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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第221話 借り入れは計画的に
しおりを挟む「剣豪勇者の力を借りるというのか!」
ちょっとした思いつきでしかないが、試してみる価値はあると思う。勝てるかどうかもわからない条件下での戦いだ。やれることがあればやれるだけやったほうがいい。後悔はしたくない。
「歴代勇者の力を行使すると言う話は全くなかったわけではない。だが、多用されていたわけではない。その理由がわかるか?」
理由?なにかデメリットなんかあったっけ?何度か借りたが、実感として残っていない。でも、サヨちゃんが言うからにはなにかあるんだろう。
「本来、人というものは一つの肉体に一つの魂が存在している。それ故、無理なくバランスを保つことが出来る。それが普通の許容範囲というものじゃ。」
普通は…普通の人は魂なんて一つしか持ってない。そんな例外があるとしたら……今の俺がそうなのか?
「自分以外の魂を共有することが出来る者、それが勇者じゃ。額冠にはそういう力がある。勇者とはいえ肉体は並みの人間と同じ。魂の許容範囲を超えるようなことをすればどのようなことが起きるか?著しく体に負荷を与え、消耗することになる。下手をすれば、命を落とすこともある。」
体力の消耗が激しいのか。俺は冒険者ギルドから認定を受けるほどの体力オバケだ。それなら大丈夫なのでは?
「そなた、体力がなまじあるだけに無理が利くとでも思っておるのではないか?考えは甘いぞ。そなたとて、負荷に耐えきれるものではない。ヴァル・ムングめと戦ったときがそうであろう。辛くも勝利出来たものの、その後は丸二日意識がなくなっておったことを忘れたわけではあるまいな?」
「……。」
そんなことを言われたらぐうの音も出ない。忘れていた。そのときは意識がなかったので自覚がなかった。全力を出し切ったあの日は俺の未完成な奥義を補うために、多大な勇者パワーを使っていたんだろう。使っていたというより、力を貸してくれてたんだ。歴代の先輩達も危機感を感じ取っていたんだろう。
「でも、ダイヤ野郎を倒したときは体力を消耗した感じはなかったんだけど……?」
「あれはそなた本来の力が発揮できておったから、ヴァルの時の様な事にはならなかったのじゃろう。精神的な助力だけであれば、消耗は少ないのではないか?」
あの時は勇気を借りたようなもんだ。確かに勇者の光の力を使ってなかった。それぐらいなら負荷は少ないのか。
「借りるのはよいが、ほどほどにしておけ。体力の配分をよく考えて使うようにするのじゃ。ここぞというときまで取っておくが良かろう。」
剣が不完全な状態なので八刃の使用には制限が出る。その代わりに力を借りるという使い方にしたほうが良さそうだ。もちろんムーザとは要相談なのだが。
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