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第2章 黒騎士と魔王
第84話 次なる目的地へ!……忘れ物には注意!!
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「おっと!そういえば、ライセンスの詳細を見てなかったな!」
宿に戻って、支度が終わりかけた、そのとき、俺は思い出した。ライセンスのことを。
「えっと、なになに?ただし戦闘行為に限る?その他行為を伴う場合は他の有資格者に同行すること?」
余計な一文が書かれていることに気付いてしまった。やっぱ、無条件に認められないってことか。ちゃっかりしてるなあ、冒険者ギルド。
「スキルにしても戦闘系ばっかりだな。あと、雑用系がちょっと、か。何?特記事項?……スタミナ・ムゲンダイ?」
もちろん表記上はスタミナ・∞。今日初めて知った記号だ。確かに体力テストみたいなのもあった気がするが……、
「ほう!それは相当レアな特記事項じゃぞ!その記載付きのライセンス持ちは、妾でもそなた以外にあと一人しか知らんぞ。」
体力か?自分からすれば、普通ぐらいしかないと思うぞ。
「そなた、自覚がないようじゃな?ファルもエドも口をそろえて言っておったわ。そなたに疲労という概念はないのか、とな!」
自分からすれば大したことはないのに。とはいえ、竜帝狩りの途中でファルとジュリアから疲れていないことを指摘されたような気がする。雑用で野山を駆けまわっていたから、慣れてただけと思っていた。
「前にも言うたじゃろ。例え些細なことでも、それは“血となり骨となっている”のじゃ。それが結果として表れたのじゃ。」
「血と骨」ねえ。随分こだわるなあ、サヨちゃんは。誰かの名言なんだろうか?他に聞いたことがない。
「我が父、竜帝の言葉じゃ。いずれ、機会があれば、話してやろう。そんなことより、そろそろ出発するぞい。」
俺たちは荷物を手に取り立ち上がった。すると、エルちゃんだけがまだ座っていた。
「あれ、どうしたの?エルちゃん?」
「……私、付いていってもいいんでしょうか?」
「何言ってるの!別にいいも悪いもないよ。」
「私の存在が二人に……迷惑をかけてしまいそうな気がして……。」
俺は思わずサヨちゃんと顔を見合わせた。だが、サヨちゃんは「お前が何か言ってやれ!」と言わんばかりの仕草をした。
「エルちゃん!俺たちに付いてくる以外に行く場所はないんだろ?俺だって似たようなモンだよ!俺は破門されて、逃げるようにこの国にやってきたんだ。前にも言ったと思うけど。」
俺たちは立場は違うけど、境遇は似ている。俺は思ったままの気持ちを彼女に伝えたかった。
「そしたらさ、どうなったと思う?いきなり勇者になれって言われたんだぜ?おまけに千年に一人の英雄を倒しちゃったり、魔王を倒しちゃったりしたんだぜ?最後のはエルちゃん自身がよく知ってるだろ?」
「勇者様……。」
「こんな俺だけど、一緒に来てくれないかな?一緒にいてくれた方が絶対楽しいと思うし。おいしい物でも食べに行こうよ。サヨちゃんもたぶんそう思ってるよ!」
サヨちゃんの顔をチラッと見てみた。なんかジト目で見ている。そして、小声でたわけ、と言った。俺、何か間違ったこと言った?
「わかりました。私も行きます。付いて行ってみて、それからどうするか考えます!」
良かった。なんとか少しは前向きになってくれたみたいだ。
「じゃあ、行こう!ダンジョンがある町へ!」
「おお、忘れておった!」
そこで水を差すかのようにサヨちゃんが何か言い始めた。忘れてたって何を?
「まずは、パーシィモンを採取しに行くぞ!」
「えええ!なんで?」
「このたわけ!アレは極上の霊薬に匹敵すると言ったであろうが!それに、妾の霊薬のストックが減った分を補填するのにちょうどいいのじゃ!」
「あんなとこ、もう行きたくないんだけど……。」
「ええい!だまれ!行くと言ったら行くのじゃ!生柿もいでくれようぞ!パーシィモンはあっちじゃあ!!」
レア食材採取ツアーをしなければならなくなった。なんか気が進まないけど、まあ、いいや。息抜きになれば、それでいいや。
宿に戻って、支度が終わりかけた、そのとき、俺は思い出した。ライセンスのことを。
「えっと、なになに?ただし戦闘行為に限る?その他行為を伴う場合は他の有資格者に同行すること?」
余計な一文が書かれていることに気付いてしまった。やっぱ、無条件に認められないってことか。ちゃっかりしてるなあ、冒険者ギルド。
「スキルにしても戦闘系ばっかりだな。あと、雑用系がちょっと、か。何?特記事項?……スタミナ・ムゲンダイ?」
もちろん表記上はスタミナ・∞。今日初めて知った記号だ。確かに体力テストみたいなのもあった気がするが……、
「ほう!それは相当レアな特記事項じゃぞ!その記載付きのライセンス持ちは、妾でもそなた以外にあと一人しか知らんぞ。」
体力か?自分からすれば、普通ぐらいしかないと思うぞ。
「そなた、自覚がないようじゃな?ファルもエドも口をそろえて言っておったわ。そなたに疲労という概念はないのか、とな!」
自分からすれば大したことはないのに。とはいえ、竜帝狩りの途中でファルとジュリアから疲れていないことを指摘されたような気がする。雑用で野山を駆けまわっていたから、慣れてただけと思っていた。
「前にも言うたじゃろ。例え些細なことでも、それは“血となり骨となっている”のじゃ。それが結果として表れたのじゃ。」
「血と骨」ねえ。随分こだわるなあ、サヨちゃんは。誰かの名言なんだろうか?他に聞いたことがない。
「我が父、竜帝の言葉じゃ。いずれ、機会があれば、話してやろう。そんなことより、そろそろ出発するぞい。」
俺たちは荷物を手に取り立ち上がった。すると、エルちゃんだけがまだ座っていた。
「あれ、どうしたの?エルちゃん?」
「……私、付いていってもいいんでしょうか?」
「何言ってるの!別にいいも悪いもないよ。」
「私の存在が二人に……迷惑をかけてしまいそうな気がして……。」
俺は思わずサヨちゃんと顔を見合わせた。だが、サヨちゃんは「お前が何か言ってやれ!」と言わんばかりの仕草をした。
「エルちゃん!俺たちに付いてくる以外に行く場所はないんだろ?俺だって似たようなモンだよ!俺は破門されて、逃げるようにこの国にやってきたんだ。前にも言ったと思うけど。」
俺たちは立場は違うけど、境遇は似ている。俺は思ったままの気持ちを彼女に伝えたかった。
「そしたらさ、どうなったと思う?いきなり勇者になれって言われたんだぜ?おまけに千年に一人の英雄を倒しちゃったり、魔王を倒しちゃったりしたんだぜ?最後のはエルちゃん自身がよく知ってるだろ?」
「勇者様……。」
「こんな俺だけど、一緒に来てくれないかな?一緒にいてくれた方が絶対楽しいと思うし。おいしい物でも食べに行こうよ。サヨちゃんもたぶんそう思ってるよ!」
サヨちゃんの顔をチラッと見てみた。なんかジト目で見ている。そして、小声でたわけ、と言った。俺、何か間違ったこと言った?
「わかりました。私も行きます。付いて行ってみて、それからどうするか考えます!」
良かった。なんとか少しは前向きになってくれたみたいだ。
「じゃあ、行こう!ダンジョンがある町へ!」
「おお、忘れておった!」
そこで水を差すかのようにサヨちゃんが何か言い始めた。忘れてたって何を?
「まずは、パーシィモンを採取しに行くぞ!」
「えええ!なんで?」
「このたわけ!アレは極上の霊薬に匹敵すると言ったであろうが!それに、妾の霊薬のストックが減った分を補填するのにちょうどいいのじゃ!」
「あんなとこ、もう行きたくないんだけど……。」
「ええい!だまれ!行くと言ったら行くのじゃ!生柿もいでくれようぞ!パーシィモンはあっちじゃあ!!」
レア食材採取ツアーをしなければならなくなった。なんか気が進まないけど、まあ、いいや。息抜きになれば、それでいいや。
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