【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

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第2章 黒騎士と魔王

第38話 腹が減っては、旅は出来ぬ

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「うむ!これは中々に美味じゃな。」


 旅の途中の野営でサヨに得意料理を振る舞っていた。料理は得意料理の炒飯だった。

 とはいえ、今いる地域では米が入手不能なため、他の麦らしき穀物を代用品として使用している。


「そなた、意外な特技を持っておったのじゃな。この分なら、今後の旅も退屈しなくて済みそうじゃな。」

「喜んでもらえて嬉しいけどよ、こちらとしてはこの地域じゃ、知らねえ食材が多すぎるんだ。まともに作れるかどうかは定かじゃねーから、あんま期待すんなよ。」


 気候も文化も食べ物もあまりに自分の故郷とは違いすぎる。故郷の国でさえ、地方ごとで特色が異なっていたのだ。何もかも未知の状態で挑まなければならないので大変だ。


「どこでこんな特技を身に付けたのじゃ?」


「どこでって、梁山泊でだよ。ご存じの通り、万年下っ端だったことの弊害だぜ、これは。あそこじゃ、雑用なんかは下っ端の仕事だからな。十年近くも下っ端やってりゃ、いやでもこうなるぜ?」


 修行の合間に雑用も熟さなければならなかった。料理だけではない、薪割り、洗濯なども熟した。あまりに過酷だったため、しまいにはどちらが本業なのかと揶揄されたし、自分でもたまにこんがらがることも多かった。


「この腕ならば調理人としてやっていけたのではないのか?」


「いや、こんな程度じゃ、無理だね。俺の故郷じゃ本職の調理人やるには免許が必要なんだよ。この程度の腕じゃ免許すら取れねーよ。」


 あくまで雑用でやっていただけなのだ。それだけで一流になれるのなら、故郷を離れるなんて事にはならない。


「せっかく褒めてやったのに、それを無下にするとはのう。……まあ、よいわ。今後は食事を楽しみにしておこう。」


「あざーす。お褒めにあずかり光栄です。」


 サヨちゃんはまだ何か言いたげだったが、あきらめたようだった。機嫌を損ねてしまったか?とりあえず、褒められたことに対してお礼を言うことにした。


「ところで、目的の町まで後どれだけなんだ?」
 

 最終的な目標は邪竜レギンを討伐することにあるが、当然居場所がわからないので色々と情報を集めることにした。竜の隠れ里の付近は山奥の田舎であったため、情報を集めるには不向きな場所だった。


「そうじゃな、あともう少し、一日もかからんはずじゃ。」


 目的の町、イーストウッドは国境ほど近い交易都市である。国境の関所を出て普通に歩けば、本来ならこの町にたどり着くはずだそうである。しかし、俺は何かの拍子で道を間違え、あの村にたどり着いてしまった。おそらく勇者の導きだろう。とりあえず、そういうことにしておこう。


「やったぜ!久しぶりに宿屋だ。」


 最早、目的のことはどうでもよくなっている。冒険者ギルドとか、クルセイダーズの支所とか面倒くさいのは後回しにしたかった。


「何を浮かれておる。本来の目的を忘れたわけではあるまいな?」


 やっぱり、見透かされていたか。サヨちゃんはさすがにカンが良い。
 しかし、俺を見くびってもらっちゃあ、困る。


「そういうサヨちゃんの方こそ、嬉しそうに見えるんだけど?どういうこと?」


 彼女は表向き、浮かれるロアを叱りつける態度を取っているが、口の端が若干、にやついているのを俺は見逃しはしなかった。


「な!……何を言うか!言いがかりを付けるではないわ!」


 もう、バレバレだった。彼女は両手で顔を覆い隠し、見られないようにしている。ほんと、もうわかりやすかった。よっぽど、楽しみなのだろう。そう言う部分は見た目通りの普通の女の子である。


「まあ、いいや。早く寝て明日に備えるか。」
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