【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第166話 英雄の帰還

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「何者だ!全く、次から次へと!この場所を何だと思っているのだ!」

「これは、これは、金剛石の王よ、失礼した。私は新たなる英雄王、ヴァル・ムングと申す者だ。」


 ヴァル・ムング!生きていた?そんなはずは……、俺の八刃を食らって再生不能になったはず。


「英雄王だと?笑わせるな!人間風情が生意気抜かすな!」

「人間?私は人間を超越した。それどころか過去の遺物たる貴公さえもだ。」

「遺物だとぉ!」

「先程、私の部下からも話があったはずだが?私は血の呪法を使って更なる力を手に入れた。これは普通の者には使いこなせぬよ。私だからこそ超越者となれたのだ。」


 更なる力?確かに言われてみれば、以前と気配が違う。前も圧倒的な威圧感があったが、さらに強圧になっている気がする。


「超越者だと?私を差し置いて、その様な事を抜かすのか!」

「疑うのであれば、実際に試してみるのがよろしかろう。」


 ヴァルはダイヤ野郎を挑発した。わかりやすい挑発にダイヤ野郎もストレートに乗った。ヴァルを叩き潰そうと、近くにあった魔女の氷塊を持ち上げ、ヴァルの頭上から叩きつけた。普通、こんな攻撃を食らったらひとたまりもない。普通なら……。


「パゴア、パゴア!馬鹿め!あっさりと潰れおったわ!大口を叩いた報いだ。」


 ダイヤ野郎は勝ち誇ったようにバカ笑いを始めた。ホントに倒したと思ってるのか?アイツの威圧感は全く消えていないのに。側にいる魔女は余裕の表情を浮かべ、クスクス笑っている。自分の主の強さを誇っているようだ。


(ドボォァッ!)


 氷塊からいきなり熱光線が発せられ、そのままダイヤ竜の頭部を貫いた。これは……ドラゴン・ブレスか!


「どうですかな、金剛石の王よ?これは挨拶代わりだ。お気に召しましたかな?」

(ドザァァァァァッ!!)


 氷塊が一瞬にして溶け、周囲に雨のように降り注いだ。その中から、アイツが姿を現した。しかも姿が変わっている!さっきは武装してなかったのに、全身鎧に身を固めている。


「これがドラゴン・スケイル・アーマーだ。まあこれがなくとも、防ぐことは出来たがな。ある意味、新たな能力のお披露目といったところだ。」


 そう言って俺の方を見た。自信に満ちた目だ。ダイヤ野郎にではなく、俺に見せつける意図があったのだろう。相変わらずめざといヤツだ!


「アストラル・アーマーか!所詮そんなものは我が魔光結晶に勝てはしないのだ!」


 頭が吹き飛んで潰れた個体を押しのけ、別の個体がしゃしゃり出てきた。


「違うな。似ているようで別物だ。魔力ではない、竜闘気を実体化させ身に纏った物だ。強度は比ではない。」

「抜かせ!そんな物が何になる!魔力こそが至高なのだ!」

「強度は遙かに上だ。その証拠をお見せしよう。」


 ヤツは手をかざし、構えを取った。するとすぐに手元へ突然剣が現れた。アレは竜殺剣グラム?あれは折れたはずだし、若干見た目が変わっているような気がする。


「これが新たな我が剣、“ヴァルムング・ソード”だ。」


 言うなりダイヤ竜に斬りかかり、頭からバッサリと真っ二つに切り裂いた。


「言っておくが、何も技は使っていない。無造作に斬っただけでこの威力だ。」

「馬鹿な!?」


 やっぱり強くなっている。普通に斬れるんなら魔光結晶よりも強いのは明らかだった。


「この通り、貴公の時代はとっくに終わっているのだよ。それでも醜態をを晒し続けるつもりかな?」

「おのれ!」


 一斉にダイヤ竜がヴァル・ムングに襲いかかった。サヨちゃんを羽交い締めにしていたヤツらまで襲いかかっていた。そうしなければ、アイツ自信に勝ち目がないからだ。次から次へとヴァルに倒されていく。倒されてはいるが、奥から新しい個体が湧いてきていた。


「勇者よ。」


 戦闘を片手間にヴァルが俺に話しかけてきた。何を言うつもりだ。


「見ての通り、私では金剛石の王に止めを刺してやることは出来ん。お前の技が必要だ。私さえも地獄の縁へと追いやったあの技がな。」


 あの技……八刃か。宿敵にまで言われてしまうとは。ダイヤ野郎の息の根を止めるには結局、八刃を使わないといけないのか。
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