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46、女神アリストの驚き

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「女神様。
 とうとうアイリーンが真実の愛に出会ったんですよね」

 私の真向かいに座ったローラが、人間界をうつす鏡をのぞき込んで安堵の表情をうかべた。

 ここは城の中でも1番優美な部屋だ。

 今、私はローラとローラの娘アイリーンの様子を雲の上からうかがっている。

「うーん、まあ、そうだけど」

 鏡の中でキスをする2人を眺めながら、コテンと頭を傾けた。

「いつも陽気な女神様らしからぬ、歯切れが悪いお返事ですわね。
 ひょっとして、フランはパインのようにとんでもない男なのですか?」

「パイン? パインって誰です?
 あっ、思い出したわ。
 ローラの元旦那で、ローラの妹と浮気をしたクズ男だったわよね。
 大丈夫です。
 フランはパインのような、いい加減な男じゃなくてよ。
 間違いなくフランはアイリーンの真実の愛の相手です。
 じゃないと、アイリーンの身体があんなに発光するわけないでしょ」

 ワタクシは鏡から視線を移すと、ローラの美しい瞳を見据えてきっぱりとした声をだす。

「なら、なぜさっきあんなうかない返事をされたのですか?」

「あれはですね。
 アイリーンに驚かされたからよ」

「それはどうい意味ですか。
 私のアイリーンがどうしたというのですか?
 詳しく説明して下さい」

 日頃大人しいローラが、珍しくワタクシにグイグイと食い下がってくる。

 これが親心というものね。美しいわ。

「アイリーンの魔力は測定不能なほど強いのよ。
 ギフトの力がよみがえった時、ギフトの持ち主の身体が光る。
 その光の色でワタクシは瞬時に魔力の高さがわかるのよ。
 1番低い魔力なら身体は藍色に光る。
 1番高い魔力なら身体は金色に光る。
 けど、ローラも見たでしょ。
 アイリーンの身体は色々な色に輝いていた。
 あれは測定不能なほど魔力が高い証なのよ。
 長く生きてきたけど、ワタクシも初めてみたわ。
 だから、驚いてポカンとしていたの」

「アイリーンの魔力がそんな事になっていたなんて……。
 なんてありがたい事です」

 ローラは両手で自分の顔をおおって嗚咽した。

「ところでローラ。
 さっき話にでたパインなんだけど。
 今は邸で1番若い侍女と浮気をしているようね」
 
「なんですって。
 そこまで腐った男だと思いませんでした」

「でしょ。
 ねえ。
 パインに罰をあたえていいかしら?」

「ぜひ、お願いします」

 サッと目に残る涙を手でふいたローラは、キリッと眉をつりあげる。

「ふふふ。
 どんな罰がいいかしら。
 これから2人でゆっくりと考えましょうね」 

 ワタクシはゆっくりと口角を上げ、ねっとりと微笑んだのだ。

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