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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第190話 剣って呼べるレベルじゃねーぞ!
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俺はディーゲさんに案内され、勇者王の剣の前までやってきた。通常なら見物客が大勢いるのだが、勇者が来たということで特別に人払いをしてもらった。なので他に人はいない。
「これが剣……なのか?」
その姿を見て驚愕した。サヨちゃんからも「見れば驚く」とは聞いていたものの、想像していたものとは全く違っていた。
「剣には見えないんだけど……?」
目の前には白い物がそびえ立っていた。魔法の灯りに照らされて、強く輝いているので、それが金属で出来ている物なのはわかる。でもこれは武器と呼んでいいのか?
「紛う事なく、これが伝説の勇者王の剣でございます。」
「剣ってレベルじゃないよ、これは!」
長さ自体、俺の身長の三倍くらいはありそうだ。幅も人が三人並んだくらいあり、厚みも普通の建物の壁くらいある。例え剣として作られた物だとしても、武器として使えるような大きさじゃない。それくらい現実離れした大きさだった。
「歴代の勇者様もこれを見て必ず驚かれます。ですが、恒例の儀式を経験なさると誰もが納得されるそうです。」
「……儀式?」
何か儀式をするのか。剣を作る前に色々とやらないといけないようだ。でも仕方ない。自分専用の剣を作るという一大イベントなんだからな。
「左様で御座います。儀式とは言っても特に難しい事をするわけではありませんので、ご安心下さい。」
何か祈ったり、踊ったり、歌ったりするわけじゃなさそうなので安心した。いきなりぶっつけ本番でそんな事をしろと言われても困る。多分サヨちゃんと一緒に来てたら、嘘でもそういうことをさせられてたかもしれない。そういうのを笑いの種にするのがサヨちゃんである。
「儀式はただ……剣に触れて頂くだけです。さあ、こちらへ。」
剣の周りには人が触れないよう、近寄れないように柵が設置されていた。そりゃ誰だって触ってみたくなるだろう。勇者王の力にあやかりたいだろうし。でもそんなことを許してたら、錆びたり痛んだりするだろうから、当然の処置だろう。
「さあ、どうぞ。触れてみて下さい。」
(ゴクリ……。)
俺は緊張のあまり唾を飲み込んだ。意を決して、剣に触れてみた。その瞬間、ダイヤ野郎との戦いの最中に垣間見た、不思議な空間にやってきていることに気付いた。
「これが剣……なのか?」
その姿を見て驚愕した。サヨちゃんからも「見れば驚く」とは聞いていたものの、想像していたものとは全く違っていた。
「剣には見えないんだけど……?」
目の前には白い物がそびえ立っていた。魔法の灯りに照らされて、強く輝いているので、それが金属で出来ている物なのはわかる。でもこれは武器と呼んでいいのか?
「紛う事なく、これが伝説の勇者王の剣でございます。」
「剣ってレベルじゃないよ、これは!」
長さ自体、俺の身長の三倍くらいはありそうだ。幅も人が三人並んだくらいあり、厚みも普通の建物の壁くらいある。例え剣として作られた物だとしても、武器として使えるような大きさじゃない。それくらい現実離れした大きさだった。
「歴代の勇者様もこれを見て必ず驚かれます。ですが、恒例の儀式を経験なさると誰もが納得されるそうです。」
「……儀式?」
何か儀式をするのか。剣を作る前に色々とやらないといけないようだ。でも仕方ない。自分専用の剣を作るという一大イベントなんだからな。
「左様で御座います。儀式とは言っても特に難しい事をするわけではありませんので、ご安心下さい。」
何か祈ったり、踊ったり、歌ったりするわけじゃなさそうなので安心した。いきなりぶっつけ本番でそんな事をしろと言われても困る。多分サヨちゃんと一緒に来てたら、嘘でもそういうことをさせられてたかもしれない。そういうのを笑いの種にするのがサヨちゃんである。
「儀式はただ……剣に触れて頂くだけです。さあ、こちらへ。」
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「さあ、どうぞ。触れてみて下さい。」
(ゴクリ……。)
俺は緊張のあまり唾を飲み込んだ。意を決して、剣に触れてみた。その瞬間、ダイヤ野郎との戦いの最中に垣間見た、不思議な空間にやってきていることに気付いた。
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