4 / 10
3夜 : それぞれの想い
しおりを挟む
ここが呪われた城だと知った6人。
急に怖くなった。
この城…絶対何かがある。
「この城のマップとかないかな」
そう言いながら部屋の中を歩き回る隼人。1人だけ妙に落ち着いている。何でも動揺しない人なんだろうな…
~翔の場合~
そんな絵梨香のことをじっと翔は見ていた。
「怖くない?大丈夫?」
「大丈夫…だよ」
絵梨香は軽く笑ってみせた。
無理した笑顔だとすぐに分かった。
あの頃と変わらないな。
俺は絵梨香をじっと見つめた。
あの頃ー。
それは俺が絵梨香に惹かれた時期。
当時絵梨香はいじめられていた。
でも、どんなにいじめられても前向きで1度も瞳の光が消えたことがなかった。
そんな絵梨香をずっと見てきた。
絵梨香は気づいてないだろうけど、ずっと想ってきた。機会があれば告白したいけどきっと無理だろうな。
そう思いながら俺は絵梨香を見た。
私(絵梨香)は翔に大丈夫だよと心とは違う答え方をしてしまった。きっと翔は気づいているだろうな。翔は誰にでも優しいから心配かける訳にはいかない。私は隼人と同じように部屋の中を探した。
引き出しを開けた時、私は首をかしげた。
何これ…
それはキラキラした宝石がついた冠のようなもの。取り出そうとして冠に触れるときつい電流が走った。
「痛っ」
思わず指を引っ込めた。
「大丈夫?」
翔が慌てて来てくれた。
「うん…。これ触ったら電流が…」
「電流?なんでだろう」
「触っちゃだめってことかな…」
風華が私の隣にきた。
風華だと落ち着くな…
何か手がかりになるかもしれないのに取り出すことが出来ない。隼人はため息をついた。
「取り出すのは無理だからここにあるってことを覚えておくしかないかな。」
「うん。」
私は引き出しをしまった。
その時、瑠美が声をあげた。
「お兄ちゃん、これ…」
持って来たのはマップだった。隼人が受け取りじっと見つめた。
「これ、この城のマップだ。」
「やっぱり。」
「ありがとう。必要だったから良かった」
瑠美は笑った。
微笑ましい関係だなって私は思った。
地図をのぞき込んだ咲は言った。
「広すぎるね、最初の部屋から全然進んでない。」
私は咲を見た。 不意に咲と出会った頃の記憶が蘇ってきた。
私は中学生の頃いじめられていた。靴を隠されてたり、物を捨てられたり。
なんともないって自分に言いきかせていたけど確実に疲れていった。ずっと風華がそばにいてくれたからなんとかなっていた。
翔が私を助けてくれたからいじめは終わった。
そんな時、翔が紹介してくれて咲と出会った。
咲は口下手で愛情表現が苦手な子だったけど、優しくて温かかった。
ずっと風華と咲と3人で過ごすようになった。
この2人は一生ものの宝物だ。
そんなきっかけをくれたのは全部翔だ。
翔はずっと私にとって恩人だった。
地図を見ていた咲が顔を上げた。
「とりあえずヒントになりそうな部屋行ってみるしかないかな」
「うん。この部屋はもう何も無さそう」
私は咲の隣から地図を覗いた。
「ほんと、何で私達こんなとこにいるんだろうね」
咲はそう言ったっきり黙り込んでしまった。
~咲の場合~
私が絵梨香と仲良くなったのは中学生の頃。友達の翔が紹介してくれた。
絵梨香は学校の中で一番美人なんじゃないかと思った。美人でなおかつ目が離せなくなる何かを持っていた。最初はぎこちなかったけどずっと一緒にいるうちに大好きになっていた。絵梨香がいじめられていたことを知ったのはその頃だった。絵梨香は優しすぎるのだ。原因は風華がいじめられていたのを助けたから。人の痛みを自分のことのように感じてしまう子だ。でも……。時々ゾクッとすることがある。絵梨香のあの瞳。自分の悪い部分、卑怯な部分全部見透かしたような瞳。
理由は全然分からない。
私(絵梨香)は、黙り込んでしまった咲を見た。
風華と顔を見合わせた。
風華はふわっと笑った。大丈夫だよって言っているようでほっとした。
風華がいてくれたら何でも出来るような気がした。
私にとって風華は、幼なじみであり親友だ。
小さい頃から姉妹のように共に育ち、ずっと一緒に生きてきた。だから風華がいじめにあっていることを知った時は、本当に腹が立った。
風華のこと何も知らないくせに…
気がつくと風華を庇うようになっていた。
それが原因で、今度は私がいじめられるようになった。
風華はずっとそばにいてくれたから学校を休むこともなかった。
考えこんでいた私ははっと顔を上げた。
こんな時に限って過去を思い出してしまう。
私は部屋を見渡した。
「呪われた城って噂だったけど、思ってたのと違うね。」
「そう?私は想像通りだったな」
と、風華はキョロキョロした。私は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「幽霊はいると思ってたんだけどなぁ」
「ゆ、幽霊!?」
風華はぎょっとして後ずさった。
「冗談だよ」
私は慌てて風華の頭を軽く叩いた。
風華は背が私よりも大分小さい。
~風華の場合~
私は絵梨香が小さい頃から大好きだ。
それは今でも全く変わってない。
絵梨香は困っている子を放っておけない子で私がいじめられていた時も迷わす助けてくれた。
それが原因で絵梨香がいじめにあうなんて…
助けてもらっておきながら私は絵梨香に何もしてあげられなかった。
この城、怖いけど…今度こそ絵梨香を守れるようになりたい。
そう思うと、少し勇気が出た。
私(絵梨香)達は、この部屋から出ることにした。
「とりあえず、怪しい部屋は全部見て回ることにしよう。」
隼人は地図を折りたたんでポケットにしまった。私は、冠が入っている引き出しを見た。
何か…引っかかる。
その時だった、ひとりでに扉が開く音がした。
6人は驚きを隠せず扉を見つめた。
すると、扉の向こうに女の人が立っているのだ。
私は思わず言った。
「人!?」
風華は私にぴったりと寄り添ってきた。
私は黙ったまま風華の手を握った。
幽霊らしき人は、私達の顔をじっとみてから左の方に歩いて行った。隼人が慌てて追いかけたが、そこには相変わらず暗い廊下があるだけだった。
「幽霊…?この城の住人か…?」
急に怖くなった。
この城…絶対何かがある。
「この城のマップとかないかな」
そう言いながら部屋の中を歩き回る隼人。1人だけ妙に落ち着いている。何でも動揺しない人なんだろうな…
~翔の場合~
そんな絵梨香のことをじっと翔は見ていた。
「怖くない?大丈夫?」
「大丈夫…だよ」
絵梨香は軽く笑ってみせた。
無理した笑顔だとすぐに分かった。
あの頃と変わらないな。
俺は絵梨香をじっと見つめた。
あの頃ー。
それは俺が絵梨香に惹かれた時期。
当時絵梨香はいじめられていた。
でも、どんなにいじめられても前向きで1度も瞳の光が消えたことがなかった。
そんな絵梨香をずっと見てきた。
絵梨香は気づいてないだろうけど、ずっと想ってきた。機会があれば告白したいけどきっと無理だろうな。
そう思いながら俺は絵梨香を見た。
私(絵梨香)は翔に大丈夫だよと心とは違う答え方をしてしまった。きっと翔は気づいているだろうな。翔は誰にでも優しいから心配かける訳にはいかない。私は隼人と同じように部屋の中を探した。
引き出しを開けた時、私は首をかしげた。
何これ…
それはキラキラした宝石がついた冠のようなもの。取り出そうとして冠に触れるときつい電流が走った。
「痛っ」
思わず指を引っ込めた。
「大丈夫?」
翔が慌てて来てくれた。
「うん…。これ触ったら電流が…」
「電流?なんでだろう」
「触っちゃだめってことかな…」
風華が私の隣にきた。
風華だと落ち着くな…
何か手がかりになるかもしれないのに取り出すことが出来ない。隼人はため息をついた。
「取り出すのは無理だからここにあるってことを覚えておくしかないかな。」
「うん。」
私は引き出しをしまった。
その時、瑠美が声をあげた。
「お兄ちゃん、これ…」
持って来たのはマップだった。隼人が受け取りじっと見つめた。
「これ、この城のマップだ。」
「やっぱり。」
「ありがとう。必要だったから良かった」
瑠美は笑った。
微笑ましい関係だなって私は思った。
地図をのぞき込んだ咲は言った。
「広すぎるね、最初の部屋から全然進んでない。」
私は咲を見た。 不意に咲と出会った頃の記憶が蘇ってきた。
私は中学生の頃いじめられていた。靴を隠されてたり、物を捨てられたり。
なんともないって自分に言いきかせていたけど確実に疲れていった。ずっと風華がそばにいてくれたからなんとかなっていた。
翔が私を助けてくれたからいじめは終わった。
そんな時、翔が紹介してくれて咲と出会った。
咲は口下手で愛情表現が苦手な子だったけど、優しくて温かかった。
ずっと風華と咲と3人で過ごすようになった。
この2人は一生ものの宝物だ。
そんなきっかけをくれたのは全部翔だ。
翔はずっと私にとって恩人だった。
地図を見ていた咲が顔を上げた。
「とりあえずヒントになりそうな部屋行ってみるしかないかな」
「うん。この部屋はもう何も無さそう」
私は咲の隣から地図を覗いた。
「ほんと、何で私達こんなとこにいるんだろうね」
咲はそう言ったっきり黙り込んでしまった。
~咲の場合~
私が絵梨香と仲良くなったのは中学生の頃。友達の翔が紹介してくれた。
絵梨香は学校の中で一番美人なんじゃないかと思った。美人でなおかつ目が離せなくなる何かを持っていた。最初はぎこちなかったけどずっと一緒にいるうちに大好きになっていた。絵梨香がいじめられていたことを知ったのはその頃だった。絵梨香は優しすぎるのだ。原因は風華がいじめられていたのを助けたから。人の痛みを自分のことのように感じてしまう子だ。でも……。時々ゾクッとすることがある。絵梨香のあの瞳。自分の悪い部分、卑怯な部分全部見透かしたような瞳。
理由は全然分からない。
私(絵梨香)は、黙り込んでしまった咲を見た。
風華と顔を見合わせた。
風華はふわっと笑った。大丈夫だよって言っているようでほっとした。
風華がいてくれたら何でも出来るような気がした。
私にとって風華は、幼なじみであり親友だ。
小さい頃から姉妹のように共に育ち、ずっと一緒に生きてきた。だから風華がいじめにあっていることを知った時は、本当に腹が立った。
風華のこと何も知らないくせに…
気がつくと風華を庇うようになっていた。
それが原因で、今度は私がいじめられるようになった。
風華はずっとそばにいてくれたから学校を休むこともなかった。
考えこんでいた私ははっと顔を上げた。
こんな時に限って過去を思い出してしまう。
私は部屋を見渡した。
「呪われた城って噂だったけど、思ってたのと違うね。」
「そう?私は想像通りだったな」
と、風華はキョロキョロした。私は少し意地悪な笑みを浮かべた。
「幽霊はいると思ってたんだけどなぁ」
「ゆ、幽霊!?」
風華はぎょっとして後ずさった。
「冗談だよ」
私は慌てて風華の頭を軽く叩いた。
風華は背が私よりも大分小さい。
~風華の場合~
私は絵梨香が小さい頃から大好きだ。
それは今でも全く変わってない。
絵梨香は困っている子を放っておけない子で私がいじめられていた時も迷わす助けてくれた。
それが原因で絵梨香がいじめにあうなんて…
助けてもらっておきながら私は絵梨香に何もしてあげられなかった。
この城、怖いけど…今度こそ絵梨香を守れるようになりたい。
そう思うと、少し勇気が出た。
私(絵梨香)達は、この部屋から出ることにした。
「とりあえず、怪しい部屋は全部見て回ることにしよう。」
隼人は地図を折りたたんでポケットにしまった。私は、冠が入っている引き出しを見た。
何か…引っかかる。
その時だった、ひとりでに扉が開く音がした。
6人は驚きを隠せず扉を見つめた。
すると、扉の向こうに女の人が立っているのだ。
私は思わず言った。
「人!?」
風華は私にぴったりと寄り添ってきた。
私は黙ったまま風華の手を握った。
幽霊らしき人は、私達の顔をじっとみてから左の方に歩いて行った。隼人が慌てて追いかけたが、そこには相変わらず暗い廊下があるだけだった。
「幽霊…?この城の住人か…?」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる