【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第177話 貴方みたいなのには丁度いい玩具ね。

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「魔王の遺産ハどうなッタんでス?」


 ドラゴンズ・ヘブンへ戻ると、オプティマが出迎える形となっていた。もちろん、彼の求める品は手にしていない。


「すまぬな。今回は痛み分けとなってしまった。彼らの方が少しばかり幸運に恵まれたようだ。故にあれは彼らが持って行ってしまった。」

「はア。あなた様がおっしゃルのでアれば文句はございまセン。」

「変わりといってはなんだが、こいつを手土産に持って帰ってきた。ダンジョン・コアだ。」

「おオお!?古代遺物ではありマせんカ!専門ではナいですガ、十分に興味深い一品。ありがたク、頂戴しマす!」

「フ、貴方みたいなのには丁度いい玩具ね。」

「なんですト!失敬ナ!」

「まあ、そう言うな。レギンよ。お前にとってはあまり価値のない物かもしれぬ。壊れてはいるが、解析すれば面白いことがわかるかもしれん。」

「はい。ヴァル様がそうおっしゃるのなら、間違いありませんわ。」

「本当ニ、調子のいイ人ですネえ……。」

「何か言った?」

「イいえ。ナニも。」


 ダンジョン・コアを手に入れ、魔王の遺産は取り逃してしまった。だが、それ以外に重要なものを発見した。


「今回の件で最も大きな収穫は優秀な人材を見つけたことだ。」

「人材ですか?そのような人物がいたとは思えませんが……。」


 彼女は基本的に私以外の人間には興味を示さない。それは彼女が竜である故、大抵の人間は取るに足らないものと感じているからだ。あまり良くない癖だ。それ故、人間を見くびり、足をすくわれる事になる。


「君はもう少し人を見る目を養った方が良い。でなければ、再び勇者に出し抜かれる事になる。」

「はい!申し訳ありません。善処致します。」

「それはさておき、見つけた人材というのは、コタロウ・サザとヘイフゥの二人だ。」

「あの二人ですか?しかし、ヘイフゥという者は勇者の後見人では?」


 レギンは驚愕の表情を見せている。彼女は彼らには全く興味を示さなかったようだ。


「だが、敵にしておくにはもったいない逸材だ。いつかは必ず配下に加えてみたいものだ。」


 自分にとって、敵か味方か、善か悪かというものは些細なことと感じている。全てを制するものは清濁併せ持つものだ。


「あの侍も良い。百年もの月日を自らの鍛錬に費やしていたのだ。その力は勇者や私に匹敵する力を持っているやもしれん。」

「確かに金剛石の王に肉薄するほどの実力はあったようですね。」

「そうであろう?彼もいつかは私の配下に加えてみせるさ。」


 勇者が代替わりして以降、様々な逸材が現れ始めた。こうでなくては、私が強くなった甲斐がない。拮抗する相手が数多くいてこそ、その強さが輝くのだ。


「アっ!?そうイえバ、お伝エしなけレばいけないことがありマす!」


 オプティマが慌てふためいた様子で、報告をしようとしている。この男が動揺するとはどのような事態だ?


「緊急事態なのデす!それは……、」

「何をもったいぶっているの!早くおっしゃい!」

「魔王軍が……悪夢の支配者、ラット・キングが魔界から地上界に戻ってきタようナのでス!!」

「ラット・キングですって!?」

「ほう……、これはこれは、また一段と楽しいことになってきたな。」


 恐らくは勇者が“牛頭の魔王”を消滅させたことがトリガーになったのだろう。遂に役者は揃った。

 It's showtime!!!
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