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第2章 黒騎士と魔王
第46話 ~速報~勇者の冒険者認定試験結果が判明!
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「なんじゃと!不合格?」
ギルドを出た後、俺は宿泊先の宿へと戻った。そして、サヨちゃんに結果を報告した。
「そうだよ。不合格だよ!またの挑戦をお待ちしてます、だとよ!」
「……ふごう、かく……?」
結果を告げられたサヨちゃんは、ふるふると体を小刻みに震わせていた。怒り心頭か?まあ、そりゃ、そうだろうな。天下の勇者様が冒険者ライセンス取れなかったんだからな。そうなるのも仕方がない。
「……プフッ……」
プフ?何だ、そのリアクションは!
「ギャハハハハハ!不合格!ギャアハハハハ!」
「コラ!何笑ってんだよ!」
なんで笑うんだよ!盛大に笑い転げている。ベッドの上で暴れ、転げ回っている。なんだ、その笑い方は!下品にも程があるぞ!そんなだと、草葉の陰で竜帝様が泣いてしまうぞ。
「これが笑わずにいられるか!勇者がふ・ご・う・か・く、なんじゃからな!」
言い終わると、また笑い出す。どんだけ笑うんだよ。笑いすぎだ。
「内約は筆記がギリギリ不合格で、実技は魔法も含めて軒並みアウト。合格だったのは戦闘技能と、その他の掃除、薪割りなどの雑用スキルだけだった。……料理はご存じの通り不合格だったよ!」
それを聞いて、また一段と笑い始めた。火に油を注いでしまったようだ。
「ほとんど雑用スキルだけじゃと?いっそ、ギルドの雑用係で雇って貰ったらどうじゃ?」
「そんな勇者がどこにいるんだよ!もしそうなったら、邪竜退治からは抜けさせて貰うからな!」
「ならん!それだけはならんぞ!そなたには必ず協力して貰う。」
なんだよ、急に真顔になりやがって。こういうとこだけはやけにちゃっかりしてやがる。
「でも、どうすんだよ?冒険者ライセンスがないとギルドは利用できないんじゃなかったか?」
「大丈夫じゃ!妾に任せておけ。」
「任せるって、どうすんだよ?」
サヨちゃんはそこで、やけに自信ありげな表情を見せた。何があるというのか。
「聞いて驚け!……なんと、妾も冒険者ライセンスを持っておる!」
「な、何だってー!」
突如、懐からライセンスらしき物を取り出した。でも、今日、他のみんなに見せて貰ったのと何か違う。なんか古びている。いったい、いつのだコレ?
「ちなみに聞くけど、それ、いつのヤツ?」
「んー?五〇年ぐらい前じゃったかのう?何、つい最近のことじゃ。」
五〇年前のどこが最近だ!まったく!年寄りはコレだから困るんだよ!ウン十年前でも平気で、「最近」とか抜かしやがる。俺が生まれるよりも前じゃね~か。それがまかり通るんだったら、俺が最近生まれたことになるだろうが。俺は赤ちゃんかよ!
「古すぎだろ!そんなモン持って行ったら、逆に偽造を疑われるわ!」
「そんなはずはない!コレで大丈夫じゃ!」
今思えば、昨日教え込まれた試験対策の知識はもしかすると、五〇年前の知識だったということなのか。筆記試験が不合格だったり、一部の実技で教えられたとおりにやったら不合格になったのは知識が古すぎたからではないのか?知識が全くアップデートされていなかったのでは?
「古い知識を教え込まれたから、不合格になったんじゃね?」
「そ、そんなことはなかろう。たった五〇年ではないか。そんなすぐに常識など変わらんわい。」
まあ、終わってから言っても仕方ない。結果は変わらない。とにかく次、受験できるのは三ヶ月後であることには変わりがないのだ。
「それより、料理の実技試験のときのアレはなんだったんだ?なんで審査員なんかやってたんだよ?」
「なんじゃ?そんなことか?そなたは“味の四天王”を知らぬのか?」
「知るか!」
なんだよ、四天王って。なんでそんな仰々しい肩書きがあるんだよ。ただの食いしん坊じゃなかったのか?
「味の至高帝、味の大皇、真昼の先行者もとい味の仙人、そして、妾が味の女帝じゃ。」
「どっから連れてきたんだよ、そんな連中!」
「どこって?連中とは古くからの知り合いでの。連中が童のころからの付き合いじゃ。ある意味、妾があの三人の師匠とも言えるのう。あやつらとは良く、世界中のうまいモンを求めて野山を駆けずり回ったもんじゃ。」
サヨちゃんは目を閉じ、腕を組み、しみじみと思い出に耽っている。あの、お婆ちゃん?そろそろ戻ってきて?もう、わかったから。
ギルドを出た後、俺は宿泊先の宿へと戻った。そして、サヨちゃんに結果を報告した。
「そうだよ。不合格だよ!またの挑戦をお待ちしてます、だとよ!」
「……ふごう、かく……?」
結果を告げられたサヨちゃんは、ふるふると体を小刻みに震わせていた。怒り心頭か?まあ、そりゃ、そうだろうな。天下の勇者様が冒険者ライセンス取れなかったんだからな。そうなるのも仕方がない。
「……プフッ……」
プフ?何だ、そのリアクションは!
「ギャハハハハハ!不合格!ギャアハハハハ!」
「コラ!何笑ってんだよ!」
なんで笑うんだよ!盛大に笑い転げている。ベッドの上で暴れ、転げ回っている。なんだ、その笑い方は!下品にも程があるぞ!そんなだと、草葉の陰で竜帝様が泣いてしまうぞ。
「これが笑わずにいられるか!勇者がふ・ご・う・か・く、なんじゃからな!」
言い終わると、また笑い出す。どんだけ笑うんだよ。笑いすぎだ。
「内約は筆記がギリギリ不合格で、実技は魔法も含めて軒並みアウト。合格だったのは戦闘技能と、その他の掃除、薪割りなどの雑用スキルだけだった。……料理はご存じの通り不合格だったよ!」
それを聞いて、また一段と笑い始めた。火に油を注いでしまったようだ。
「ほとんど雑用スキルだけじゃと?いっそ、ギルドの雑用係で雇って貰ったらどうじゃ?」
「そんな勇者がどこにいるんだよ!もしそうなったら、邪竜退治からは抜けさせて貰うからな!」
「ならん!それだけはならんぞ!そなたには必ず協力して貰う。」
なんだよ、急に真顔になりやがって。こういうとこだけはやけにちゃっかりしてやがる。
「でも、どうすんだよ?冒険者ライセンスがないとギルドは利用できないんじゃなかったか?」
「大丈夫じゃ!妾に任せておけ。」
「任せるって、どうすんだよ?」
サヨちゃんはそこで、やけに自信ありげな表情を見せた。何があるというのか。
「聞いて驚け!……なんと、妾も冒険者ライセンスを持っておる!」
「な、何だってー!」
突如、懐からライセンスらしき物を取り出した。でも、今日、他のみんなに見せて貰ったのと何か違う。なんか古びている。いったい、いつのだコレ?
「ちなみに聞くけど、それ、いつのヤツ?」
「んー?五〇年ぐらい前じゃったかのう?何、つい最近のことじゃ。」
五〇年前のどこが最近だ!まったく!年寄りはコレだから困るんだよ!ウン十年前でも平気で、「最近」とか抜かしやがる。俺が生まれるよりも前じゃね~か。それがまかり通るんだったら、俺が最近生まれたことになるだろうが。俺は赤ちゃんかよ!
「古すぎだろ!そんなモン持って行ったら、逆に偽造を疑われるわ!」
「そんなはずはない!コレで大丈夫じゃ!」
今思えば、昨日教え込まれた試験対策の知識はもしかすると、五〇年前の知識だったということなのか。筆記試験が不合格だったり、一部の実技で教えられたとおりにやったら不合格になったのは知識が古すぎたからではないのか?知識が全くアップデートされていなかったのでは?
「古い知識を教え込まれたから、不合格になったんじゃね?」
「そ、そんなことはなかろう。たった五〇年ではないか。そんなすぐに常識など変わらんわい。」
まあ、終わってから言っても仕方ない。結果は変わらない。とにかく次、受験できるのは三ヶ月後であることには変わりがないのだ。
「それより、料理の実技試験のときのアレはなんだったんだ?なんで審査員なんかやってたんだよ?」
「なんじゃ?そんなことか?そなたは“味の四天王”を知らぬのか?」
「知るか!」
なんだよ、四天王って。なんでそんな仰々しい肩書きがあるんだよ。ただの食いしん坊じゃなかったのか?
「味の至高帝、味の大皇、真昼の先行者もとい味の仙人、そして、妾が味の女帝じゃ。」
「どっから連れてきたんだよ、そんな連中!」
「どこって?連中とは古くからの知り合いでの。連中が童のころからの付き合いじゃ。ある意味、妾があの三人の師匠とも言えるのう。あやつらとは良く、世界中のうまいモンを求めて野山を駆けずり回ったもんじゃ。」
サヨちゃんは目を閉じ、腕を組み、しみじみと思い出に耽っている。あの、お婆ちゃん?そろそろ戻ってきて?もう、わかったから。
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