【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第187話 蛇の誘惑

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「ティーグ様。しばし、お待ちを。」


 勇者討伐へ向かう俺様を呼び止める奴がいた。誰だ?俺様の邪魔をする奴は。つまらん用ならただではすまさんぞ!


「必勝の策がございます。」


 振り向くと蛇がいた。あの陰気臭くて、いまいち存在感のないアイツだ。それにしても“必勝の策”とは何だ?


「必勝だぁ?まるでその策がなけりゃ、俺様が勇者に勝てないとでもいうのか?俺様をからかうのも大概にしろよ!」


 俺様を馬鹿にしている!俺様の強さを信じられねえのか!


「ホホホ、貴方様の強さを疑うつもりは毛頭ありませぬ。勝利をより盤石のものとするのでございます。」


 盤石だぁ?そんなものがなくても、俺様の強さは既に盤石なんだよ!


「勇者の撃破、それは貴方様の力で十分成し遂げられましょう。しかし、貴方様にはもう一つの任務があったはずです。」

「ああ、そうだな。ついでに勇者王の剣を壊して来てやるんだ。ここまでやりゃあ、人間どもも俺達に逆らう気力がなくなるだろうよ。」


 いくら痛めつけても俺達に逆らう人間ども。奴等の気力を削ぐには、徹底的に壊してやるのが一番だ。勇者を倒し、勇者王の剣を破壊してしまえば、抵抗する力はなくなったも同然だろう。


「ホホホ。すばらしいお考えですわ。ですが、ギャロ様がご意見されたように、勇者王の剣を破壊するのは困難を極めるのでございます。そのためにも対策が必要なのです。」

「対策なんざ必要ねえ!俺様が力業でへし折ってやんよ!」

「破壊のみであれば、貴方様の力を持ってすれば可能でございましょう。人間たちも馬鹿ではありません。破壊されぬよう策を講じているのです。それゆえ、以前のギャロ様の作戦も失敗に終わったのです。」


 あの馬野郎が失敗したのにはワケがあるってのか?人間ごときがどんな力を使って守ってやがるのか、ちょっと興味が湧いてきたぜ。


「あの剣には代々守り手がいるのでございます。その者の力自体は大したことはないのですが、剣との相乗効果により、絶大な力を発揮するのでございます。守り手が存在する限り、剣は永久に不滅なのです。勇者の剣もまた同様なのでございます。」

「あぁ!?何モンだ、そいつぁ?」

「その者は“剣の巫女”と呼ばれています。この巫女は勇者の剣を作る際、必要不可欠なのでございます。ですから……、」


 蛇が言おうとしていることが大体わかってきた。まあ要するにブッ殺せばいいわけだ。勇者以外にターゲットが一つ増えたわけだ。こりゃあ、楽しくなってきそうだ。
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