力を申し上げたのですが、拒否されたのです。」
「仕方ないさ、もう死んじゃったんだし。」
「うわ~!ひど~い!かわいそ~!」
ラゴース殿の誹りにキングはプイっと顔を逸らす。まるでもう受け付けないとでも言いたげだった。
「で、報告とは?」
「勇者についてです。情報によれば、彼の者の元へ刺客が向かっているとのことです。」
「……ほう?それは一体何者だい?」
「勇者は東方出身と以前申し上げましたが、彼の者がかつて所属していた流派の手の者なのです。」
「なるほど。狙われるような後ろめたい事でもしでかしたのかな、勇者は?」
「彼の者は破門された経歴があるそうです。かの流派では破門者は内密に処理される掟となっているようです。」
「つまり我々が手を下さずとも人間同士で潰し合ってくれるワケだ?」
「左様で御座います。その刺客というのも、結構な大物だそうで……。」
「大物?そんなヤツが出てきちゃったんだ?」
「何々?何か楽しそうな話になってきたね!」
この話を興味を示さず、聞いていないと思われていたラゴース殿も身を乗り出してきた。
「はい。その刺客とは……流派の代表者なのです。当然、実力も勇者を遙かに凌ぐものと推測されます。」
「おもしろいことになってきたねえ?」
「へー!勇者、絶体絶命じゃん!」
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「サウス・ダウンっていうと、あれか?」
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「その方が得策かと。我々は労せずとして、利を得ることとなりましょう。」
「こういうのって人間達が漁夫の利って言ってなかったっけ?」
「そういうことだね。今回は我々は傍観させて貰うとしよう。」
まさかまさかの同士討ちが見込める事態が発生するとは。どちらに転んだとしても、片方は命を落とす可能性がある。人間とは愚かなものだ。いつまで経っても同じ過ちを繰り返す。だからこそ、我々も付け入ることが出来る。時には相手の習性を利用するのも賢いやり方だ。
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