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6、ギフトをもたない娘2
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「ふふふ。
嘘も方便よ。
ゴールデンローズは万病に聞く薬になる。
我が国はもちろん、異国の王家や名だたる貴族がお金を積んでも欲しがる花よ。
ローラお姉様がゴールデンローズを咲かせる事ができたから、リーフ家は大金をえた。
貴族の間でも有名な話だわ。
アイリーンはローラの実の娘だわ。
ローラの特殊なギフトを引き継いでいたと言っても、嘘には聞こえないでしょ」
カーラはここまで言うと、自分の下で上唇をペロッとなめた。
ゴールデンローズを失ったリーフ家の財政はよくない。
そのせいだろう。
カーラもずいぶんやせて、頬がへこんでいる。
そんな風体のカーラが、悪だくみを自慢そうに話す様子は魔女そっくりだ。
「お母様のなげたエサに、あっさり公爵夫人が食いついたっていうわけなのね」
「そうよ。アイリーン。
そして、私はオマエの結婚の支度金をたんまりいただくつもりよ。
なのに、その計画をオマエがメチャクチャにした。
マリーンはこの邸の大切な娘よ。
いくら公爵家でも嫁にはだせない。
わかったら、今から公爵家へいってアラン様にすがりついておいで。
『どうか私を見捨てないでください』ってね」
「お母様。
マリーンが魅力的すぎるからいけないのよ。
アラン様を惑わしちゃったもの」
「ねえ、マリーンは本当にそれでいいの。
パーティ会場では、アラン様とあんなに盛り上がっていたじゃない」
「けど、もうサメちゃった。
お姉様から奪うという目的が達成されちゃたからかな」
マリーンが両肩をすくめた時だった。
料理長のサムがマリーンの顔めがけて、特大のジャガイモを投げつける。
「あ。手がすべっちゃって。
マリーンお嬢様、どーもすいません」
四角い顔をした大柄なサムが、わざとらしくコック帽をかぶった頭をかく。
サムも私の数少ない味方だ。
リンダの遠縁ということで、かなり前からこの邸につかえてくれている。
「サムよくやった。もっとやれ!」
興奮しているミーナを止めるべきだろう。
けど、さすがに今の私にはできなかった。
サムの温かい気持ちが喜しくて。
「ちょっと、サム。
わざとじゃないでしょうね。
そうそう。
一昨日のランチのポテトサラダは、ちょっとパンチが足りなかったわよ。
次から気をつけなさい」
そう言って、ツンと顎をしゃくりあげるマリーンの隣でカーラは声をあらげる。
「アイリーン、何をボーとしてるの。
サッサと着がえて、マンチン公爵家へ行きなさい。
いいこと。
アラン様との縁談が元通りになるまで、夕食は抜きよ」
「まあ。
お母様、なんて素晴らしいアイデアなんでしょう」
「オホホホホ」
そう言って2人は天井をあおき、口に手をあてて高らかな笑い声をあげたのだ。
ギフトをもたない期待はずれの娘に。
嘘も方便よ。
ゴールデンローズは万病に聞く薬になる。
我が国はもちろん、異国の王家や名だたる貴族がお金を積んでも欲しがる花よ。
ローラお姉様がゴールデンローズを咲かせる事ができたから、リーフ家は大金をえた。
貴族の間でも有名な話だわ。
アイリーンはローラの実の娘だわ。
ローラの特殊なギフトを引き継いでいたと言っても、嘘には聞こえないでしょ」
カーラはここまで言うと、自分の下で上唇をペロッとなめた。
ゴールデンローズを失ったリーフ家の財政はよくない。
そのせいだろう。
カーラもずいぶんやせて、頬がへこんでいる。
そんな風体のカーラが、悪だくみを自慢そうに話す様子は魔女そっくりだ。
「お母様のなげたエサに、あっさり公爵夫人が食いついたっていうわけなのね」
「そうよ。アイリーン。
そして、私はオマエの結婚の支度金をたんまりいただくつもりよ。
なのに、その計画をオマエがメチャクチャにした。
マリーンはこの邸の大切な娘よ。
いくら公爵家でも嫁にはだせない。
わかったら、今から公爵家へいってアラン様にすがりついておいで。
『どうか私を見捨てないでください』ってね」
「お母様。
マリーンが魅力的すぎるからいけないのよ。
アラン様を惑わしちゃったもの」
「ねえ、マリーンは本当にそれでいいの。
パーティ会場では、アラン様とあんなに盛り上がっていたじゃない」
「けど、もうサメちゃった。
お姉様から奪うという目的が達成されちゃたからかな」
マリーンが両肩をすくめた時だった。
料理長のサムがマリーンの顔めがけて、特大のジャガイモを投げつける。
「あ。手がすべっちゃって。
マリーンお嬢様、どーもすいません」
四角い顔をした大柄なサムが、わざとらしくコック帽をかぶった頭をかく。
サムも私の数少ない味方だ。
リンダの遠縁ということで、かなり前からこの邸につかえてくれている。
「サムよくやった。もっとやれ!」
興奮しているミーナを止めるべきだろう。
けど、さすがに今の私にはできなかった。
サムの温かい気持ちが喜しくて。
「ちょっと、サム。
わざとじゃないでしょうね。
そうそう。
一昨日のランチのポテトサラダは、ちょっとパンチが足りなかったわよ。
次から気をつけなさい」
そう言って、ツンと顎をしゃくりあげるマリーンの隣でカーラは声をあらげる。
「アイリーン、何をボーとしてるの。
サッサと着がえて、マンチン公爵家へ行きなさい。
いいこと。
アラン様との縁談が元通りになるまで、夕食は抜きよ」
「まあ。
お母様、なんて素晴らしいアイデアなんでしょう」
「オホホホホ」
そう言って2人は天井をあおき、口に手をあてて高らかな笑い声をあげたのだ。
ギフトをもたない期待はずれの娘に。
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