【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第152話 知らない、知らない。

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「ほれ!しっかりせぬか!」

「んにゃ!?」


 目を覚ますと、そこには見慣れた顔があった。なんで、こんなとこにいるんだ?


「そうか。俺は死んでしまったか。」

(バチィィィン!!)

「まそっぷ!?」


 殴られた。なんで?


「妾まで勝手に殺すな!このたわけが!」


 現実だったのか。死んであの世に来たからではなく、夢でもなく、ガチの本当だったようだ。でも何でサヨちゃんがここにいるの?


「勇者様!無事で良かったです。」

「え?あ、エルちゃん?君の方こそ、大丈夫だったのかい?」

「ええ。お陰様で。あの方に助けて頂きました。」


 エルちゃんが促した方向には、ダンジョン攻略メンバーのみんながいた。その中に見慣れない狐面の謎の男がいた。誰、この人?また何かおかしな新キャラが出てきたぞ。しかも、また仮面キャラか。


「誰?何者?あの人?何仮面?」

「えっ!?ご存じじゃないんですか?」

「知らない、知らない。」


 いやいや、知らないってば。俺の知り合いには仮面の人はいない。侍ブドー仮面を除けばの話だが。アイツにしたって、今日会ったばかりだ。


「ハハハ!エレオノーラ、彼が私の事を知らないのは当然だ。私は彼のことを良く知っているが、一度も顔を合わせたことはない。」


 俺をよく知っている?何者だよ?新手のストーカーみたいなものか?なんか気味悪いな。


「何を隠そう、そやつはお主を抹殺しに来たのじゃ!」

「えええ!?」

「ちょっと、サヨさん!」


 こ、殺しに来ただと?じゃあ、俺は結局、死ぬのか?


「ハハハ!安心し給え。君のことは殺すつもりはない。私は槍覇のヘイフゥ、宗家から君の抹殺を命じられていた者だ。」

「槍覇!?」


 初めて見た。梁山泊五覇なんて、滅多に人前には姿を見せないから、俺なんかが会える存在じゃない。見たことがあるのは、宗家で拳覇のジン・パイロンだけだ。


「私は君の師父とは友人なのだよ。それ故、君のことは良く知っている。」

「師父と槍覇が友人同士だったなんて。初めて知った。」


 師父の交友関係は近所の街の住人ぐらいしか知らなかった。他の師範とはほとんど交流してなかったみたいだし。


「それはそうと、なんでみんながここにいるんだ?ここは隔離された空間って侍が言ってたけど?」

「ダンジョンの地下11Fに転送門があったのじゃ。ここへと繋がっておった。地下11F自体巧妙に隠されてはおったがのう。」

「11Fまであったんか!」


 隠し階の隠し転送門で隠しダンジョンに来たワケか。何でもかんでも隠し隠しされているのはホントに意地が悪い。


「そなたにダンジョンの説明をした“侍”とは何者じゃ。どこにおる?」

「ああ、アイツはこのダンジョンから100年間出られず、囚われてたって言ってた。どこまでが本当かはわからないけど。」

「どういうことじゃ?」

「アイツは途中までは味方のふりをしてた。一人では転送門が作動しないとかなんとか言って。でも、最後には俺たちを倒して……先に進むとか言ってたな。ここにいないってことは、もう行っちまったんじゃないか?」


 見てないから、どうなったかはわからない。気を失っていたから、わかりようがない。


「まだ先があるということじゃな。この向こうに。」

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