【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
上 下
65 / 401
第2章 黒騎士と魔王

第65話 あの技を使うわけには……。

しおりを挟む
 地面に突き立てた剣を持ち、地面ごと斬り上げる勢いで、エドワードの剣を下から思い切り跳ね上げた。


「グッ……!!!??」


 エドワードの体は自分の頭上を舞っていた。凰留撃の勢いで彼の体を吹き飛ばしていた。そのまま受け身を取れずに落下した。


「グハッ!!」

「イグレス様!!」


 クロエがたまらず悲痛な叫び声を上げている。そうか、それぐらいのことをしてしまったんだよな。こりゃ、恨まれるだろうな。


「閃!!」


 声が聞こえた瞬間、こちらに殺気が飛んでくるのを感じ、反射的に体を反らせた。光弾がそのまま後ろの方へ飛んでいく。彼女に攻撃されたようだ。


「くっ!躱された!……次は外しません!」


 続けて光弾を放とうとしている。次は彼女を相手にしなきゃいけないのか!


「マジック・シールド!」


 彼女の手前に青白い光を放つ壁が現れ、放った光弾をかき消した。


「何故、貴方が邪魔をするんですか?」

「いや、すまぬ。思わず体が動いてしまった。ロアの奴を支持せんとは表明したものの、どうにもあやつを放ってはおけなくてのう。」

「サヨちゃん!」

「こうなった以上、妾も加勢する。安心するがよい。」


 口では賛成できないとは言っていたが、結局、なんだかんだで手を貸してくれるんだな。


「フフフ、賢者殿もさすがに痺れを切らしたということか。」


 エドワードはいつの間にか立ち上がり、平然とした様子で、サヨちゃん参戦を冷静に認めている。こうなることはあらかじめ想定していたかのようだ。


「それよりも、勇者殿。まだ、貴公は本気を出していないのではないかな?死霊騎士を倒したときの、あの技はどうした?使わずとも私を倒せるとでもお思いか?」


 見てたのか?あの時。交戦中で手一杯だったと見せかけて、しっかり見ていたのか。しかし、使えば圧勝出来るだろうけど、取り返しがつかないことになる。エドワードは死なせたくない。あの技は絶対倒さないといけないヤツにしか使いたくないんだ。それこそ、不死身の化け物が相手でもない限りは。


「それはお互い様じゃないの?アンタも俺を殺す気がないんじゃ?なんか、俺とは違う理由で。」 

 
 直感だが、俺みたいに迷っているとかではない。なにか、こう、楽しんでいるというか。いかに俺を本気を出させるかを試しているような気がする。


「日々、デーモンばかりと戦っているとおかしくなってくるものさ。心なき化け物共との戦いは作業と大して変わらない。」


 エドワードが胸中を語っている。出会ってから常に冷静沈着な態度をほぼ崩さないでいる。そうでなかったのは、デーモンに対しての憎しみを表に出しているときと……今の、この瞬間だ。


「人と戦うのは随分と久しいものだ。何か忘れていたものを思い出したかのようだ。心が躍るのだ!これほど充実した戦いを私はずっと待っていたのだ!」


 こういう人は大体、強い。戦いを生きがいとしている人たちには昔からよく接してきた。梁山泊には山ほどいた。こういうのは国や人種、文化が違っても関係ないんだろうな。


「では、第二ラウンド開始と行こうか!」


 今度こそ、どちらかが死ぬまで終わらない戦いが始まるのか。こうなると、あの技を使わざるを得なくなるのか?


「きゃああああ!?」


 戦いに身構えしようとしたとき、背後から突如悲鳴が聞こえた。まさか、エルちゃんが……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。 折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。 ・・と、思っていたんだけど。 そう上手くはいかないもんだね。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...