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第1章 英雄と竜帝
第4話 勇者、巻き込まれる。
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「やべえなほんとに大事に巻き込まれちまったよ。」
昨晩の間にロアはクルセイダーズの二人のやりとりを見つつ、適当に相槌を打ちながら、状況を推測した。竜帝を討伐する……というのは表向きな理由で、あくまであのヴァル・ムングの目的を阻止することが目的らしい。
その目的というのがロアとっては理解しがたい内容であった。二人に詳細を確認したかったが、あまり深く詮索すると、ロア自身が勇者でないことが露呈してしまうためそれは出来なかった。
他にもわからないことがある。何故、ロアが勇者として認識されているかということだ。あまり面識のない村人ならともかく、クルセイダーズの二人やヴァル・ムングにまで勇者として認識されている。ロアは思い返してみても勇者の顔には、正直似ているとは到底思えなかった。原因があるとすれば、勇者から受け取った頭冠である。あれを受け取ってから、一度しか見ていない勇者の技を使うことができたし、それにあの刺客はこれを奪おうとしていた。
やはり、何らかの秘密があるに違いない。そういう意味でも、無闇に頭冠をはずすことは出来ない。とにかく、この場をうまく切り抜けて立ち去りたいというのがロアの本音であった。
「……おい!大丈夫か?聞いているのか?」
思索に耽っていると、魔術師、ファルから声を掛けられていた。
「え?…、ああ、まあ大丈夫。」
先程の思考を読まれていたのではないかと、思わずドキリとしてしまう。もちろんそんなことはないはずなのだが、内容が内容だけに思わず、そう思ってしまう。
「あらら~♪、まさか勇者様ともあろうお方が怖じ気づいたんじゃないでしょうね?」
横から神官、ジュリアから茶々を入れられてしまう。昨日もそうだったがこの娘は一々他人にたいして意地悪な言動をしてくるので、もちろん彼女には一切悪気はないのだろうが、ロアからしたら苦手なタイプだった。女性慣れしていないこともあって尚更である。ファルの方も魔術師ということもあり、思慮深く、疑り深いようなので、ロアはことの真相がばれてはしないかと常にはらはらしていた。
「そりゃ、多少は怖いぜ。」
「なんか、あんたさあ、キャラ変わってない?なんか腰引けてるよ?」
痛いところを突いてきた。やはり元の勇者からすると立ち振舞いに違和感があるのだろうか?
「そ、そりゃあよ~、相手はなんたって、あの竜帝なんだぜ?怖いだろ?」
動揺を隠しきれず、思わず口調が上擦ってしまう。
「あんたわかってる?あくまであたしたちの目的はあいつの計画を阻止することにあるんだからね?竜帝と戦うのはやむを得ず戦うはめになったらってだけ。多分あたしらだけじゃ勝てっこないし、クルセイダーズの精鋭をかき集めたって勝てるかどうかよ?」
「……まあ、そうならないためにも竜帝の棲みかに辿り着く前にあいつを阻止しろってことだ。」
ファルはいかにも話を話を早く終わらせたげな様子であった。
「問題は他の討伐隊のやつらだな。どれだけヴァル・ムングの息のかかったやつがいるかわからん。場合によっては連中全てを相手にしないといけないかもな。」
蛇が出るか鬼が出るか、ロアにとっては全てが未知数なため、竜帝だろうが竜食いの英雄だろうが大差ないように思えた。
「じゃあ行くぞ!二人ともせいぜい気を張っていけよ!」
彼らは討伐隊の集合場所へと向かった。
昨晩の間にロアはクルセイダーズの二人のやりとりを見つつ、適当に相槌を打ちながら、状況を推測した。竜帝を討伐する……というのは表向きな理由で、あくまであのヴァル・ムングの目的を阻止することが目的らしい。
その目的というのがロアとっては理解しがたい内容であった。二人に詳細を確認したかったが、あまり深く詮索すると、ロア自身が勇者でないことが露呈してしまうためそれは出来なかった。
他にもわからないことがある。何故、ロアが勇者として認識されているかということだ。あまり面識のない村人ならともかく、クルセイダーズの二人やヴァル・ムングにまで勇者として認識されている。ロアは思い返してみても勇者の顔には、正直似ているとは到底思えなかった。原因があるとすれば、勇者から受け取った頭冠である。あれを受け取ってから、一度しか見ていない勇者の技を使うことができたし、それにあの刺客はこれを奪おうとしていた。
やはり、何らかの秘密があるに違いない。そういう意味でも、無闇に頭冠をはずすことは出来ない。とにかく、この場をうまく切り抜けて立ち去りたいというのがロアの本音であった。
「……おい!大丈夫か?聞いているのか?」
思索に耽っていると、魔術師、ファルから声を掛けられていた。
「え?…、ああ、まあ大丈夫。」
先程の思考を読まれていたのではないかと、思わずドキリとしてしまう。もちろんそんなことはないはずなのだが、内容が内容だけに思わず、そう思ってしまう。
「あらら~♪、まさか勇者様ともあろうお方が怖じ気づいたんじゃないでしょうね?」
横から神官、ジュリアから茶々を入れられてしまう。昨日もそうだったがこの娘は一々他人にたいして意地悪な言動をしてくるので、もちろん彼女には一切悪気はないのだろうが、ロアからしたら苦手なタイプだった。女性慣れしていないこともあって尚更である。ファルの方も魔術師ということもあり、思慮深く、疑り深いようなので、ロアはことの真相がばれてはしないかと常にはらはらしていた。
「そりゃ、多少は怖いぜ。」
「なんか、あんたさあ、キャラ変わってない?なんか腰引けてるよ?」
痛いところを突いてきた。やはり元の勇者からすると立ち振舞いに違和感があるのだろうか?
「そ、そりゃあよ~、相手はなんたって、あの竜帝なんだぜ?怖いだろ?」
動揺を隠しきれず、思わず口調が上擦ってしまう。
「あんたわかってる?あくまであたしたちの目的はあいつの計画を阻止することにあるんだからね?竜帝と戦うのはやむを得ず戦うはめになったらってだけ。多分あたしらだけじゃ勝てっこないし、クルセイダーズの精鋭をかき集めたって勝てるかどうかよ?」
「……まあ、そうならないためにも竜帝の棲みかに辿り着く前にあいつを阻止しろってことだ。」
ファルはいかにも話を話を早く終わらせたげな様子であった。
「問題は他の討伐隊のやつらだな。どれだけヴァル・ムングの息のかかったやつがいるかわからん。場合によっては連中全てを相手にしないといけないかもな。」
蛇が出るか鬼が出るか、ロアにとっては全てが未知数なため、竜帝だろうが竜食いの英雄だろうが大差ないように思えた。
「じゃあ行くぞ!二人ともせいぜい気を張っていけよ!」
彼らは討伐隊の集合場所へと向かった。
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