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41、再び王宮へ レオン視点

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 ポポがオレの浮気を疑い、マカとロンを連れて家を出て行ってから、わりとすぐのことだった。

 部屋の窓からリリーの奇声が聞こえてきたのは。

「あーん、うえーん!」

「リリーどうした?」

 すでに家族同様だと思っていた3人に、オレはまるっきり信頼されていなかったのか、と深く傷ついていたが、身体が勝手に道路へとびだしていった。

「ジョーの店から火がでて、逃げ遅れたジョーがお店の中に取り残されたの。
 このままだとジョーが死んじゃうわ」

 リリーが狂ったようにむせび泣く。

「心配するな。オレにまかせろ」

とっさに返事をするやいなや、ジョーの元へ駆けていった。

 そして、無我夢中でゴウゴウと火の手のあがる店の中へとびこんだのだ。

「レオン、助けにきてくれたのか!」
 
 炎のせまる部屋の片隅でうずくまっていたジョーは、顔を輝かせた。

「急いでここから逃げよう。
 早くオレの背中につかまれ」

「それが腰がぬけてしまって、立ち上がれない」

「そうか、なら」
とジョーを抱きかかえようとした時だ。

ーゴオオオ、ゴオオオオー

 凄まじい音をたてながら、部屋の天井が落ちてきた。

「オレは浮気男と勘違いされたまま死んでゆくのか。
 いや。ポポの悲しみを考えるとその方がいいんのかもな」

 腹をくくった時だった。

 突然大雨がふってきて、あっという間に火は静まる。

 後で知ったが、その雨はポポがふらせたものだった。

「聖女様! 聖女様!」

 焼け落ちた市場を元通りに回復させたポポに、皆が膝をついて手をあわせている様子を見て、オレはかつて感じた事のない強い不安におさわれる。

 これだけの大騒ぎになったのだ。

 ポポの噂が王宮に届くのは時間の問題だろう。

 で、ポポは王族の都合のいい道具にされる。

「それはまずい。
なんとかリオンより早く、ポポをオレの物にしなくては」

 家へ戻ってからも、ずーとオレは焦っていた。

 そんな時だ。

ポポがはにかんだ顔でオレを誘ってきたのは。

「レオン。
 今夜は手をつないで一緒に眠りたいの」
と。

 なに!!!!

 それってそういう事だよな。

 女の方からストレートに誘えないからって、手をつないで寝ようなんて可愛すぎるじゃん、なんて期待したオレがバカだった。

 ポポの言葉に裏はなく。

おかげでオレはベッドの中で、一睡もできなかったのだ。

 ちょっと手をのばすと、ポポの柔らかな身体に触れられる。

なのに、それが出来ないなんて一体なんの罰ゲームなんだ!

 ベッドの中でもだえていたら、ポポに肩をゆさぶられた。

「たいへん、レオン起きて!
 もう使者がきたわ」

「夜中の訪問とはさすがに驚いたな」
とオレはカッコをつけて起き上がると、あわてて身支度にとりかかった。

 オレは騎士ぶっているけど、こんな情けない男だ。

 けど、これから王宮へあがるポポを一生守り抜きたい。

 この気持ちに嘘はない。

 だからポポの前でひざますき、
「死ぬまで私にあたなとお守りさせてください」と誓うと、ポポの手をとり甲に本気のキスをおとした。

 




 


 



 






 
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