【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
上 下
122 / 401
第3章 迷宮道中膝栗毛!!

第122話 捜索の手掛かり

しおりを挟む
 賊は拘束した上で町の衛兵に引き渡した。大人数だったので、非常に骨の折れる仕事だった。無駄に時間を消費させられた。


「うーむ。これは困ったことになった。」


 賊を締め上げたところで、わかるはずもなかった。追い詰められ、破れかぶれの行動を取ったに過ぎないのだ。罠の転送先まではわからない。


「エル坊たちは下層階にまで飛ばされてしまったようじゃ。」


 地形探知、仲間捜索の魔術を駆使して、ようやく転送先の位置特定に成功した。例え、妾であってもこれには時間が掛かった。


「えらいこっちゃ。封印指定エリアにほりこまれたんかいな。」

「まずいね。あの子たちだけでどれぐらい持ちこたえられるのか……。」


 今回の調査で元々封印指定エリア、地下5F以降には万全の体制、人員で挑むつもりでいた。魔王がいなくなったとはいえ、危険な魔物、罠が多数存在している。魔王討伐後は長らく封印されているのだ。


「エル坊たちは所在を掴めたが……、」

「あの二人でっか?」

「あやつらの所在が掴めんのじゃ。」


 全くといってもよかった。こんなことは初めてだった。同じダンジョン内に飛ばされたのであれば探知に引っかかるはずなのだ。何度、探知の魔術を使っても、反応がないのだ。


「まさか!石の中にでも転送されてしまったんじゃ……。」

「それはない。もし仮にそうだとしても、死んでいたとしても、探知することは出来るはずなのじゃ。」

「なんか謎かけみたいになってきおったな。」


 不可解だが、ある可能性を考える必要が出てきた。


「普通はあり得ぬことじゃが、別のダンジョンに飛ばされた可能性を考えた方がいいかもしれん。」

「例の行方不明事件も考慮に入れたら、そうかもしれまへんな。」


 ダンジョンでの行方不明事件も転送罠が大きく関わっているとも言われている。事件が起こり始めた時期と転送罠が増加し始めた時期はほぼ一緒だったようだ。


「罠を設置した者の狙いはよくわからんが、冒険者を拉致する目的があるのかもしれん。」

「転送罠ということ自体が盲点だったのかもしれん。あの罠をよく調べる必要があるかもしれん。」

「できるんでっか?そんなことが?」

「魔術が使われているのであれば、解析することは出来る。もしかしたら、転送先の指定がされているかもしれんからのう。」


 何者が作ったかまでは特定できない可能性はあるが、作られた時期、魔術の方式からある程度の人物像を推定できるだろう。少ない手がかりからでもなんとか情報を引き出さなければならない。


「そうと決まれば、早速ダンジョンに引き返すぞ!まずはエル坊たちの救出からじゃ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。 折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。 ・・と、思っていたんだけど。 そう上手くはいかないもんだね。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

処理中です...