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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第198話 犬のお困りさん

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「あ~あ、泣かしちゃってェ!」

「違うでヤンス!最初から泣いてたでヤンス!人聞きの悪いことを言ってはいけないでヤンスよ!」

「にゃあ~!」


 ああー!更に泣き出したでヤンス!早くなんとかしないといけないでヤンス。


「あの~、お名前は?」

「にゃあ~。」

「ニャアちゃん?」

「ええ?それ、ちがくない?」


 もうどうしたらいいかわからないでヤンス!お手上げヤンス!


「じゃあ、おうちはどこでヤンスか?」

「にゃあ~。」


 詰んだでヤンス!なんかどこかで聞いたような展開になってきたでヤンス!


「ウ、ウオオオオォン!」


 思わず遠吠えしてしまったでヤンス。ハズカシイでヤンス!


「ワンちゃんが犬になったぁ!?」


 言ってる意味がわかヤンス……いや、わからんでヤンス。


「……にゃ、にゃハハ……。」


 笑った?なんか、この子、今笑ったでヤンス!意外な打開策でヤンス。では、もういっちょ!


「ウ、ウオオオオォン!」

「……。」

「あ、なんか、スベってるっぽい!」


 あ、あれ?今度は無反応でヤンス?何でヤンスか?何が悪かったでヤンスか?


「……。」


 でも、子猫は泣くのをやめているヤンス。何かを見つめてるでヤンス。あっしの顔?んもう~、照れるでヤンスよ。


「……光ってる!」

「……!?」


 あっしはそんなに美男子でヤンスか?光り輝くくらい、イケメンでヤンスか?照れるでヤンスぅ~!


「袋、光ってる!」

「袋!?」


 ふ、袋?……もしや、風呂敷のことでヤンスか?なんだ、がっかりでヤンス!……でも、風呂敷の中が光るのはおかしいでヤンス!光りそうな物はゴッツン・ゴー・クオヴァディスくらいしかないでヤンス!でも、漏れない限りは光るわけないヤンス。


「何が光ってるでヤンス?」


 風呂敷を下ろして中身を確認!子猫も中をのぞき込んでるでヤンス。どれどれ……、こ、これは!?


「これは勇者の剣が光ってるでヤンス!」


 アニキから預かってた剣が光ってるでヤンス!光るなんて聞いてないでヤンス!何が起きてるでヤンス?


「かっこい~!」


 子猫も見とれてるでヤンス!意外な物が子守りの役に立っているでヤンス!さすが伝説の武器でヤンス。


「ねえ、おぢちゃん、これってでんせつのぶき?」

「おぢちゃん!?」


 ガーン!オジさん呼ばわりされたでヤンス。まだ、二十過ぎでヤンスのに!まだオジさんにはなってないでヤンス。


「ねえ、これ、でんせつのせいけん?」

「まあ、そういうことでヤンス。じつはあっしは勇者の仲間でヤンス。お供をしてるでヤンス。」

「へー。ゆうしゃのともだち?じゃあ、あ~るのパパとおんなじだ!」


 パパと同じ?この子の親は何者でヤンスか?もしかしたら、パパが適当に話を盛ってる可能性が無きにしも非ずでヤンスけど。


「ねえ、キミ、アール君っていうの?」


 ミャーコちゃんが子猫に名前を確認してるでヤンス。確かに「アールのパパ」と言ってたでヤンスね。……しかし、ミャーコちゃん、さっきまでよそ見してた様な気がするでヤンス?なんか様子がおかしかったでヤンス?


「うん!あ~るって言うんだよ。あ~る・わいるどわん!」

「さっきパパが勇者の友達って言ってたけど、何のお仕事してる人?」

「うんとねえ、……わるものをやっつけるしごとしてる。このまえ、ゆうしゃといっしょにわるものたおしたって、ゆってた!」


 この前?じゃあ、本当ならアニキに聞けば、この子の親が判明するかもしれんでヤンス。やったでヤンス!
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