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第4章 勇者の剣と剣の巫女
第189話 ここが剣の丘?
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「ここが剣の丘?」
剣を求めてやってきたわけだが、具体的にどこに行けばいいかは知らなかった。とりあえず、観光用の看板を頼りにやってきた。剣の丘とかいう、いかにもそれっぽい場所に辿り着いた。
「丘というわりには、丘っぽくないな。」
地名的には丘となってはいるが、どう見ても外観は神殿だった。ひょっとしたら昔は建物はなかったのかもしれない。
「とりあえず、中に入ってみるか。」
ずっと眺めていてもしょうがない。中に入らないことには何も始まらない。勇者王の剣とやらもここにあるに違いない。剣を作ってもらうのも重要だが、伝説の武器をこの目で見ておきたい。
「あれ?あの人、勇者様なんじゃない?」
「まさかー。……え!ホントじゃん。マジで!」
「ねえ、あの人、勇者様らしいよ?」
「すごい!初めて見た!」
「聖地に勇者様とは。ありがたやー。」
俺を勇者と認識した観光客がざわめき始めた。どんどん人が集まってきている。人々は老若男女様々だ。中には俺を見て拝み始める年寄りまでいた。
「やべえな。巻き込まれると身動きが出来なくなる。」
見る見るうちに人が集まってきた。このままだと間違いなく揉みくちゃにされる。冒険者ギルドでも似たような経験があったので、人が多いこの場所だともっとひどいことになるのでは、と想像できる。
「勇者様!勇者様!」
増え続ける人混みの中で俺を呼ぶ声が聞こえてきた。年配の男性の声だ。群がる人混みをかき分けながら、その声が聞こえる方向へ進んだ。
「勇者様、どうぞこちらへ。」
人混みの壁からなんとか脱出できそうになったところで、俺を呼んでいる人の姿が見えた。神官の服装をした男性だった。俺は命からがら……別に死にはしないけど、死に物狂いで脱出を試みた。そしてようやく神官の人の所まで辿り着くことに成功した。
「私に付いてきて下さい。」
俺は神官の人の誘導に従って、後を付いていった。神殿の中に入り、一般人お断りのエリア内まで来たところで、人気のない部屋まで案内された。
「ふう!助かった。ありがとう。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
神官の人は恭しく頭を下げた。いやいや、頭を下げないといけないのはこっちの方だ。俺も頭を下げた。
「勇者様が頭を下げるなんてとんでもない。どうかお気になさらないで下さい。」
逆に気を遣わせてしまったようだ。ここは素直に頭を上げることにした。
「この地においでになると連絡頂ければ、お迎えに参りましたのに。まさか、突然訪問されるとは思ってもいませんでした。」
「え!?いや、まあ……なんというか、色々あったもんで……。」
さすがに仲間と喧嘩したなんて話はできない。なんとかここは誤魔化しておくしかない。
「改めまして、私はディーゲ・ヒーラジーロと申します。剣の守護を代々務める一族の出身です。その関係上、この神殿で神官長も務めております。」
「剣の守護?代々守ってるんですか?すごいっすね。」
「……?ご存じなかったのですか?」
「すんません、勉強不足で。なにしろ勇者になってから間もないもんで。」
そういう話はサヨちゃんから全く聞いていなかった。大抵の話はサヨちゃんの方から、聞いてもいないのに、ペラペラ話してくる。でも、剣の里とか勇者の剣の情報については一切話してくれなかった。とにかく「行けばわかる。」の一点張りだった。一体何を隠しているんだろう?
「ああ……、カレル様がお亡くなりになる直前でご指名を受けたとか……。ご事情はクルセイダーズから聞いております。」
先代カレルの訃報は各地の関係者に知れ渡っているようだ。そういう意味ではいちいち、その場で説明する手間が省ける。
「でしたら、これから勇者王の剣の元へご案内しますので、その道中でご説明致しましょう。」
とうとう勇者王の剣と対面することになった。一体何が待ち受けているのだろう。こんなでかい神殿の中に祭られている剣とはどんなものなんだろうか?
剣を求めてやってきたわけだが、具体的にどこに行けばいいかは知らなかった。とりあえず、観光用の看板を頼りにやってきた。剣の丘とかいう、いかにもそれっぽい場所に辿り着いた。
「丘というわりには、丘っぽくないな。」
地名的には丘となってはいるが、どう見ても外観は神殿だった。ひょっとしたら昔は建物はなかったのかもしれない。
「とりあえず、中に入ってみるか。」
ずっと眺めていてもしょうがない。中に入らないことには何も始まらない。勇者王の剣とやらもここにあるに違いない。剣を作ってもらうのも重要だが、伝説の武器をこの目で見ておきたい。
「あれ?あの人、勇者様なんじゃない?」
「まさかー。……え!ホントじゃん。マジで!」
「ねえ、あの人、勇者様らしいよ?」
「すごい!初めて見た!」
「聖地に勇者様とは。ありがたやー。」
俺を勇者と認識した観光客がざわめき始めた。どんどん人が集まってきている。人々は老若男女様々だ。中には俺を見て拝み始める年寄りまでいた。
「やべえな。巻き込まれると身動きが出来なくなる。」
見る見るうちに人が集まってきた。このままだと間違いなく揉みくちゃにされる。冒険者ギルドでも似たような経験があったので、人が多いこの場所だともっとひどいことになるのでは、と想像できる。
「勇者様!勇者様!」
増え続ける人混みの中で俺を呼ぶ声が聞こえてきた。年配の男性の声だ。群がる人混みをかき分けながら、その声が聞こえる方向へ進んだ。
「勇者様、どうぞこちらへ。」
人混みの壁からなんとか脱出できそうになったところで、俺を呼んでいる人の姿が見えた。神官の服装をした男性だった。俺は命からがら……別に死にはしないけど、死に物狂いで脱出を試みた。そしてようやく神官の人の所まで辿り着くことに成功した。
「私に付いてきて下さい。」
俺は神官の人の誘導に従って、後を付いていった。神殿の中に入り、一般人お断りのエリア内まで来たところで、人気のない部屋まで案内された。
「ふう!助かった。ありがとう。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
神官の人は恭しく頭を下げた。いやいや、頭を下げないといけないのはこっちの方だ。俺も頭を下げた。
「勇者様が頭を下げるなんてとんでもない。どうかお気になさらないで下さい。」
逆に気を遣わせてしまったようだ。ここは素直に頭を上げることにした。
「この地においでになると連絡頂ければ、お迎えに参りましたのに。まさか、突然訪問されるとは思ってもいませんでした。」
「え!?いや、まあ……なんというか、色々あったもんで……。」
さすがに仲間と喧嘩したなんて話はできない。なんとかここは誤魔化しておくしかない。
「改めまして、私はディーゲ・ヒーラジーロと申します。剣の守護を代々務める一族の出身です。その関係上、この神殿で神官長も務めております。」
「剣の守護?代々守ってるんですか?すごいっすね。」
「……?ご存じなかったのですか?」
「すんません、勉強不足で。なにしろ勇者になってから間もないもんで。」
そういう話はサヨちゃんから全く聞いていなかった。大抵の話はサヨちゃんの方から、聞いてもいないのに、ペラペラ話してくる。でも、剣の里とか勇者の剣の情報については一切話してくれなかった。とにかく「行けばわかる。」の一点張りだった。一体何を隠しているんだろう?
「ああ……、カレル様がお亡くなりになる直前でご指名を受けたとか……。ご事情はクルセイダーズから聞いております。」
先代カレルの訃報は各地の関係者に知れ渡っているようだ。そういう意味ではいちいち、その場で説明する手間が省ける。
「でしたら、これから勇者王の剣の元へご案内しますので、その道中でご説明致しましょう。」
とうとう勇者王の剣と対面することになった。一体何が待ち受けているのだろう。こんなでかい神殿の中に祭られている剣とはどんなものなんだろうか?
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