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第3章 迷宮道中膝栗毛!!
第174話 トレ坊!エル坊!天気予報!!(?)
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「終わったようじゃの。」
墓地の入り口でサヨちゃんが待っていた。
「なんだよ、こんなところまで来てるなら、いっしょにこればよかったのに。」
「空気を読んだだけじゃ。相手が相手じゃ。男同士で話をつけるのが良かろう、と思ってな。」
侍は気難しいヤツだ。勇者に因縁があるという意味では俺だけにしておいて正解だったとは思う。案の定、決着についての話だったからだ。
「また、再戦を申し込まれちまったよ。だから、早く剣を作りに行かないとな。」
「うむ。」
さっそく、旅立つ準備をしないとな。
「みんなはどうしてる?」
「クルセイダーズの三人はダンジョンの封鎖作業で手が離せないようじゃ。少なくともしばらくはこの町を離れることは出来ないそうじゃ。」
「そうか。アイツら忙しいんだな。」
それは仕方ない。俺たちが入る前から問題が起きていたし、まだトラップとかもそのまま残っているはず。その処理には時間がかかるだろうな。
「じゃあ、おっちゃんは?」
「あの遊び人を再教育するそうじゃ。他にも留守中に舞い込んできた依頼が多数あったそうじゃから、これからは忙しくなるそうじゃぞ。」
「やっぱ、タニシの教育じゃ不足だったんだろうな。」
タニシだけの問題ではないかもしれない。あの遊び人相手では何をするにしても骨が折れそうだ。
「エルちゃんは?宿で待ってる?」
さすがに待っていてくれてるだろう。
「エル坊か?あいつなら握手会兼サイン会に行ったぞ。」
「握手会兼サイン会?誰の?」
握手会?サイン会て何だ?なんか有名人でも来てるのか?ていうか勇者な俺もその類いなんだが!どんなヤツなんだ?
「実際に見に行けばわかる。ゆくぞ!」
俺の頭の中は疑問だらけだったが、サヨちゃんにおとなしく付いていくしかなかった。
「何アレ?なんであんなところに石像が?」
連れられてきたのは本屋だった。この町に来た初日に立ち寄った例の本屋だった。なにやら行列が出来ていて、その先には謎の石像があった。エルちゃんもその行列の中にいた。この前、あんな物はなかったはずだ。
「あれは人気作家のロバート・トレじゃ。そなたは知らぬのか?」
「知らねーよ!」
「あの、ホレ!“石の中にも残念”とか“我が輩は石である”の作者じゃよ。特に“トレ坊ちゃん”が人気作でのう。それ故、ファンからは“トレ坊”と呼ばれておる。」
「エエェ……。」
確かにそんな本が置かれていたのは知っていたが、人気作だったとは。……でも、石ですよ?石像ですよ?石に小説書けるんですか?
「あれ、ホントに作家さんなの?」
「当然じゃ。今は作家として名高いが、かつては魔術師会でも有名な“石の賢者”だったのじゃ。」
「賢者!?魔術師なの!?でもなんで、石なの?」
「諸説あるが、かつて友人と揉めた末に石の中に封印されてしまったようじゃ。その友人というのが……、金剛石の王ことアンドリュー・エクスェルナらしいのじゃよ。」
「何、その嘘くさい話!それがホントなら万年単位で生きてることになるじゃないか!」
うーん?確かにヤツは死に際に「ロバート!」って口走っていたけど、まさか。まさかな。
「あくまで都市伝説じゃ。本人が何も語らない以上は真相は不明。信じるか信じないかはそなた次第じゃ。彼奴がらみの都市伝説はいくらでもあるぞ。調べてみるが良かろう。」
「それはそうとして、あのなりで握手とサインなんてどうやってやるんだよ?」
石像……、大きな顔の彫刻がある石像だ。世界のとある場所には物事の真実を見極めるとかいう彫刻があるらしいが、なんとなくそれっぽい。あの石像にも口の部分に不自然な穴があいてる。まさか……。
「ホレ!ようやく、イベントが始まったようじゃぞ。見とれば、すぐにわかることじゃ。」
ついに始まった!さあ、どうなる?……普通に口の部分から腕がニュッと出てきた!というか生えてきた!気持ち悪っ!
墓地の入り口でサヨちゃんが待っていた。
「なんだよ、こんなところまで来てるなら、いっしょにこればよかったのに。」
「空気を読んだだけじゃ。相手が相手じゃ。男同士で話をつけるのが良かろう、と思ってな。」
侍は気難しいヤツだ。勇者に因縁があるという意味では俺だけにしておいて正解だったとは思う。案の定、決着についての話だったからだ。
「また、再戦を申し込まれちまったよ。だから、早く剣を作りに行かないとな。」
「うむ。」
さっそく、旅立つ準備をしないとな。
「みんなはどうしてる?」
「クルセイダーズの三人はダンジョンの封鎖作業で手が離せないようじゃ。少なくともしばらくはこの町を離れることは出来ないそうじゃ。」
「そうか。アイツら忙しいんだな。」
それは仕方ない。俺たちが入る前から問題が起きていたし、まだトラップとかもそのまま残っているはず。その処理には時間がかかるだろうな。
「じゃあ、おっちゃんは?」
「あの遊び人を再教育するそうじゃ。他にも留守中に舞い込んできた依頼が多数あったそうじゃから、これからは忙しくなるそうじゃぞ。」
「やっぱ、タニシの教育じゃ不足だったんだろうな。」
タニシだけの問題ではないかもしれない。あの遊び人相手では何をするにしても骨が折れそうだ。
「エルちゃんは?宿で待ってる?」
さすがに待っていてくれてるだろう。
「エル坊か?あいつなら握手会兼サイン会に行ったぞ。」
「握手会兼サイン会?誰の?」
握手会?サイン会て何だ?なんか有名人でも来てるのか?ていうか勇者な俺もその類いなんだが!どんなヤツなんだ?
「実際に見に行けばわかる。ゆくぞ!」
俺の頭の中は疑問だらけだったが、サヨちゃんにおとなしく付いていくしかなかった。
「何アレ?なんであんなところに石像が?」
連れられてきたのは本屋だった。この町に来た初日に立ち寄った例の本屋だった。なにやら行列が出来ていて、その先には謎の石像があった。エルちゃんもその行列の中にいた。この前、あんな物はなかったはずだ。
「あれは人気作家のロバート・トレじゃ。そなたは知らぬのか?」
「知らねーよ!」
「あの、ホレ!“石の中にも残念”とか“我が輩は石である”の作者じゃよ。特に“トレ坊ちゃん”が人気作でのう。それ故、ファンからは“トレ坊”と呼ばれておる。」
「エエェ……。」
確かにそんな本が置かれていたのは知っていたが、人気作だったとは。……でも、石ですよ?石像ですよ?石に小説書けるんですか?
「あれ、ホントに作家さんなの?」
「当然じゃ。今は作家として名高いが、かつては魔術師会でも有名な“石の賢者”だったのじゃ。」
「賢者!?魔術師なの!?でもなんで、石なの?」
「諸説あるが、かつて友人と揉めた末に石の中に封印されてしまったようじゃ。その友人というのが……、金剛石の王ことアンドリュー・エクスェルナらしいのじゃよ。」
「何、その嘘くさい話!それがホントなら万年単位で生きてることになるじゃないか!」
うーん?確かにヤツは死に際に「ロバート!」って口走っていたけど、まさか。まさかな。
「あくまで都市伝説じゃ。本人が何も語らない以上は真相は不明。信じるか信じないかはそなた次第じゃ。彼奴がらみの都市伝説はいくらでもあるぞ。調べてみるが良かろう。」
「それはそうとして、あのなりで握手とサインなんてどうやってやるんだよ?」
石像……、大きな顔の彫刻がある石像だ。世界のとある場所には物事の真実を見極めるとかいう彫刻があるらしいが、なんとなくそれっぽい。あの石像にも口の部分に不自然な穴があいてる。まさか……。
「ホレ!ようやく、イベントが始まったようじゃぞ。見とれば、すぐにわかることじゃ。」
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