【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第4章 勇者の剣と剣の巫女

第182話 ちょ、待てよ!!

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「バカばかりでよかったニャ!さっさとやっちまうニャア!」

「ちょ!ちょっと、まって!」

「待てないニャア!」

「阿呆じゃ。」


 ちょ!賊はともかくサヨちゃんまで呆れてるし。このままだと略奪されてしまうぞ!


「もういい!折れた剣でもやったらあ!」


 ないものはないのだ。あるものだけでなんとかするしかない。やろうと思えばなんでもできる。元気さえあればな!昔、偉い人が言ってたし。


「おとなしく死ぬがいいニャ!」

「おとなしくなってたまるか!」


 猫人の賊は半分以上が素手だった。武器はなくても強いのはこの前見たことがある。ジェイだ。彼も素手だった。素手でも身体能力は人間よりもいいし、鋭い爪を持っていることも忘れてはいけない。


(ヒュン!)


 格闘による攻撃はかなり鋭い。武器持ちの相手に全然引けを取らないだろう。でも、そこまで脅威を感じない。俺には力任せ、身体能力任せなでたらめな攻撃に思えた。


「これならいける!くらえ、破竹撃!」


 かわしつつ、攻撃を入れる。こんな相手に空隙の陣を使うまでもない!


(スカッ!!)


 あああ!しまったあああ!いつもの感覚で技を出したら、壮絶に空振りしてしまったああ!折れてなかったら当たってたのに!


「やっぱり、バカニャ!」


 反撃の隙を与えてしまった。くそう!


《ロアよ!》


 そのとき、サヨちゃんが思念波を送ってきた。何だ?


《武器が必要であろう?これを使うがよい。》


 見るとサヨちゃんが細長い棒状の物を投げようとしていた。こんなタイミングでそんな物を出してくるとは。


《受けとれい!》


 隙を見て敵から離れ、武器を受け取った。これは……刀?どこかで見覚えがある。早速抜いて戦いを再開する。


「よし、これならなんとかなりそうだ。かかってこい!ドロボウ猫共!」




「ふう!なんとか片付いたな。」


 あの後、結構あっさりと片付いた。まあ、俺だけじゃなくて、エルちゃんも戦っていたからな。その分早かったのだ。


「侍の餞別の品が役に立ったようじゃな。」

「侍のヤツだったのか。でもコレって折れてなかったっけ?」


 そう、妖刀ムラサマだ。ダイヤ野郎との戦いで折れたはずだ。何故か元に戻っている。


「魔術でなんとか修復してみた。元の強度には劣るかもしれぬが、勇者の剣を作るまでの繋ぎとしては十分じゃろう。伝説の妖刀じゃからな。」

「元の強度には劣るか……。」


 正直、不安だった。第一、剣と刀では使い勝手が違うからだ。長さも、重さも違うしなんと言っても、両刃と片刃の違いも大きい。梁山泊でも剣と刀でそれぞれ分けているぐらいだ。慣れるまで時間がかかりそうだ。早く新しい剣を手に入れたい……。
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