140 / 401
第3章 迷宮道中膝栗毛!!
第140話 お侍様の戦い方じゃない!
しおりを挟む
「あのさあ、あのトゲ野郎の名前ってなんだったんだろうね?」
「んなこと、俺が知ってるわけねえだろ!」
名前も知らないうちに侍が倒してしまったんだからしかたないか。見た目正拳突きな、必殺カミナリ拳で瞬殺だったし。もうあんなん、俺の知ってるお侍さんの戦い方じゃねえよ!
「あの部屋に一番乗りした拙者だけには名乗っていたぞ。」
何?一番乗りしたのはお前だったんかい!特典が名前を教えてもらえる権利だったのか?……んなことはないと思うけど。
「スティング・キラーと名乗っておった。」
今気付いたが、いつの間にか侍は例の砂の鎧の姿に戻っている。もう別にそれはなくても充分強いのでは?
「見た目まんまじゃねえか。」
「べつにトゲ野郎でもあんまり変わりなくない?」
聞く意味まったくなかった。名付けのセンス皆無だ。ダンジョン主のセンスを疑うしかない。この先のダンジョンもきっと拍子抜けするような物が待ち受けてるに違いない。
「もうあんなやつのことは忘れて、次のダンジョンの攻略に入ろうか。」
次のダンジョンにはもう到着していた。今回もやはり、雰囲気がちがう。なんか床も壁も木材が使われているみたいだった。木造建築のダンジョン?大工さんの手による手作り感が漂っている。……知らんけど。
「なんか、ここって狭くない?」
木造っぽいだけじゃない。心なしか、今までより通路が狭いような気がする。天井も低い。ここで戦うのは不便な気がする。それは相手からしても同じかもしれないが。
「この構造も策の内であろう。先程の迷宮よりはよく考えられていると言うべきか。」
侍が意味深なことを言う。罠とはわかりにくい罠が仕掛けられている?高度な罠だ。
「どちらにしろ、進むしかないぜ。」
ファルちゃんが前を突き進む。アイツがそのまま進むということは魔法的な罠はないって事だろう。
しばらく進むと、不自然に穴の空いた壁がある場所に辿り着いた。穴の形は三角だったり、まる型だったりで等間隔に付いている。いかにも何か出てきそうな穴だ。しかも左右どちらにもある。
「おおっと!罠のお出ましのようだぜ。」
「これは狭間(さま)であるな。我が故郷の城郭ではよく見られる物だ。」
内装といい、どこか異国感があると思ったら、極東の国の城みたいなつくりになっているのか?といことはここの主は侍とか忍者かもしれない。
「この穴より槍が突き出てくるのは必至。お二方も気を付けられよ。」
気を付けろと言われても、どうやって突破するんだ?避けながら進むのは難しいし、穴の向こうにいるヤツらを倒すのは非常に面倒くさい。分厚い壁が盾の役割をするのでやっかいだ。
「うーむ。どうするかな。」
「フン、これだから脳筋は困るんだ。何でもかんでも力押しが通用すると思うなよ。ちったあ、頭を使いな!」
「俺の脳は筋肉じゃないぞ。」
「ああ、お前はな。お前はそもそも脳などない。」
「こらああ!」
バカにすんなよ!考えるよりも先に手が出るだけだぞ。
「普通、複数の人間が待ち構えている場合、睡眠の魔法や混乱の魔術を使った方が得策な場合が多い。」
ファルちゃんは魔法を何種類か立ち上げる仕草をしてはやめるという動作をした。それぞれがコイツの言う、睡眠とか混乱の魔法なんだろう。使うつもりがないくせに、いちいちひけらかす。ホントにキザったらしい。
「探知魔法を使ったところ、穴の裏には魔法生物が待ち構えているようだ。ヤツらには睡眠や混乱は効かん。じゃあ、どうするか?」
疑問を投げかけ、自分は魔法の準備を始め、構えを取った。どんな魔法を使うつもりだ?
「追尾魔法で攻撃する!」
ファルちゃんの周りに青白い塊が次々と現れた。これ全部、一度に撃てんの?自分が敵の立場だったら、逃げ切れる自信はない。
「エナジー・チェイサー!」
青白い塊は一気に壁の穴目掛けて飛んでいった。全部、壁に当たらずに入っていった。どんだけコントロールがいいんだよ!
(パキィン…ペキィン…バキャッ!)
穴からいくつも破壊音が聞こえてきた。見えないけど、ほぼ全弾命中なのか?こんなのを喰らったらひとたまりもない。ぼろぞうきんと化すだろう。
「お見事。動力源のみを破壊し、自身の魔力の消耗を抑えるとはあっぱれだ。」
言われてみれば、音が結構地味だったのはそういうことか。急所だけを狙った最小限の威力だから、あんな数を出せたのか。
「じゃあ、これで安心して進めるな!」
俺は大手を振って一歩前へと踏み出した。
「どうやら、すんなりとは前へと進ませてくれないみたいだぜ。」
俺はその言葉と同時に殺気を感じて、横へと体を反らせた。すぐ横を何かが通り過ぎていった。地面を見ると星形の物体が地面に刺さっていた。
「今まで我らに気配を悟られずに隠れておったとは。曲者め、姿を現せい!」
そう、いきなり殺気が感じられた。気配が全くなかったのに!殺気がする方向を見てみるとそこは何もない天井だった。
「ふふふ。我が名は按針!気配を消すことなど、我ら忍びにとっては朝飯前よ!」
「え?なんだって?安全?」
天井にいきなり人が現れた。天井に張り付いている。さっき何かを投げたのはコイツのようだ。幻術の魔法でも使ってたのか?ただの天井にしか見えなかった。
「俺の探知魔法をすり抜けるとは、やってくれるじゃねえか!俺がそのカラクリを暴いてやる!」
「んなこと、俺が知ってるわけねえだろ!」
名前も知らないうちに侍が倒してしまったんだからしかたないか。見た目正拳突きな、必殺カミナリ拳で瞬殺だったし。もうあんなん、俺の知ってるお侍さんの戦い方じゃねえよ!
「あの部屋に一番乗りした拙者だけには名乗っていたぞ。」
何?一番乗りしたのはお前だったんかい!特典が名前を教えてもらえる権利だったのか?……んなことはないと思うけど。
「スティング・キラーと名乗っておった。」
今気付いたが、いつの間にか侍は例の砂の鎧の姿に戻っている。もう別にそれはなくても充分強いのでは?
「見た目まんまじゃねえか。」
「べつにトゲ野郎でもあんまり変わりなくない?」
聞く意味まったくなかった。名付けのセンス皆無だ。ダンジョン主のセンスを疑うしかない。この先のダンジョンもきっと拍子抜けするような物が待ち受けてるに違いない。
「もうあんなやつのことは忘れて、次のダンジョンの攻略に入ろうか。」
次のダンジョンにはもう到着していた。今回もやはり、雰囲気がちがう。なんか床も壁も木材が使われているみたいだった。木造建築のダンジョン?大工さんの手による手作り感が漂っている。……知らんけど。
「なんか、ここって狭くない?」
木造っぽいだけじゃない。心なしか、今までより通路が狭いような気がする。天井も低い。ここで戦うのは不便な気がする。それは相手からしても同じかもしれないが。
「この構造も策の内であろう。先程の迷宮よりはよく考えられていると言うべきか。」
侍が意味深なことを言う。罠とはわかりにくい罠が仕掛けられている?高度な罠だ。
「どちらにしろ、進むしかないぜ。」
ファルちゃんが前を突き進む。アイツがそのまま進むということは魔法的な罠はないって事だろう。
しばらく進むと、不自然に穴の空いた壁がある場所に辿り着いた。穴の形は三角だったり、まる型だったりで等間隔に付いている。いかにも何か出てきそうな穴だ。しかも左右どちらにもある。
「おおっと!罠のお出ましのようだぜ。」
「これは狭間(さま)であるな。我が故郷の城郭ではよく見られる物だ。」
内装といい、どこか異国感があると思ったら、極東の国の城みたいなつくりになっているのか?といことはここの主は侍とか忍者かもしれない。
「この穴より槍が突き出てくるのは必至。お二方も気を付けられよ。」
気を付けろと言われても、どうやって突破するんだ?避けながら進むのは難しいし、穴の向こうにいるヤツらを倒すのは非常に面倒くさい。分厚い壁が盾の役割をするのでやっかいだ。
「うーむ。どうするかな。」
「フン、これだから脳筋は困るんだ。何でもかんでも力押しが通用すると思うなよ。ちったあ、頭を使いな!」
「俺の脳は筋肉じゃないぞ。」
「ああ、お前はな。お前はそもそも脳などない。」
「こらああ!」
バカにすんなよ!考えるよりも先に手が出るだけだぞ。
「普通、複数の人間が待ち構えている場合、睡眠の魔法や混乱の魔術を使った方が得策な場合が多い。」
ファルちゃんは魔法を何種類か立ち上げる仕草をしてはやめるという動作をした。それぞれがコイツの言う、睡眠とか混乱の魔法なんだろう。使うつもりがないくせに、いちいちひけらかす。ホントにキザったらしい。
「探知魔法を使ったところ、穴の裏には魔法生物が待ち構えているようだ。ヤツらには睡眠や混乱は効かん。じゃあ、どうするか?」
疑問を投げかけ、自分は魔法の準備を始め、構えを取った。どんな魔法を使うつもりだ?
「追尾魔法で攻撃する!」
ファルちゃんの周りに青白い塊が次々と現れた。これ全部、一度に撃てんの?自分が敵の立場だったら、逃げ切れる自信はない。
「エナジー・チェイサー!」
青白い塊は一気に壁の穴目掛けて飛んでいった。全部、壁に当たらずに入っていった。どんだけコントロールがいいんだよ!
(パキィン…ペキィン…バキャッ!)
穴からいくつも破壊音が聞こえてきた。見えないけど、ほぼ全弾命中なのか?こんなのを喰らったらひとたまりもない。ぼろぞうきんと化すだろう。
「お見事。動力源のみを破壊し、自身の魔力の消耗を抑えるとはあっぱれだ。」
言われてみれば、音が結構地味だったのはそういうことか。急所だけを狙った最小限の威力だから、あんな数を出せたのか。
「じゃあ、これで安心して進めるな!」
俺は大手を振って一歩前へと踏み出した。
「どうやら、すんなりとは前へと進ませてくれないみたいだぜ。」
俺はその言葉と同時に殺気を感じて、横へと体を反らせた。すぐ横を何かが通り過ぎていった。地面を見ると星形の物体が地面に刺さっていた。
「今まで我らに気配を悟られずに隠れておったとは。曲者め、姿を現せい!」
そう、いきなり殺気が感じられた。気配が全くなかったのに!殺気がする方向を見てみるとそこは何もない天井だった。
「ふふふ。我が名は按針!気配を消すことなど、我ら忍びにとっては朝飯前よ!」
「え?なんだって?安全?」
天井にいきなり人が現れた。天井に張り付いている。さっき何かを投げたのはコイツのようだ。幻術の魔法でも使ってたのか?ただの天井にしか見えなかった。
「俺の探知魔法をすり抜けるとは、やってくれるじゃねえか!俺がそのカラクリを暴いてやる!」
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―
物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師
そんな彼が出会った一人の女性
日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。
表紙画像はAIで作成した主人公です。
キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。
更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる