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第1章 英雄と竜帝
第28話 師、曰く。 ~せいおうはちじん~
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「以前、戦技一0八計の真髄について話したことを覚えていますか?」
ある日、ロアは師父から大切な話があるということで、鍛練の真っ最中にも関わらず、急に呼び出された。弟子入りして以来、鍛練の最中に師父から呼び出される様なことは一度もなかった。なので、ロアは妙な感じがした。それほど、緊急的な話なのだろうか?
「……極めたものは全てを制するって話ですよね?時間やら空間まで制するとかなんとかいう。」
「そうです。その通りです。」
あの話からどれぐらいたっただろうか?日々の鍛練を重ねる合間に、時々思い出し、極めるまでの果てしない道のりを想像しては、諦めの感情を抱いたりもした。周りの人間に比べ、習熟が遅く、後から弟子入りしてきた者達にまで追い抜かれていく。いまだに基礎の段階から抜けきれていない気がする。
「師父、いつになったら、俺はそこまで到達できるんでしょうか?」
「焦ってはいけませんよ。あなたは今までどおり、あなたのペースで鍛練を続けなさい。……それより、少し話が脱線してしまいましたが、真髄についての話に戻しますよ。」
ついつい、師父の話を遮り、普段の悩みを打ち明けてしまった。
「実は究極奥義について話しておこうと思ったのです。いずれ、時を見てお教えしようとおもったのですが……、」
そこで師父は言い淀んだ。なにか言えないことでもあるのだろうか。
「今から、お話しすること、お見せすることは他言無用です。絶対、話さないでください。下手をすると、破門にされてしまうかもしれません。」
「ちょっ、なんで?そんな機密事項を俺に?」
戸惑うしかなかった。いきなり、そんな機密事項を言われては、どうすればいいかわからない。心の準備が出来ていない。誰もいないような場所に呼び出されたのはそのためだろうか。
「申し訳ありませんが、急を要するのです。一度しか見せませんよ。しっかりと目に焼き付けておいてください。」
一度しか機会がない。そんなことで覚えきれるのだろうか?無茶な要求にしか思えなかった。そのような不安とは裏腹に、師父はすでに技の構えをとっていた。その構えは虎穴獲虎衝ににていたが若干違う気がした。
「……究極奥義、凄皇八刃!!」
一瞬だった。一瞬のうちに破竹撃をはじめとした基本技と称される技を垣間見たようだった。その一つの技に全てが内包されていると言ってもよかった。
「すげえ……。」
師父の目の前にあった岩に、放射状の八本の線が星形に引かれていた。その線の部分から次第にバラバラに岩は分かれていった。切ったというよりも最初からその模様に切られていたのではないかと思えるほど、切り口は滑らかだった。
「これが、八刃剣です。」
「すごい技じゃないですか!」
ロアは圧倒されるばかりだった。それほど、想像を絶する技だった。
「この技はまだ不完全です。私にはこれが限界なのです。あとは……、」
師父は言いかけてから、ロアの顔をしっかり見て言葉を続けた。
「……あなたが完成させてください。」
なにゆえ、半人前の自分にこのような超人絶技の完成を託そうというのだろうか?その真意はは理解できなかった。
「以前にも言いましたが、あなたには出来ます。いつか必ず。」
――そして、生きている師父の姿を見たのはこのときが最後だった。ある意味、これが遺言となってしまったのである。
ある日、ロアは師父から大切な話があるということで、鍛練の真っ最中にも関わらず、急に呼び出された。弟子入りして以来、鍛練の最中に師父から呼び出される様なことは一度もなかった。なので、ロアは妙な感じがした。それほど、緊急的な話なのだろうか?
「……極めたものは全てを制するって話ですよね?時間やら空間まで制するとかなんとかいう。」
「そうです。その通りです。」
あの話からどれぐらいたっただろうか?日々の鍛練を重ねる合間に、時々思い出し、極めるまでの果てしない道のりを想像しては、諦めの感情を抱いたりもした。周りの人間に比べ、習熟が遅く、後から弟子入りしてきた者達にまで追い抜かれていく。いまだに基礎の段階から抜けきれていない気がする。
「師父、いつになったら、俺はそこまで到達できるんでしょうか?」
「焦ってはいけませんよ。あなたは今までどおり、あなたのペースで鍛練を続けなさい。……それより、少し話が脱線してしまいましたが、真髄についての話に戻しますよ。」
ついつい、師父の話を遮り、普段の悩みを打ち明けてしまった。
「実は究極奥義について話しておこうと思ったのです。いずれ、時を見てお教えしようとおもったのですが……、」
そこで師父は言い淀んだ。なにか言えないことでもあるのだろうか。
「今から、お話しすること、お見せすることは他言無用です。絶対、話さないでください。下手をすると、破門にされてしまうかもしれません。」
「ちょっ、なんで?そんな機密事項を俺に?」
戸惑うしかなかった。いきなり、そんな機密事項を言われては、どうすればいいかわからない。心の準備が出来ていない。誰もいないような場所に呼び出されたのはそのためだろうか。
「申し訳ありませんが、急を要するのです。一度しか見せませんよ。しっかりと目に焼き付けておいてください。」
一度しか機会がない。そんなことで覚えきれるのだろうか?無茶な要求にしか思えなかった。そのような不安とは裏腹に、師父はすでに技の構えをとっていた。その構えは虎穴獲虎衝ににていたが若干違う気がした。
「……究極奥義、凄皇八刃!!」
一瞬だった。一瞬のうちに破竹撃をはじめとした基本技と称される技を垣間見たようだった。その一つの技に全てが内包されていると言ってもよかった。
「すげえ……。」
師父の目の前にあった岩に、放射状の八本の線が星形に引かれていた。その線の部分から次第にバラバラに岩は分かれていった。切ったというよりも最初からその模様に切られていたのではないかと思えるほど、切り口は滑らかだった。
「これが、八刃剣です。」
「すごい技じゃないですか!」
ロアは圧倒されるばかりだった。それほど、想像を絶する技だった。
「この技はまだ不完全です。私にはこれが限界なのです。あとは……、」
師父は言いかけてから、ロアの顔をしっかり見て言葉を続けた。
「……あなたが完成させてください。」
なにゆえ、半人前の自分にこのような超人絶技の完成を託そうというのだろうか?その真意はは理解できなかった。
「以前にも言いましたが、あなたには出来ます。いつか必ず。」
――そして、生きている師父の姿を見たのはこのときが最後だった。ある意味、これが遺言となってしまったのである。
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