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7、地味子の仕返しエリザ視点

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 私はエリザベートカノン。

 スイウン国の国王の4女である。

 スイウンは小国シュメールを取り巻くように位置している大国で、歴代の王は常にシュメールを征服するチャンスを狙っていた。

 そして今、やっとその時が巡ってきたのだ。

 国の悲願をかなえる為に、私は単身シュメールへのりこんできた。

 自前にリサーチしたリオン王好みのセクシーな女に、魔法で姿を変えて。

 お父様は出発寸前まで、私がこの国へいくのに反対していた。

「エリザ(私は親しい者からそう呼ばれていた)。
 なにもオマエが危険をおかしてまで、シュメールへ行かなくてもいいんだぞ。
 いままでシュメールを滅ぼせなかったのは、歴代の聖女達がつくった強い結界のせいだ。
 けど、今のシュメールの結界はないも同然という。
 スイウンの優秀な戦士たちにかかれば、あの国がおちるのは数分もかからないだろう」

 空を飛んでシュメールまで移動するので、呪文を唱えようとしていると、お父様がやってきて私をひきとめようとした。

「でも、お父様。
 その数分で何人かの戦士の命を失うことになるわ。
 私はね。
 たった1人の命もムダにしたくないの。
 お願い。
 ここは私にまかせて欲しいの。
 1滴の血も流さずにシュメールをスイウンの物にしてさしあげるから」 

「頑固なのは私譲りだな。
 しかたがないか……」

 お父様はヒゲをたくわえた顎に手をそえながら、ゆっくりと首をかしげる。

「ひょっとしてエリザ。
 あの男への復讐のために、シュメールへ行くんじゃないだろうな。
 もしそうならやめておけ。
 復讐心から理性を失って、ろくな結果にならないからな」

「あの男って?
 ああ、サルラ様のことね。
 すっかり忘れていたわ。
 お父様って案外、根に持つタイプなのね」 

 私はそう言うと、ムリして無邪気な笑いつくり顔に貼り付けた。 
 
 本心はお父様の言うとおりだったから。

 サルラ様への憎しみを一日たりとも忘れた事はない。 

 サルラ様は結婚前の一時期、スイウンの王族貴族学園に留学していて、私達はそこで出会った。

 しばらくしてサルラ様に告白された時は、息がとまりそうになるほど驚いた。

 なぜって。

 私は黒髪黒目の内気な地味子だったから。

 華やかな容姿をしたお姉様達にずーとバカにされていた私が、こんな美しい王子様に見初められなんて。

 そんな事絶対にない。

 最初は友達として交際を始めたが、会うたびにサルラ様に熱い想いをささやかれた。

 そして、いつのまにか私もサルラ様に夢中になっていたのだ。

 数年後には、罵声とともにポイ捨てされるとも知らずに。

 本当にバカだったわ。

 地味子の純情をふみにじったお返し、今こそさせてもらいます。

 サルラ様の国なんて、ぶっつぶしてやる!
 
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