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2、推しとの出会い
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約1年前のある日。
突然目覚めた私の魔力の噂をききつけて、王子様自らがペペス村に迎えにきたのだ。
「初めまして。ポポ様。
僕はシュメール国の第1王子リオンです。
王都からあなたをお迎えに参りました。
国は前聖女を失ってから、長い間聖女のいない状態です。
そのせいで結界がゆるみ、天候不順、魔物の襲撃などの異常事態が次々とおきている。
どうか聖女となられて、この僕を助けていただけませんか」
こった装飾を施した豪華な白い馬車から颯爽と現れたリオン王子は、私の前でひざまずくとゾクッとするような美声で懇願したのだ。
つややかに輝く、肩までのびた黄金色の豊かな髪。
まるで神のような慈愛にみちた、宝石のように輝く蒼い瞳。
なめらかなミルク色の肌。
身体からにじみでる、そこはかとない品格。
まるで彼は天界からやってきた天使のようだった。
天使にあらがうなんて、人間には不可能に決まっている。
オラ、この人の為なら死ねる!
心で叫ぶと、脳内にカランカランと鐘の音が鳴り響いた。
尊い推しとの神聖な出会いの瞬間である。
「ポポ様。
大丈夫ですか」
興奮のあまり身体がふらついた私を、なんと推しがガシリと両手で抱き留めてくれたのだ。
「オラ大丈夫だ。
心配かけてごめんなさい」
抱き寄せられて推しの胸に顔をうずめる形になった私の心臓は、破裂しそうに高鳴る。
王子様の胸板はまるで騎士のように鍛え上げられていて、そのギャップにまた萌える。
「リオン様。
本当にオラでいいなら、オラ聖女になるべ」
押しの身体から放たれる、爽やかな柑橘系の香りに鼻腔をくすぐられながら、決心した。
「ありがとう。
王宮では僕が全力でアナタをお守りします」
推しは耳元で囁くと、私を抱きしめる腕により力をこめた。
あああ、あああ。
身体と心がトロトロにとろけていきそうだった。
けど、ある問題に気がついて我に帰る。
この国には、聖女は王様と結婚する、という掟があったはずだ。
リオン様は第1王子だから、将来王座につくのは、ほぼほぼ間違いない。
推しは遠くで崇むのがベストに決まっているのに、これは困った。
仮に結婚となれば、寝相の悪さも大食いも、他のみっともない所が全部バレてしまう。
どーする私。
てか、やるっきゃないのだ。
なんだかんだ言ってたけど、推しとの初夜の妄想に毎夜興奮し、かなり期待して王宮にあがったのに。
王妃教育を終了した私の前に現れた男は、推しとは別人だった。
名前は同じリオンだけど。
顔もコピーしたようにそっくりだったけど、漂よってくる香りは違った。
この別人が現在のリオン王(アイツ)なのだ。
それからは、不満と後悔の連続。
けど、そんな日々とも今日かぎりだ。
なぜって。
エリザが現れたからだ。
年は私より少し上のエリザは、魔力も強く、超がつく美人である。
すでに王様はメロメロで、一刻もはやく私を王宮から追い払いたいようだ。
で今から、教会で聖女交代の手続きをしにいくのだ。
「ポポ。
よかったざますね。
ワタクシもこれでホッとしますわ」
そう言って、丸い身体をフルフルと震わせるロンに、ウンウンと何度も首を縦にふる。
自由になったら、この国のどこかにいる推しを探しに行くんだもんね!
突然目覚めた私の魔力の噂をききつけて、王子様自らがペペス村に迎えにきたのだ。
「初めまして。ポポ様。
僕はシュメール国の第1王子リオンです。
王都からあなたをお迎えに参りました。
国は前聖女を失ってから、長い間聖女のいない状態です。
そのせいで結界がゆるみ、天候不順、魔物の襲撃などの異常事態が次々とおきている。
どうか聖女となられて、この僕を助けていただけませんか」
こった装飾を施した豪華な白い馬車から颯爽と現れたリオン王子は、私の前でひざまずくとゾクッとするような美声で懇願したのだ。
つややかに輝く、肩までのびた黄金色の豊かな髪。
まるで神のような慈愛にみちた、宝石のように輝く蒼い瞳。
なめらかなミルク色の肌。
身体からにじみでる、そこはかとない品格。
まるで彼は天界からやってきた天使のようだった。
天使にあらがうなんて、人間には不可能に決まっている。
オラ、この人の為なら死ねる!
心で叫ぶと、脳内にカランカランと鐘の音が鳴り響いた。
尊い推しとの神聖な出会いの瞬間である。
「ポポ様。
大丈夫ですか」
興奮のあまり身体がふらついた私を、なんと推しがガシリと両手で抱き留めてくれたのだ。
「オラ大丈夫だ。
心配かけてごめんなさい」
抱き寄せられて推しの胸に顔をうずめる形になった私の心臓は、破裂しそうに高鳴る。
王子様の胸板はまるで騎士のように鍛え上げられていて、そのギャップにまた萌える。
「リオン様。
本当にオラでいいなら、オラ聖女になるべ」
押しの身体から放たれる、爽やかな柑橘系の香りに鼻腔をくすぐられながら、決心した。
「ありがとう。
王宮では僕が全力でアナタをお守りします」
推しは耳元で囁くと、私を抱きしめる腕により力をこめた。
あああ、あああ。
身体と心がトロトロにとろけていきそうだった。
けど、ある問題に気がついて我に帰る。
この国には、聖女は王様と結婚する、という掟があったはずだ。
リオン様は第1王子だから、将来王座につくのは、ほぼほぼ間違いない。
推しは遠くで崇むのがベストに決まっているのに、これは困った。
仮に結婚となれば、寝相の悪さも大食いも、他のみっともない所が全部バレてしまう。
どーする私。
てか、やるっきゃないのだ。
なんだかんだ言ってたけど、推しとの初夜の妄想に毎夜興奮し、かなり期待して王宮にあがったのに。
王妃教育を終了した私の前に現れた男は、推しとは別人だった。
名前は同じリオンだけど。
顔もコピーしたようにそっくりだったけど、漂よってくる香りは違った。
この別人が現在のリオン王(アイツ)なのだ。
それからは、不満と後悔の連続。
けど、そんな日々とも今日かぎりだ。
なぜって。
エリザが現れたからだ。
年は私より少し上のエリザは、魔力も強く、超がつく美人である。
すでに王様はメロメロで、一刻もはやく私を王宮から追い払いたいようだ。
で今から、教会で聖女交代の手続きをしにいくのだ。
「ポポ。
よかったざますね。
ワタクシもこれでホッとしますわ」
そう言って、丸い身体をフルフルと震わせるロンに、ウンウンと何度も首を縦にふる。
自由になったら、この国のどこかにいる推しを探しに行くんだもんね!
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