【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
上 下
170 / 401
第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第170話 キミ達の冒険は終わった。

しおりを挟む
 景色が変わったと思ったら、何故か別のダンジョンにいた。またわけわからんところに出た。全てが終わったと思ったのに、またダンジョン攻略か。


「終わったのう。とりあえずはご苦労だった、と言っておこう。」

「勇者様、お疲れ様でした。」

「ああ、ありがとう。」


 いつの間にか側に来ていたサヨちゃんとエルちゃんが労いの言葉をかけてくれた。


「一時は父上を圧倒する力を持っていたとはいえ、そなたの技であっさり負けてしまうとはのう。」

「別に俺が開発した技じゃないし、みんなの力がなけりゃ勝てなかった。」

「そうか?彼奴は周りの変化に対応できなかった自称天才の愚か者だったのであろう。長く一カ所に籠もりっきりでは井の中の蛙と同じじゃ。そなたは逆に新たなる力を習得しようと試行錯誤した。その差が今回の結果に繋がったのじゃ。」

(ピキッ……!)


 今度は何か……と思っていたら、音と共に手に持っていた剣が急に軽くなった。なんだ?


「剣が……折れた?」


 剣が半ばから折れていた。残っている部分にもヒビが入っている。空間を斬るときに感じた重さは感覚だけじゃなかったんだ。本当に剣に負荷がかかってしまっていたんだろう。大切な剣が壊れてしまった。


「ゴメン、カレル。あんたの大切な物を壊しちまった。」

《構わないよ。君が勝てたのだから、それでいい。君が成長したのに比べれば大したことじゃない。それに……、》


 カレルが何か言おうとしたところで、背後に気配を感じた。


「勇者よ。」


 気配というより威圧感といったほうがいいかもしれない。俺の宿敵の、あの男だ。


「見事な技だった。私も強くなったが、貴様も更に強くなった。」

「な、何だよ!やるのか!」


 俺は身構えた。今回、共闘することにはなったけど、コイツが敵なことには変わりない。こいつ自身もそう認識しているはずだ。


「やる気があったとしても、貴様は戦えまい?その状態でどう戦うというのだ?」


 ヤツは剣を指差し、俺が継戦不能なことを指摘する。指摘したところで強引に戦うんだろう?お前は。


「剣のない貴様に勝ったところで、何の自慢にもならん。貴様の全力は私が全力で潰す。そうでなければ、意味がない。」


 何だよ!戦わないのか!じゃあ、何しにきたんだ。


「今回の戦利品として、これを頂いていく。」 


 これ、と言って壊れた金属の箱の様な物を取り出した。何このガラクタ?


「ダンジョン・コアだ。ある意味、金剛石の王の本体、いや、心臓と言うべき物か。」

「それで何をするつもりだ!」

「何に使うかは私の勝手だ。」

「持って行かせない、とでもいうのかしら?これでも、妥協してあげているのよ。ヴァル様の御慈悲に感謝なさい。」

「感謝ぁ!?」


 俺たちの話に割って入ってきた魔女が妙なことを言う。確かに今回は助けてもらったようなもんだけど……。


「本来なら、魔王の遺産も頂きたかったのよ?先にあのお嬢ちゃんが手にしてしまったようだけど。」


 エルちゃんの方を指差す。魔王の遺産って……エルちゃんに似つかわしくない、あの物騒な武器のことか?あれが魔王の遺産だったのか。


「もうよい。今回の件は引き分けということにしておく。貴様との勝負は預けておく。それまでに剣を直しておくことだ。」

「じゃあね、坊や。今度会ったときはたっぷりかわいがってあげるわ。覚悟なさい。」


 二人はその場から急に消えた。転移魔法を使ったようだ。アイツらがいなくなった途端、肩の荷が下りたような気がした。


「奴等め、帰りおったか!」

「ああ。……でも、いいじゃないか。みんな疲れてるし、俺もさすがに疲れたぜ。」

「フン!そういう問題ではないわい!」


 サヨちゃんたら、無理しちゃって。俺よりも大分疲れてるだろ?いつもほどの元気が感じられない。


「あーっ!ゆーしゃだ、ゆーしゃ!ゆーしゃを発見!」


 何か場違いなテンションの声が聞こえてきた。声がする方向を見たら、派手な服を着た女の子がいた。誰?でも……どこかで見たような気が……。


「もーっ!そんな無防備に飛び出しちゃいけないでヤンスよ!」


 今度は聞き覚えのある変な声がした。コイツは……、


「ありゃりゃ?こりゃりゃ?皆さん、こんなところで何してるでヤンスか?」


 タニシだった。なんでこんなところに、とはこっちのセリフだ!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―

物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師 そんな彼が出会った一人の女性 日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。 小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。 表紙画像はAIで作成した主人公です。 キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。 更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...