11 / 14
十一、パリスの廃位
しおりを挟む
「おいギア。まさか、オマエが盗んだのか」
「そうだよ。これもパパの為さ」
「黙れ。アホぬかすな」
ババネア公爵とギアは、王様の面前という事も忘れて、親子ゲンカを繰り広げた。
まったく、どういう神経をしているのか。
「だって。パパはいつも言ってんじゃん。
『気取り屋のマクシアン公爵め。
顔を見るだけで、ムシズが走るわい』って。
だから、娘のソフィを陥れてやろうと、アタイが、しくんだんだよ。
『いつも迷惑かけてるおわびに、これをソフィに渡して欲しい。恥ずかしいから、名前は絶対ふせてよ』って、王太子に渡しだんだよ。
私って、けっこう頭いいだろ。
クッソウ。あと一歩だったのに」
ギアは、まだ立ち上がれないパリスのお尻を、足でけりあげた。
ギアの奔放な振る舞いや、言葉使いを、パリスは、『可愛いからいい』って放置していた。
だから、いい気になっている。
「ギア。王太子に、そんな態度をとるなんて、無礼にもほどがあるわよ」
「ソフィ。ほって、おきなさい。
パリスは、もう王太子ではなくなる」
「王様。それは、どういう意味ですか」
こんな失態を、やらかしたとはいえ、たった一人の跡継ぎなのだ。
穏便に計らうんじゃないの。
「皆、聞いて欲しい。
この場で、パリス王太子を廃位する!」
王様は、そう告げると、キュッと唇を一文字に結ぶ。
そして、あ然としている一人、一人の顔に、ゆっくりと視線をなげる。
「廃位だなんて、ひどすぎる。
この国の領地も、宝石も、全部僕の物じゃないと困るよー。
だって結婚したら、ギアに全部あげる約束をしたんだもん」
パリスは、駄々っ子のようにすねる。
パリスの嘘のおかげで、ひどい目にあった私に『ごめんなさい』の一言もないわけね。
「この国はね、パリスのオモチャじゃ、ないのよ。
どれだけ甘えたら、気がすむの。
それからね、もう二度と、パリスに、ゲンコツはふるわない。
なぐる値打ちもないってことよ。
わかった。この元バカ王子」
「まあまあ。ソフィ。落ち着いて、落ち着いて。
王様は、ああ言っておられるが、それは建前のはず。
ほんの数日で、パリス様は王太子に戻られます。
なんだかんだ言っても、唯一の王子なんじゃから。
あまり言い過ぎると、あとで後悔するぞ。
そして、今度は私の娘ギアが、パリス様の婚約者になる。ヒヒヒヒ」
ババネア公爵が、私とパリスの間に立ちはだかり、短い両手をひろげた。
「残念だが、ババネア公爵。
それは絶対にない。
なぜなら、もう新しい王太子は決まっているからだ。
ここにいるライオネル護衛騎士が、次期
王太子である」
他国の護衛騎士が、我が国の王太子供なんて、絶対嘘だ。
「そうだよ。これもパパの為さ」
「黙れ。アホぬかすな」
ババネア公爵とギアは、王様の面前という事も忘れて、親子ゲンカを繰り広げた。
まったく、どういう神経をしているのか。
「だって。パパはいつも言ってんじゃん。
『気取り屋のマクシアン公爵め。
顔を見るだけで、ムシズが走るわい』って。
だから、娘のソフィを陥れてやろうと、アタイが、しくんだんだよ。
『いつも迷惑かけてるおわびに、これをソフィに渡して欲しい。恥ずかしいから、名前は絶対ふせてよ』って、王太子に渡しだんだよ。
私って、けっこう頭いいだろ。
クッソウ。あと一歩だったのに」
ギアは、まだ立ち上がれないパリスのお尻を、足でけりあげた。
ギアの奔放な振る舞いや、言葉使いを、パリスは、『可愛いからいい』って放置していた。
だから、いい気になっている。
「ギア。王太子に、そんな態度をとるなんて、無礼にもほどがあるわよ」
「ソフィ。ほって、おきなさい。
パリスは、もう王太子ではなくなる」
「王様。それは、どういう意味ですか」
こんな失態を、やらかしたとはいえ、たった一人の跡継ぎなのだ。
穏便に計らうんじゃないの。
「皆、聞いて欲しい。
この場で、パリス王太子を廃位する!」
王様は、そう告げると、キュッと唇を一文字に結ぶ。
そして、あ然としている一人、一人の顔に、ゆっくりと視線をなげる。
「廃位だなんて、ひどすぎる。
この国の領地も、宝石も、全部僕の物じゃないと困るよー。
だって結婚したら、ギアに全部あげる約束をしたんだもん」
パリスは、駄々っ子のようにすねる。
パリスの嘘のおかげで、ひどい目にあった私に『ごめんなさい』の一言もないわけね。
「この国はね、パリスのオモチャじゃ、ないのよ。
どれだけ甘えたら、気がすむの。
それからね、もう二度と、パリスに、ゲンコツはふるわない。
なぐる値打ちもないってことよ。
わかった。この元バカ王子」
「まあまあ。ソフィ。落ち着いて、落ち着いて。
王様は、ああ言っておられるが、それは建前のはず。
ほんの数日で、パリス様は王太子に戻られます。
なんだかんだ言っても、唯一の王子なんじゃから。
あまり言い過ぎると、あとで後悔するぞ。
そして、今度は私の娘ギアが、パリス様の婚約者になる。ヒヒヒヒ」
ババネア公爵が、私とパリスの間に立ちはだかり、短い両手をひろげた。
「残念だが、ババネア公爵。
それは絶対にない。
なぜなら、もう新しい王太子は決まっているからだ。
ここにいるライオネル護衛騎士が、次期
王太子である」
他国の護衛騎士が、我が国の王太子供なんて、絶対嘘だ。
14
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
目を覚ました気弱な彼女は腹黒令嬢になり復讐する
音爽(ネソウ)
恋愛
家族と婚約者に虐げられてきた伯爵令嬢ジーン・ベンスは日々のストレスが重なり、高熱を出して寝込んだ。彼女は悪夢にうなされ続けた、夢の中でまで冷遇される理不尽さに激怒する。そして、目覚めた時彼女は気弱な自分を払拭して復讐に燃えるのだった。
完結 王子は貞操観念の無い妹君を溺愛してます
音爽(ネソウ)
恋愛
妹至上主義のシスコン王子、周囲に諌言されるが耳をを貸さない。
調子に乗る王女は王子に婚約者リリジュアについて大嘘を吹き込む。ほんの悪戯のつもりが王子は信じ込み婚約を破棄すると宣言する。
裏切ったおぼえがないと令嬢は反論した。しかし、その嘘を真実にしようと言い出す者が現れて「私と婚約してバカ王子を捨てないか?」
なんとその人物は隣国のフリードベル・インパジオ王太子だった。毒親にも見放されていたリリジュアはその提案に喜ぶ。だが王太子は我儘王女の想い人だった為に王女は激怒する。
後悔した王女は再び兄の婚約者へ戻すために画策するが肝心の兄テスタシモンが受け入れない。
10日後に婚約破棄される公爵令嬢
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。
「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」
これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。
虚偽の罪で婚約破棄をされそうになったので、真正面から潰す
千葉シュウ
恋愛
王立学院の卒業式にて、突如第一王子ローラス・フェルグラントから婚約破棄を受けたティアラ・ローゼンブルグ。彼女は国家の存亡に関わるレベルの悪事を働いたとして、弾劾されそうになる。
しかし彼女はなぜだか妙に強気な態度で……?
貴族の令嬢にも関わらず次々と王子の私兵を薙ぎ倒していく彼女の正体とは一体。
ショートショートなのですぐ完結します。
【完結】婚約破棄だと殿下が仰いますが、私が次期皇太子妃です。そこのところお間違いなきよう!
つくも茄子
恋愛
カロリーナは『皇太子妃』になると定められた少女であった。
そのため、日夜、辛く悲しい過酷な教育を施され、ついには『完璧な姫君』と謳われるまでになった。
ところが、ある日、婚約者であるヨーゼフ殿下に婚約破棄を宣言されてします。
ヨーゼフ殿下の傍らには綿菓子のような愛らしい少女と、背後に控える側近達。
彼らはカロリーナがヨーゼフ殿下が寵愛する少女を故意に虐めたとまで宣う。這いつくばって謝罪しろとまで言い放つ始末だ。
会場にいる帝国人は困惑を隠せずにおり、側近達の婚約者は慌てたように各家に報告に向かう。
どうやら、彼らは勘違いをしているよう。
カロリーナは、勘違いが過ぎるヨーゼフ殿下達に言う。
「ヨーゼフ殿下、貴男は皇帝にはなれません」
意味が分からず騒ぎ立てるヨーゼフ殿下達に、カロリーナは、複雑な皇位継承権の説明をすることになる。
帝国の子供でも知っている事実を、何故、成人間近の者達の説明をしなければならないのかと、辟易するカロリーナであった。
彼らは、御国許で説明を受けていないのかしら?
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】勘違いしないでくれ!君は(仮)だから。
山葵
恋愛
「父上が婚約者を決めると言うから、咄嗟にクリスと結婚したい!と言ったんだ。ああ勘違いしないでくれ!君は(仮)だ。(仮)の婚約者だから本気にしないでくれ。学園を卒業するまでには僕は愛する人を見付けるつもりだよ」
そう笑顔で私に言ったのは第5王子のフィリップ様だ。
末っ子なので兄王子4人と姉王女に可愛がられ甘えん坊の駄目王子に育った。
穏便に婚約解消する予定がざまぁすることになりました
よーこ
恋愛
ずっと好きだった婚約者が、他の人に恋していることに気付いたから、悲しくて辛いけれども婚約解消をすることを決意し、その提案を婚約者に伝えた。
そうしたら、婚約解消するつもりはないって言うんです。
わたくしとは政略結婚をして、恋する人は愛人にして囲うとか、悪びれることなく言うんです。
ちょっと酷くありません?
当然、ざまぁすることになりますわね!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる