ドジっ子鷹華ちゃんのウェイトレス奮闘記

いちや

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アルバイト志願

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街中にある、とあるレストラン。
遅い夕方になった店内は、大勢の客で混雑している。
ある日、店の玄関のドアベルが鳴り、学校帰りの少女が、緊張した面持ちで店内へ入って来た。
「よし、今日こそは……」
思いつめたような表情をした少女は、店内に入ると覚悟を決め、大声で叫んだ。
「すみません、ここで……アルバイトをさせてくださいっ!!」
「……」
突然、謎の少女が店内で大声を出したことに驚いたのか、賑わっている店内は、突如としてし-んと静まり返った。
店内で飲食をしていた大勢のお客の視線が、その少女に向けられた。
「なんだ」
「どうしたんだ」
「某ジ〇リアニメの真似でもしているのか?」
客たちはひそひそ声で噂話を始めた。
「やだ、私ったらつい……すみませんでした……」
少女は顔を真っ赤にしてうつむいた。
恥ずかしさのあまり、顔を両手で覆った。
少女の頭の中は、完全にパニック状態だった。
「もしかして君、アルバイトの採用面接を受けに来る予定の子?」
レジカウンターでお金の勘定をしていた20代の若い男の店員が、少女に声をかけた。
「……はい、そうです」
少女はもじもじしながら小声で答えた。
「話は分かった。とりあえずこっちに来てくれるかい?」
「分かりました」
その男の店員はその少女をレストランのバックヤードへと案内した。
少女はその場から逃げるように、男の後をそそくさとついて行った。

少女は店の事務室に案内された。
「とりあえずそこに座って」
男の店員に声をかけられ、少女は黙って椅子に腰を下ろした。
「私がこの店のマネージャーだ。よろしく」
「よ、よろしくお願いします……」
鷹華はマネージャーに、ぎこちなくあいさつした。
「履歴書持ってきたんでしょ?出して」
マネージャーは鷹華に言った。
「はい」
少女は、マネージャーに履歴書を渡した。
「君、名前なんて言うの?」
「名前は鷹華。たか、はなと書いて『ようか』と読みます」
「ふぅん、いい名前だね」
「ありがとうございます」
「ところで君、今までのアルバイト経験は?」
「う~んと、えっと、あの……」
鷹華はしどろもどろになった。
「君、もしかしてアルバイト未経験?」
「ギクッ」
鷹華は少し不安になって小声で答えた。
「確かに私はアルバイトの経験はありません。ですが、やる気だけは誰にも負けません!」
鷹華は必死で自己PRをした。
「……」
マネージャーは黙り込んだまま、考え込んだ。
「……そこまで言われちゃ仕方ない、こっちも人手不足で困ってるからな」
「へっ!?」
「……採用だ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
鷹華の表情が明るくなり、まるで花が咲いたような笑顔になった。
「さっそくだけど、明日から勤務に入ってくれるかい?」
「はい、分かりました!」
鷹華は元気よく答えた。
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