【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第2章 黒騎士と魔王

第61話 見取り図を囲みながら。クセすご……くない。

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「ふむ、隠し通路か。悪くない。」


 一旦、町へと退却した、妾たち一行は一晩の休息の後、対策会議を行っていた。ロアの奴と……デーモン・コアの持ち主たる、あの娘の捜索を行わねばならなかった。一刻も早く、あの屍霊術師よりも先に二人の身柄を確保せねばならない。


「この資料の通り、あの砦には脱出用の隠し通路が存在する。この通路を使えば、崖下のエリアにアクセスすることが容易になる。」


 捜索をするに当たり、奴ら二人が落下した地点に到達するには、地形的に困難であり、かなりの時間を要する。そこで、砦の古い資料を探し出し、隠し通路の存在を確認したのだ。


「ふむ、やはり、この道を使うのが現実的じゃろうな。……聞くまでもないとは思うが、この案に異論がある者はおらぬな?」


 相づちを打ったり、立ち上がり準備運動の素振りを見せたりするなど、各々、個性的な反応を示している。だが、そのいずれもが肯定を示しているのは明白だった。このことについては問題なかろう。問題は……、


「エドワードよ、そなたに確かめておきたい事がある。」

「確かめたい事とは?」

「そなたはあの娘の処遇については、どう考えておるのじゃ?」

「処遇ですかな?」


 この男の鉄仮面の上からでは何の感情も読み取れない。


「そんな事を私に聞くのですか?愚問にも程がありますぞ、賢者殿?」

「愚問であったか?それは済まなかった。だが、それでもそなたの考えを確認しておきたかった。」

「例えどんな相手であろうと、デーモンであれば処遇は変わりませんよ。」


 その時、鉄仮面の上からでも激しい憎悪の高ぶりが感じられた。


「悪・即・斬、私の意志は決して揺らぐ事はない。……もし、あるとすれば、この世からデーモンが消え失せた時でしょうな。その時まで、決して手を止めない、手を汚すことに躊躇う事などありませんよ。」

「そうか。……これは可能性の話じゃが、ロアの奴があの娘をかばう様なことをすれば、どうするつもりじゃ?」

「無論、その時は例え勇者であろうと私は斬り捨てる。例え、貴殿に非難されようと私の意志は変わらない。」


 一言一句、躊躇いが感じられない。この男は本気で言っている。


「私はデーモンにとってのデーモンであることをモットーとして活動している。例え冥府魔道に墜ちようと、我が道を突き進むのみだ。」

「どのような事があろうと、意志は変わらぬのじゃな。」


 一体何が、この男をここまで突き動かすのだろうか?だが、そんなことを詮索するのは藪蛇だろう。決して、触れてはならないものであることは感じ取れた。
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