【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第212話 目には目を歯には歯を

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「くそっ!?放せよ!」


 刀は魔王の口にがっちりと押さえられ、抜けなかった。俺は魔王の肩と頭に足を置いて渾身の力で抜こうとしているのに抜けないのだ。一体化しているのではと思えるくらい硬い。


「私もいるということをお忘れなく!」


 エルちゃんが横から切りかかる。魔王はそのままでは躱しきれないと判断したのか、くわえていた刀を緩め、攻撃を回避した。その隙に俺は刀を抜いて魔王から離れた。


「卑怯だぜ、姉ちゃんよ?折角、勇者とのお遊びを満喫してたっていうのによう!」

「卑怯も何もありません!私ははじめからあなたと戦うつもりでした。」

「知らねえなあ、そんなこと?俺ァ、憶えてねえなあ?」


 わざとらしくとぼけている。ホントにタチの悪い奴だ。いちいち、一挙手一投足全てがこちらを苛つかせる。魔王はこんなヤツばっかりなんだろうか?


「勇者がやられるのをおとなしく待ってりゃいいのによ?どうなっても知らんぜ、俺は?」


 言うなり、エルちゃんへ攻撃を仕掛けていった。エルちゃんではあの攻撃は躱せない!阻止しなければ……、


「おっと、邪魔はさせねえよ!」


 片腕だけこちらを向けて黒いオーラの塊…タイガー・ブラストを放ってきた。


「くそっ!?」


 俺は黒い塊を処理するだけで手一杯になってしまった。このままではエルちゃんが……、


「アクセレイション!」


 エルちゃんが何かを叫んだ。叫んだ直後、エルちゃんの動きが明らかに変貌した。速い!魔王に引けを取らないくらい、速くなった。


「何ィ!?お前がそれを使えるのかよ!」


 魔王は絶対当たると思っていた攻撃を思いっきり空振ってしまい、体勢を崩した。そこへすかさずエルちゃんは攻撃を加える。大鎌で魔王の右腕を切り落とした。


「ぐおおああう!?」


 魔王は豪快に悲鳴を上げた。なめてかかった相手に返り討ちにされたんだから、当然だ。


「腕だけでは済ませませんよ!」


 エルちゃんは返す刃で、魔王の首を刈り取った。大鎌だから正に刈ったと言える。切断面から黒い飛沫を上げて、魔王の頭部は吹き飛んだ。


「やった!?大金星だ、エルちゃん!」


 魔王に致命的なダメージを与えた?……いや、待てよ。コイツらは基本的にコアを破壊しないと倒したことにはならないはず……。


「ううっ!?ぐっ!!」


 切り落とした腕がエルちゃんの首を掴んだ。切り落とされた状態なのに、何事もなかったように普通に掴んでいる。


「おおっと!やべえ、やべえ!危なかったぜ。お前らと同じ人間だったら、死んでるところだったぜ!」


 床に転がった魔王の頭が冗談じみたことを言う。やはり、コイツらにとっての致命傷はコアへのダメージ以外に他ならないということか。通常のデーモンなら行動に制限を与えるようなダメージでもビクともしないようだ!


「まさかアクセレイションを使えるとは思わなかったぜ!こういうサプライズにはサプライズで返さねえとな、って思った訳よ!」


 何がサプライズだ!いらないんだよ、そういうのは!……っていうか、そんな汚い手でエルちゃんをさわるな!
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