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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第220話 一人でできるもん(一人でするとは言ってない)
しおりを挟む「なんじゃ、結局、そなたら二人がかりの説得でも無理だったのか。」
「うん。無理だった。」
「無理に引き留めるのは良くないと判断しました。」
別に俺は最初から説得するつもりはなかったんだけどな。ミヤコに話しておきたいことがあっただけだ。
「しょうのない奴等じゃのう?特にロア!そなたは当事者であろう?そなたはどうするつもりなのじゃ?勝つ算段などあるわけなかろう。」
ないかもしれない。でも、実際一人で魔王に立ち向かわないといけない。しかも、向こうには人質がいる。ここで戦ったときよりも不利な戦いを強いられるだろう。
「全くないわけじゃないんだぜ?一応、俺にも切り札的な物はあるから!」
「なんじゃ?申してみよ。」
俺はなんとなくで言ってみただけで、具体的には考えてはいなかった。即座に聞かれるとは思わなかった。誤算だ。ハッタリで通したかったのに。
「え、えーと……。」
「……。」
やべえ!みんな、俺に注目してる!何か名案を期待してる。どうしよ!……一人で、一人でなんとかしないといけないから……、俺は一人ではない?あっ……、
「俺は一人じゃないんだ。」
「……は?なんじゃ?それがどうした?」
「俺は一人じゃない…つまり、勇者は俺一人ではないんだ。」
「なんじゃ?まるっきり話が見えてこぬぞ?」
「ほら、この前もダイヤ野郎を倒したときもそうだったんだ。歴代の勇者が力を貸してくれたっていうか……、」
そうそう!あのときはカレルが歴代の勇者に呼びかけて力を貸してくれた。もしかしたら、似たようなことは出来るかもしれない。
「力を借りるんだよ。一時的に。」
「もし、そうだとしても、そなたが一人であることは変わりないぞ?」
「例えばさあ……俺が急に大魔法なんか使ったら、どうなると思う?」
「出来るのか、そなたに?」
「う~ん、出来るかどうかはさておき、もし俺がそんなことしたら、誰でも驚くじゃん?ってことは魔王もそうなるんじゃない?」
「それが何になるのじゃ?」
「意表を突く!隙を作ることが出来るかもしれないんだよ!……一応、実績はあるんだぜ?前に侍と戦ったとき、俺が魔法を使ったら、動揺してたんだ。」
「まあ、そこまで言うのであれば策としては有効かもしれんな。でもそれだけでは勝てぬであろう?」
「まだあるぜ。それもとっておきのヤツが!」
「なんじゃ?まだあると言うのか?」
「それは……あの虎魔王と直接戦ったことがある勇者の力を借りることだ!」
「なんじゃと!」
そう、ムーザ・シュラインの力を借りるんだ。まだ、本人のアポは取ってないけど……。
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