228 / 401
第4章 勇者の剣と剣の巫女
第228話 剣は何処に?
しおりを挟む「剣はどこにあるの!」
神殿で勇者様の支援をするため、ウィザーズ・アイでモニタリングしていた私の元へ、突然誰かがやってきた。でも、聞いたことのある声だったので、すぐに誰なのかはわかった。
「ミヤコちゃん!」
戻ってきてくれた?勇者様には「心配しなくていい」とは言われたものの、放っておけなくなって、来てくれたのかもしれない。
「ねえ、答えて!壊れた勇者の剣がどこかにあるんでしょ!あれが必要なの!」
壊れた剣……あれは返還するために持ってきた物。あの剣自体はもう修理できないはず?壊れた物で何をするんだろう?
「壊れてても、あれがあるんなら何とかなるんだよ!だから、お願い!教えて!」
「直せるんですか?」
「ちがう!壊れてても、あれを使えば新しい剣を作れるんだよ!」
「なんですって!?」
剣を作れる……勇者様が確実に魔王を倒せる!勇者王の剣は壊されたけど、まだ希望はあるんだ!
「剣は多分、宿屋に置いたままになっていると思います。」
「ありがと!探してみる!」
「いえ、こちらこそ、ありがとうがざいます!」
私はミヤコちゃんに深々と礼をした。彼女は彼女で色々問題を抱えている中で協力を申し出てくれたのだから。
「礼なんて言わないで。まだ剣を作り直してないし、勇者に渡さないといけないんだからね!」
彼女は照れくさそうに背を向けて、神殿から飛び出していった。
「ほんとに……ありがとう。」
遠ざかる彼女の背中を見ながら、改めて感謝をした。このことを早く勇者様達に伝えないと……。
《タニシさん聞こえますか?》
彼の耳に取り付けておいた中継用の水晶製の耳飾りに向けて魔力を送信する。
《おうああああ!た、たしけてぇ!?》
悲鳴と共にタニシさんの視界が私の視界にリンクした。何者かからの攻撃を避け続けていることは一瞬でわかった。
《何があったんですか?》
ミヤコちゃんがやってきて中継が途絶えていた間に状況が一変していた。さっきまではタニシさんが善戦していたのに……。
《子猫ちゃんに殺されてしまうかもしれんでヤス!》
《どういうことですか?》
《魔王に操られてるでヤスよぉ!これが、これが、とんでもない強さなんでヤス!》
黒い影が周囲を俊敏に飛び回っているのが見えてきた。速い!私でも目で追いきれない。
(これが子猫ちゃん?信じられない。)
目の前の事実を認めないといけない。タニシさんに危険が迫ってる。なんとか打開策を考えないといけない。
《とにかく、さっきみたいに筋力強化の魔法をかけますから、全力で逃げて下さい!》
《ひょええええ!?それでも無理でヤスよぅ!》
筋力強化の魔法を全力の魔力でタニシさんへかけた。
《無理を承知でお願いします!剣が、勇者の剣が作ってもらえるかもしれないんです!》
《な、な、な、なんですとぉ!?》
そう。勝利への希望が見えてきたので、何としてでも、持ちこたえて欲しい。お願い!
《は、はひぃ!?》
急にタニシさんの呼吸が荒くなった。無理をさせすぎてしまったのかな?どうしよう!
《ダメでヤンス!鼻がかわいて力がデナイヨ~~!ゴッツンの効果が切れてきたでヤンスぅ!》
大変だ!タニシさんの元気の源が切れてしまった。どうしよう!
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【完結】ミックス・ブラッド ~異種族間混血児は魔力が多すぎる~
久悟
ファンタジー
人族が生まれる遙か昔、この大陸ではある四つの種族が戦を繰り返していた。
各種族を統べる四人の王。
『鬼王』『仙王』『魔王』『龍王』
『始祖四王』と呼ばれた彼らが互いに睨み合い、この世の均衡が保たれていた。
ユーゴ・グランディールはこの始祖四王の物語が大好きだった。毎晩母親に読み聞かせてもらい、想いを膨らませた。
ユーゴは五歳で母親を亡くし、父親は失踪。
父親の置き手紙で、自分は『ミックス・ブラッド』である事を知る。
異種族間に産まれた子供、ミックス・ブラッド。
ある者は種族に壊滅的な被害をもたらし、ある者は兵器として生み出された存在。
自分がそんな希少な存在であると告げられたユーゴは、父親から受け継いだ刀を手に、置き手紙に書かれた島を目指し二人の仲間と旅に出る。
その島で剣技や術を師匠に学び、様々な技を吸収しどんどん強くなる三人。
仲間たちの悲しい過去や、告白。語られない世界の歴史と、種族間の争い。
各種族の血が複雑に混じり合い、世界を巻き込む争いへと発展する。
お伽噺だと思っていた『始祖四王』の物語が動き出す。
剣技、魔法、術の数々。異世界が舞台の冒険ファンタジー。
転生貴族の魔石魔法~魔法のスキルが無いので家を追い出されました
月城 夕実
ファンタジー
僕はトワ・ウィンザー15歳の異世界転生者だ。貴族に生まれたけど、魔力無しの為家を出ることになった。家を出た僕は呪いを解呪出来ないか探すことにした。解呪出来れば魔法が使えるようになるからだ。町でウェンディを助け、共に行動をしていく。ひょんなことから魔石を手に入れて魔法が使えるようになったのだが・・。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる