9 / 61
9、2人の悪魔 エリザ視点
しおりを挟む
「元聖女様。
はやくこれを飲んで全てをお忘れ下さい。
ここで起きた事はなかった事になりますから。
そうすれば、リオン様もどうする事もできませんわ」
と、私はポポに毒薬を差し出した。
そう毒薬を。
記憶を消す薬なんて生やさしいモンじゃない。
持っている私の知識を総動員させて作った、レベルの高い毒欲だった。
「わかったわ」
そうとも知らずポポは、私の美しい手からガラス瓶を受け取ると、一気に飲みほした。
これで聖女はおわった!
「私の記憶を消すだけじゃなかったの。
エ、エ、エリザ。
い、い、いったいどうしたなの?」
心の中で高笑いしていると、ポポが真っ赤な血をはきながら声をしぼりだした。
「決まってるじゃない。
オマエが目障りだったからよ」
どうしてっかて?
私はとっくに気がついていたから。
ポポは出来損ない聖女なんかじゃない。
それどころか、最強の魔法の使い手であることに。
しかもリオン様は本当はポポにひかれている。(リオン様がまだ自分の気持ちに気がついていないのが幸いだったけど)
もしも、なにかのきっかけで。
リオン様とポポ聖女が愛し合うようになったら、シュメールをつぶす事は100パーセント不可能になるだろう。
ポポは真実の愛に出会った時、最強の力を発揮する。そんな予感がしたから。
私がポポを初めて見たのは、王宮で催されたリオ王の誕生パーテイの夜だった。
「計画どおり、シュメールへ到着したわ」
翼のように両手を広げて母国から飛び立った私が、王宮のバラ園に到着した時だ。
背後から低い男の呟きがした。
「聖女のヤツめ。
オレを見るたび、『ちがう。私の推しはこの人じゃない』ってほざきやがって。
今度言ったら首をへし折ってやるぞ。
こんな事なら、オレがペペス村に聖女を迎えにいけばよかった。
そうしていれば、今頃聖女はオレを愛したはずだから。
クソっ。なんでこんな事を考えるのだ」
とっさに草の茂みにかくれ、ソウッと男の様子をうかがう。
「あ!」
私は思わず、驚きの声をあげそた。
月明かりに照らされたその男の顔は、彫刻のように美しい。
「あれは間違いなくリオン王だわ。
笑っちゃうほどサルラにそっくりね。
リオン王は聖女に片思い中ってわけか」
なぜかイラッとした。
フンと鼻をならして、リオン王の視線の先をおえば、キラキラと輝く光の粒子に包まれた少女が夜空を仰いでいる。
「ねえマカとロン。
さっきの大きな流れ星に願ったんだ。
はやく聖女をやめれますよーに、って」
「ポポ。そうなったらオイラと結婚してくれ」
「ポポ。そうなったら私とどこかでお菓子のお店を開くざます」
抜群の聴力をもつ私の耳には彼らの会話が届き、抜群の視力をもつ私の目は精霊の姿をとらえた。
「あんなに普通に精霊と話せるなんて、あの子の潜在魔力は驚くほど強いはずよ。
覚醒する前に手をうたないと」
私は勢いよくリオ王の前に飛び出すと、さっそくリオ王に魅了魔法をかけたのだ。
はやくこれを飲んで全てをお忘れ下さい。
ここで起きた事はなかった事になりますから。
そうすれば、リオン様もどうする事もできませんわ」
と、私はポポに毒薬を差し出した。
そう毒薬を。
記憶を消す薬なんて生やさしいモンじゃない。
持っている私の知識を総動員させて作った、レベルの高い毒欲だった。
「わかったわ」
そうとも知らずポポは、私の美しい手からガラス瓶を受け取ると、一気に飲みほした。
これで聖女はおわった!
「私の記憶を消すだけじゃなかったの。
エ、エ、エリザ。
い、い、いったいどうしたなの?」
心の中で高笑いしていると、ポポが真っ赤な血をはきながら声をしぼりだした。
「決まってるじゃない。
オマエが目障りだったからよ」
どうしてっかて?
私はとっくに気がついていたから。
ポポは出来損ない聖女なんかじゃない。
それどころか、最強の魔法の使い手であることに。
しかもリオン様は本当はポポにひかれている。(リオン様がまだ自分の気持ちに気がついていないのが幸いだったけど)
もしも、なにかのきっかけで。
リオン様とポポ聖女が愛し合うようになったら、シュメールをつぶす事は100パーセント不可能になるだろう。
ポポは真実の愛に出会った時、最強の力を発揮する。そんな予感がしたから。
私がポポを初めて見たのは、王宮で催されたリオ王の誕生パーテイの夜だった。
「計画どおり、シュメールへ到着したわ」
翼のように両手を広げて母国から飛び立った私が、王宮のバラ園に到着した時だ。
背後から低い男の呟きがした。
「聖女のヤツめ。
オレを見るたび、『ちがう。私の推しはこの人じゃない』ってほざきやがって。
今度言ったら首をへし折ってやるぞ。
こんな事なら、オレがペペス村に聖女を迎えにいけばよかった。
そうしていれば、今頃聖女はオレを愛したはずだから。
クソっ。なんでこんな事を考えるのだ」
とっさに草の茂みにかくれ、ソウッと男の様子をうかがう。
「あ!」
私は思わず、驚きの声をあげそた。
月明かりに照らされたその男の顔は、彫刻のように美しい。
「あれは間違いなくリオン王だわ。
笑っちゃうほどサルラにそっくりね。
リオン王は聖女に片思い中ってわけか」
なぜかイラッとした。
フンと鼻をならして、リオン王の視線の先をおえば、キラキラと輝く光の粒子に包まれた少女が夜空を仰いでいる。
「ねえマカとロン。
さっきの大きな流れ星に願ったんだ。
はやく聖女をやめれますよーに、って」
「ポポ。そうなったらオイラと結婚してくれ」
「ポポ。そうなったら私とどこかでお菓子のお店を開くざます」
抜群の聴力をもつ私の耳には彼らの会話が届き、抜群の視力をもつ私の目は精霊の姿をとらえた。
「あんなに普通に精霊と話せるなんて、あの子の潜在魔力は驚くほど強いはずよ。
覚醒する前に手をうたないと」
私は勢いよくリオ王の前に飛び出すと、さっそくリオ王に魅了魔法をかけたのだ。
10
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
氷の騎士は、還れなかったモブのリスを何度でも手中に落とす
みん
恋愛
【モブ】シリーズ③(本編完結済み)
R4.9.25☆お礼の気持ちを込めて、子達の話を投稿しています。4話程になると思います。良ければ、覗いてみて下さい。
“巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について”
“モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語”
に続く続編となります。
色々あって、無事にエディオルと結婚して幸せな日々をに送っていたハル。しかし、トラブル体質?なハルは健在だったようで──。
ハルだけではなく、パルヴァンや某国も絡んだトラブルに巻き込まれていく。
そして、そこで知った真実とは?
やっぱり、書き切れなかった話が書きたくてウズウズしたので、続編始めました。すみません。
相変わらずのゆるふわ設定なので、また、温かい目で見ていただけたら幸いです。
宜しくお願いします。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【完結】経費削減でリストラされた社畜聖女は、隣国でスローライフを送る〜隣国で祈ったら国王に溺愛され幸せを掴んだ上に国自体が明るくなりました〜
よどら文鳥
恋愛
「聖女イデアよ、もう祈らなくとも良くなった」
ブラークメリル王国の新米国王ロブリーは、節約と経費削減に力を入れる国王である。
どこの国でも、聖女が作る結界の加護によって危険なモンスターから国を守ってきた。
国として大事な機能も経費削減のために不要だと決断したのである。
そのとばっちりを受けたのが聖女イデア。
国のために、毎日限界まで聖なる力を放出してきた。
本来は何人もの聖女がひとつの国の結界を作るのに、たった一人で国全体を守っていたほどだ。
しかも、食事だけで生きていくのが精一杯なくらい少ない給料で。
だがその生活もロブリーの政策のためにリストラされ、社畜生活は解放される。
と、思っていたら、今度はイデア自身が他国から高値で取引されていたことを知り、渋々その国へ御者アメリと共に移動する。
目的のホワイトラブリー王国へ到着し、クラフト国王に聖女だと話すが、意図が通じず戸惑いを隠せないイデアとアメリ。
しかし、実はそもそもの取引が……。
幸いにも、ホワイトラブリー王国での生活が認められ、イデアはこの国で聖なる力を発揮していく。
今までの過労が嘘だったかのように、楽しく無理なく力を発揮できていて仕事に誇りを持ち始めるイデア。
しかも、周りにも聖なる力の影響は凄まじかったようで、ホワイトラブリー王国は激的な変化が起こる。
一方、聖女のいなくなったブラークメリル王国では、結界もなくなった上、無茶苦茶な経費削減政策が次々と起こって……?
※政策などに関してはご都合主義な部分があります。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる